20代でもM字はげに悩む方は一定数います。「生え際が後退するのは年齢を重ねてから」とイメージしがちですが、遺伝的要因や生活習慣の乱れによって20代でもM字はげになる可能性があります。

20代でM字はげにならないためには、健康な髪の毛を維持する良い習慣を身に付けておくことが大切です。

また、M字はげはAGA（男性型脱毛症）の特徴にも当てはまるので、症状の進行を抑えるには専門家への相談も必要になります。

本記事では、20代でM字はげが発現する可能性や薄毛の原因を解説します。髪の毛の健康を維持するための習慣も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

20代でM字はげは勘違い？生まれつき以外で発現する可能性を紹介

M字はげといわれる状態には、主に生まれつきと進行性の2種類があります。

生まれつきの場合は「富士額（ふじびたい）」と呼ばれ、生え際が富士山の形に似ている点が特徴です。

一方で、進行性のM字はげを富士額と勘違いしてしまわないように注意が必要です。生まれつきではない場合は、20代の若さでもM字はげが発現している可能性は十分にあります。

M字はげでは10代後半・20代前半からじわじわと薄毛が進行し、気づいたときには生え際がM字に後退しているケースが多いです。

生まれつきの富士額なのか、M字はげなのかが気になる方は、専門家に相談してみるのが良いでしょう。

20代のM字はげの進み方｜進行速度はどれくらい？

20代でM字はげになる場合の前兆には、抜け毛の増加があります。特に生え際の抜け毛が顕著であり、健康な状態の生え際と比べて量が少なく、地肌が透けて見えるような状態です。

M字はげはAGA（男性型脱毛症）の一種でもあり、生え際の中でも特に額の両端が薄くなります。その後、生え際が後退していくことで額がM字に広がる点が特徴です。

進行速度には個人差があり、5～10年をかけて少しずつ進行していきます。ただし、強いストレスや生活習慣の乱れがきっかけとなり、1年ほどで症状が悪化するケースもあるため注意しましょう。

M字はげに悩む20代によくある薄毛の原因

M字はげに悩む20代によくある薄毛の原因を解説します。

• 薄毛の身内からの遺伝的要因
• 仕事・学業・人間関係などによる過度なストレス
• 睡眠不足・運動不足・偏食などの生活習慣の乱れ
• 若さゆえの頑張りすぎ・運動過多による過労
• 過度なパーマ・ブリーチなどによるダメージ

薄毛の身内からの遺伝的要因

身内に薄毛の方がいると、20代の若さでも遺伝的要因でM字はげが発現する場合があります。

一般的に、AGA（男性型脱毛症）による薄毛が遺伝する確率は、母方の祖父が薄毛の場合で約75％、母方の祖父・曽祖父ともに薄毛の場合で約90％です。そのため、母方の身内に薄毛の方がいる場合は特に注意が必要です。

また、父方の祖父・曽祖父が薄毛の場合でも遺伝する可能性は十分にあります。母方に薄毛の身内がいなくても、父方から遺伝するケースがあることを覚えておきましょう。

仕事・学業・人間関係などによる過度なストレス

仕事・学業・人間関係などによる過度なストレスが、M字はげの原因となる可能性があります。

大学や社会人など環境の変化が多い20代は、人間関係から受けるストレスにさらされやすい状況です。また、プレッシャーの他にも不安やうつなどの症状でストレスを感じ、それが蓄積することで抜け毛・薄毛につながるケースもあります。

適度なストレスはほどよい緊張感を与えてくれますが、長期間にわたる過度なストレスは心身の健康に悪影響を与える要因となります。20代で薄毛が気になる方は、自身が受けているストレスの程度や普段の環境を振り返ってみましょう。

睡眠不足・運動不足・偏食などの生活習慣の乱れ

睡眠不足・運動不足・偏食などの生活習慣の乱れも、20代でM字はげになる原因の一つです。

例えば、睡眠不足の状態が続くと体内で成長ホルモンの分泌が抑制され、健康な髪の毛の育成が妨げられます。慢性的な運動不足の場合は血行不良に陥り、髪の毛に必要な栄養素が十分に届けられません。

