髪の毛は1日に50~100本程度抜けるのが正常な状態ですが、細い抜け毛が目立ってくると薄毛の可能性が考えられます。
抜け毛の量は以前と変わらなくても、細く短い毛が交じるようになった方も注意が必要です。
細く短い毛は成長しきる前に抜けてしまっている証拠です。細い抜け毛は脱毛症の兆候の場合があるため、放置しないようにしましょう。
本記事では、細い抜け毛の増加を注意すべき理由について解説します。細さ以外で注意したい抜け毛の特徴や改善策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
細い抜け毛が増えてきたら要注意

ブラッシングやシャンプーの際に自然に抜け落ちた髪の毛の中に、細く短い髪の毛がある場合は要注意です。細く短い毛はまだ成長途中であり、薄毛の症状が出始めている可能性があります。
細い抜け毛は数本程度なら大丈夫な場合がほとんどです。ただし、多量の細い抜け毛がある方は、何らかの影響で髪の毛に十分な栄養が行き届いていない可能性があります。
日本人の髪の毛の太さは、0.06~0.09mmが標準です。目視では確認しにくいですが、明らかに弱々しい抜け毛が増えている場合は、薄毛の兆候を疑った方が良いでしょう。
参考 安全タイプ(Yesの数が3つ以下)|全国理容生活衛生同業組合連合会
なぜ抜け毛が細いと注意すべきなのか?

健康な状態の髪の毛は「成長前期→成長後期→退行期→休止期」というヘアサイクルに従って生え変わります。髪の毛1本ずつにヘアサイクルがあり、2~7年の成長期を経た後で退行期、休止期へと進むのが一般的です。
しかし、生活習慣の乱れやAGA(男性型脱毛症)の進行などにより、ヘアサイクルの移り変わりが早まる場合があります。
その結果、以下のような症状が起こる可能性があります。
- 成長期の髪の毛が抜けてしまう
- 成長期の期間が短くなる
- 休止期が終わっても成長期が始まらない
細い抜け毛の増加は脱毛症の兆候と考えられています。細い抜け毛が増えたと感じる場合は、できるだけ早く対策を始めることが重要です。
細さ以外で注意したい抜け毛の特徴

細さ以外で注意したい抜け毛の特徴を紹介します。
- 毛根に膨らみがない(尖っている)
- 抜け毛が短い
- 枝毛・切れ毛が目立つ
毛根に膨らみがない(尖っている)
細い抜け毛の量が気になる方は、毛根に膨らみがないかも確認してみてください。
生活の中で自然に抜けた健康な髪の毛の毛根は、ボールのような丸い形をしているのが一般的です。しかし、頭皮が炎症を起こして毛根が破壊されている場合は、毛根の先端部分が先細りに尖っています。
毛根に膨らみがなく尖っている状態は、円形脱毛症の典型的な症状です。毛根をチェックして膨らみがない場合は、頭皮の炎症を止める治療が必要になります。
自分の髪の毛を確認してみて毛根に膨らみがないなら、なるべく早く専門家に相談しましょう。
参考 脱毛症|慶應義塾大学病院
抜け毛が短い
細い抜け毛が少なくても、産毛のような短い抜け毛が多い場合には注意しましょう。
通常、生え際の産毛はAGA(男性型脱毛症)による薄毛が進行しているサインです。ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れて、髪の毛が十分に成長できない状態となっています。
生え際の後退や頭頂部・側頭部の薄さが目立つ場合、薄毛の進行が見られる箇所の毛が次々と抜けている可能性があります。
AGAの場合は自然に症状が改善することはほとんどないため、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。
枝毛・切れ毛が目立つ
髪の毛にダメージが蓄積して、枝毛・切れ毛が目立つ場合も要注意です。
髪の毛は普段から紫外線によるダメージにさらされています。また、ヘアアイロンの熱やブリーチも、髪の毛にダメージを与える原因の一つです。
しかし、どれにも該当していないのに枝毛・切れ毛が目立つ場合は、AGA(男性型脱毛症)の可能性があります。
AGAの場合は外的要因ではなく、ヘアサイクルの乱れによって髪の毛自体がやせ細っている状態です。枝毛・切れ毛などダメージが蓄積された髪の毛は回復しないため、すぐに対処しましょう。
細い抜け毛をセルフチェックする時に確かめたい場所

細い抜け毛の増加が気になっている方は、日常生活の中でセルフチェックを実施してみてください。細い抜け毛をチェックしていれば、早い段階で薄毛の兆候を見つけられる可能性があります。
セルフチェックの際に確かめたい場所は以下のとおりです。
- 枕の周辺
- 職場のデスクや自宅のテーブル
- ブラッシング後の櫛(くし)
- 浴室の排水溝
- ドライヤー後の洗面台
セルフチェックの際は抜け毛の長さや太さ、毛根の状態に注目しましょう。本記事で紹介した抜け毛の特徴に当てはまる場合は、できるだけ早く専門家に相談するのがおすすめです。
細い抜け毛の増加は髪の毛の栄養不足が原因となりやすい

髪の毛の栄養不足を招きやすい習慣とその改善策を紹介します。
- 睡眠不足
- 運動不足
- 偏食
- 過度な飲酒
- 喫煙
睡眠不足
睡眠不足は、細い抜け毛が増加する原因の一つです。
健康な髪の毛の成長には、睡眠時に分泌される成長ホルモンのはたらきが関係しています。成長ホルモンには身体の細胞を修復する役割があり、睡眠時に多く分泌されるのが特徴です。
睡眠不足の状態が慢性化していると、毛母細胞が分裂せず髪の毛の成長が止まってしまう可能性があります。睡眠不足に心当たりがある方は、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
成長ホルモンは入眠から3時間後に分泌が始まり、6時間程度は継続されます。そのため、最低でも6時間は睡眠時間を確保してください。
また、就寝前のブルーライトは睡眠の質を下げるので、就寝1時間前にはスマートフォンを操作しないようにしましょう。
運動不足
細い抜け毛が増えたと気になっている方は、運動不足にも注意してください。
健康な髪の毛を維持するためには、頭皮の血行が良く、毛根に十分な酸素と栄養が届けられることが必要です。しかし、運動不足によって全身の血行が鈍ると髪の毛の成長に必要な栄養が不足します。
頭皮の血行不良を改善するには、定期的な運動を心がけて全身の血行を促進することが重要です。
運動習慣のない方は、まずは1日30分のウォーキングなど、無理なく続けられる運動から始めましょう。
偏食
栄養バランスが偏った食事が続くことも、細い抜け毛が増える原因の一つです。
髪の毛に必要な栄養は血液に含まれており、血流によって頭皮や毛根まで運ばれます。食生活が偏っていると、頭皮や髪の成長に必要な栄養が足りなくなってしまいます。
偏食には脂っこいものの摂りすぎや好き嫌いだけでなく、ダイエットによる過度な食事制限によるカロリー不足も含まれます。
偏食に心当たりがある場合は、バランスの整った食事を3食しっかり摂ることが大切です。
下表に髪の毛の成長に必要な栄養素をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
| 栄養素 | 豊富に含む食べ物の例 |
| タンパク質 | 肉類、卵類、乳製品、魚介類、大豆製品 |
| 糖質 | 米、小麦、いも類、とうもろこし |
| ミネラル | 牛乳、海藻類、かき、レバー |
| ビタミン類 | 緑黄色野菜、魚類、きのこ類、アーモンド |
過度な飲酒
習慣化した過度な飲酒は、細い抜け毛が増加する原因の一つです。
髪の毛の成長に必要な栄養素の一つに亜鉛がありますが、亜鉛は体内に取り込まれたアルコールを分解する過程で消費されます。
基本的に身体は髪の毛の成長よりも、アルコールの分解を優先します。そのため、過度な飲酒を続けているとアルコールの分解に亜鉛が消費されて、髪の毛の成長に必要な分が足りません。
飲酒が習慣化している方は、まず休肝日を設けることから始めてみてください。また、いきなり飲酒をやめるとストレスが溜まる可能性があるので、少しずつ飲酒量を減らしましょう。
参考 亜鉛の働きと1日の摂取量|公益財団法人 長寿科学振興財団
喫煙
喫煙の習慣がある方も、細い抜け毛が増えて薄毛になる可能性があるため注意が必要です。
たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。血管の収縮によって血流が悪くなると、髪の毛に必要な栄養が頭皮まで十分に届きません。
また、ハーバード大学の調査によると、喫煙習慣がある方は薄毛の原因となる男性ホルモンの量が10~30%増加することがわかっています。
禁煙を始める場合は禁煙開始日を決めて、たばこを処分するのがおすすめです。自分の努力だけで禁煙できない方は、禁煙外来への相談も検討しましょう。
年齢関係なく誰でも細い抜け毛が増える可能性はある