また、脂っこい食事やダイエットによる偏食なども、カロリー過多や栄養不足の原因です。

このような生活習慣の乱れは、髪の毛の成長に悪影響を与えます。若いうちから生活習慣が乱れた結果、20代後半に髪の毛に影響が出る可能性があります。

参考 睡眠と代謝の密接な関係 ｜筑波大学

若さゆえの頑張りすぎ・運動過多による過労

若さゆえの頑張りすぎ・運動過多による過労が原因となり、20代でM字はげになる可能性もあります。

若いからといって仕事や遊びを頑張りすぎると、身体的な疲労が溜まることが多いです。若いうちは体が疲れていても気力で動ける方がほとんどですが、身体への根本的なダメージは避けられません。

特に髪の毛は、疲労の蓄積によるダメージの影響が最初に顕在化しやすい箇所といわれています。

そのため、肉体労働や力仕事を生業とする方、部活動・趣味などでよく体を動かす方は、活動しすぎがダメージとなり髪の毛に影響を与える場合があることを覚えておきましょう。

過度なパーマ・ブリーチなどによるダメージ

過度なパーマ・ブリーチなどによるダメージも、20代でM字はげになる原因の一つです。パーマ・ブリーチを頻繁に行っていると髪の毛への直接的なダメージとなるため、薄毛につながる可能性があります。

例えば、パーマをかける際には毛髪内のシスチン結合の切断・再結合が行われます。また、ブリーチは過酸化水素がメラニン色素を破壊して、髪の毛から色を抜く仕組みです。

どちらも髪の毛や頭皮にダメージを与えるため、実際にブリーチのやりすぎで髪の毛がちぎれてしまったという声もあります。

髪質によっても、パーマ・ブリーチへの耐久性や髪の毛に対する影響の大きさが異なるため注意してください。

参考

パーマのメカニズム－毛髪内部の３つの側鎖結合

７．メラニンに何が？（ブリーチ）｜山野美容芸術短期大学

20代の男女でM字はげのなりやすさに違いはある？

一般的に、M字はげは男性のほうがなりやすいといわれています。

AGA（男性型脱毛症）は前頭部（おでこ）や頭頂部（つむじ）が薄毛になるのが特徴です。一方、FAGA（女性男性型脱毛症）では頭頂部、または頭髪全体が均一に薄くなります。

ただし、女性でもM字はげになることはあります。薄毛が進行する過程で生え際がM字に後退する可能性は一定数あるので注意が必要です。

20代でもM字はげになる方に多い前兆

20代の方がM字はげになる際には、何かしらの前兆があります。前兆を把握しておくことで、自分の生え際がM字はげの状態であるか、そうではないかの判断が可能です。

M字はげになる方に多い前兆を確認しておきましょう。

• 生え際が指2本以上後退している
• 以前と比べて明らかに生え際が薄くなった
• 産毛が増えて生えている毛が弱々しい
• 抜け毛の量が以前より増えて毛根がない

20代でM字はげの症状が進行している場合、少しずつ抜け毛の量が増えて生え際の後退が目立つようになります。産毛が増えて、生えている毛が弱々しくなるのもM字はげになる前兆です。

ただし、富士額により生まれつきM字に見える生え際の方もいるので、以前と比べて指2本以上後退していないかを確認してみましょう。

参考　脱毛症｜慶應義塾大学病院

20代のM字はげの着実な治し方は専門家へ相談しましょう

M字はげが進行している場合、生活習慣の見直しやセルフケアだけで症状を改善するのは難しいです。20代でM字はげの症状に悩んでいるなら、まずは専門家への相談を検討してみてください。

特に、生活習慣の乱れが原因ではなく、脱毛症が原因でM字はげが進行している場合は専門的な治療が必要です。

M字はげの症状を伴う可能性がある脱毛症には以下があります。

• AGA（男性型脱毛症）
• 円形脱毛症
• 牽引性脱毛症

AGA（男性型脱毛症）は30～50代の男性に多いですが、20代で症状に悩む方も一定数います。

また、牽引性脱毛症は髪の毛が引っ張られることが原因となるため、ポニーテールやオールバックなどの髪型をよくする方は注意してください。

参考

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン

20代でM字はげにならないために髪の毛の健康に向けた良習慣

20代でM字はげにならないために、髪の毛の健康に向けた良習慣を紹介します。

• 十分な睡眠と栄養バランスの良い食事
• 1回30分・週2回以上の運動
• ナチュラルな髪型への変更
• 育毛剤・スカルプシャンプーの使用
• 頭皮マッサージの実施

十分な睡眠と栄養バランスの良い食事

20代でM字はげにならないためには、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

睡眠時に分泌される成長ホルモンは、毛母細胞のはたらきを活性化します。そのため、健康な髪の毛を維持する上で、十分な睡眠は欠かせません。

また、栄養バランスの良い食事を摂ることも、健康な髪の毛の維持につながります。M字はげを予防するには、以下の栄養素を摂るよう意識してください。

• タンパク質
• ビタミン類
• 亜鉛
• 鉄分

普段の食事からバランスよく摂取するのが難しい場合は、サプリメントを利用するのもおすすめです。

参考 健康づくりのための睡眠ガイド2023｜厚生労働省

1回30分・週2回以上の運動

20代でM字はげになるのを防ぐには、1回30分・週2回以上の運動習慣も重要です。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査報告」によると、20代以上で運動習慣がある人は男性で33.4％、女性で25.1％となっています。現代人は仕事で忙しく、運動習慣の確保が課題となっている状況です。

健康な髪の毛を維持するには、運動による血行促進が欠かせません。そのため、まずは一つの目安として1回30分・週2回以上の運動から始めてみてください。

運動習慣のない方がハードな運動を始めると続かないので、通勤時に一駅手前で降りて歩くなど軽い運動から始めるのがおすすめです。

参考 運動習慣のある人の割合はどれくらい？｜生活保険文化センター

ナチュラルな髪型への変更

20代でM字はげにならないためには、ナチュラルな髪型に変更するのも対策の一つです。

パーマ・ブリーチだけでなく、髪を強く縛る髪型も頭皮にダメージを与えます。頭皮へのダメージを軽減するには、パーマ・ブリーチをあてない髪型にする期間を設けて、髪も強く縛らないように意識することが重要です。

頭皮にダメージを与える機会を少なくするには、同じ髪型ばかりせず別のヘアアレンジを取り入れて工夫しましょう。

男性の場合は整髪料を使って髪を無理やり立てずに、自然に流すヘアアレンジにするのがおすすめです。

育毛剤・スカルプシャンプーの使用

育毛剤・スカルプシャンプーの使用も、20代でM字はげにならないための対策として効果的です。

日々のケアとして育毛剤・スカルプシャンプーを取り入れるなら、市販されている製品を使用して問題ありません。大事なのは、毎日のスカルプケアを習慣化することです。

育毛剤は頭皮環境を整えて、健康な髪の毛が育ちやすい状態を保ちます。使うタイミングとしては、シャンプー後の清潔な頭皮に塗布するのがおすすめです。

また、シャンプーは洗浄力が強すぎると頭皮の乾燥を招くので、スカルプシャンプーの成分をよく確認してから選びましょう。

参考 医薬部外品の効能効果の範囲｜厚生労働省

頭皮マッサージの実施

20代でM字はげになるのを防ぐためには、頭皮マッサージを実施しましょう。

頭皮マッサージを行う際には、爪を立てたり力を入れすぎたりしないように注意してください。気持ち良いと感じる程度の力で、頭皮全体をほぐしていきます。

頭皮の血行を促進するには、首筋のコリをほぐすことも大切です。首の付け根からうなじに向かって血行を流すようにマッサージしましょう。

また、育毛剤と併用すると頭皮マッサージの効果が高まり、習慣づけしやすくなるのでおすすめです。

参考「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

20代でO字・U字はげになると手遅れ！M字はげのうちに治療を始めましょう

M字はげが進行してO字・U字はげまで進むと、手遅れになる可能性があります。20代でM字はげが気になるなら、できるだけ早めに治療を始めることが重要です。

薄毛治療にはさまざまな方法があります。専門家に相談する前に、どのような治療法があるのかを把握しておきましょう。

治療方法	概要
内服薬・外用薬	フィナステリドの服用やミノキシジルの塗布により薄毛を改善する
プロペシア	男性ホルモンの影響を抑える内服薬を服用して薄毛を改善する
植毛	健康な髪の毛が生えている部分から毛髪組織を採取して移植する

20代のM字はげは早めの対策で予防できる可能性が高まる

M字はげは年齢を重ねた方が発症するイメージですが、生活習慣の乱れや頭皮へのダメージによって、20代でもM字はげになる可能性は十分にあります。

特に身内にM字はげの方がいる場合は発症しやすいため、生活習慣やヘアケアを改めることが重要です。

また、AGA（男性型脱毛症）や円形脱毛症が原因でM字はげになっている場合、生活習慣やヘアケアの見直しだけでは症状を改善できません。生え際の後退が気になる20代の方は、できるだけ早く専門家に相談しましょう。