前提として、年齢を重ねると血行が悪くなるため、頭皮に十分な栄養が届かず髪の毛の健康が損なわれやすくなります。
しかし、細い抜け毛の増加に年齢は関係ありません。10代の学生や20代前半の若者でも、頭皮や髪の毛へのダメージが大きい生活を続けていると、薄毛につながる可能性は十分にあります。
また、まだ年齢が若いからと不摂生を続けていた場合、身体にダメージが蓄積して20代後半以降に薄毛の症状が出る場合もあります。若いからと油断せずに、髪の毛に良い生活習慣を心がけましょう。
細い抜け毛が増え続けているなら脱毛症の可能性あり

細い抜け毛が増え続けている場合は、脱毛症の症状が出ている可能性があります。細い抜け毛が増える脱毛症は以下のとおりです。
- AGA(男性型脱毛症)
- ひこう性脱毛症
- 脂漏性脱毛症
脱毛症が原因で細く短い抜け毛が増えている場合、セルフケアや生活習慣の見直しだけでは症状を改善できません。自分で対処しようとしているうちに、抜け毛の量が増えてしまう可能性もあります。
細い抜け毛が増え続けて気になっている方は、できるだけ早く専門家に相談するのがおすすめです。
生まれつき髪の毛が細い方も一定数いるので悲観しすぎない

「ほかの人よりも髪の毛が細いのでは?」と気にしていても、遺伝により生まれつき髪の毛が細い方も一定数います。生まれつき髪の毛が細く柔らかくても、抜け毛や薄毛には直結しないので安心してください。
大人になってから髪質が変わったわけではないなら、薄毛が原因ではないといえるでしょう。
また「髪の毛が細い」と気にしすぎるのもよくありません。ストレスを感じるほど気になっているなら、専門家にチェックしてもらうのが良いでしょう。
細い抜け毛を健康な状態に改善するための習慣

細い抜け毛を健康な状態に改善するための習慣を紹介します。
- 育毛剤・スカルプシャンプーの使用
- 頭皮マッサージ
- サウナの活用
育毛剤・スカルプシャンプーの使用
細い抜け毛を健康な状態に改善するには、育毛剤やスカルプシャンプーを使用しましょう。
日々のケアとして育毛剤やスカルプシャンプーを取り入れる場合は、市販の製品から選んで構いません。毎日のスカルプケアを習慣化することで、薄毛予防の効果が期待できます。
育毛剤は頭皮環境を整えて、健康な髪の毛が育ちやすい状態を保つための製品です。用法・用量を守って使いましょう。ただし、育毛剤には発毛(髪の毛を生やす)効果は見込めない点に注意してください。
また、育毛剤はシャンプー後の頭皮が清潔な状態に使用するのがおすすめです。
頭皮マッサージの実施



細い抜け毛が増えるのを防ぐには、頭皮マッサージを実施するのもおすすめです。シャンプー後に育毛剤を塗布するタイミングで一緒に実施すれば、頭皮マッサージを習慣化しやすいです。
頭皮をマッサージする際は、爪を立てたり力を入れすぎたりしないように注意しましょう。気持ち良いと感じる程度の力で、頭皮全体を優しくほぐしていくことが大切です。
頭皮の血行を促進するには、首筋のコリも忘れずにほぐしましょう。首の付け根からうなじに向かってマッサージすれば、頭皮の血行改善につながります。
また、頭皮マッサージは朝と夜の1日2回行うのがおすすめです。
参考 「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響
サウナの活用
細い抜け毛を健康な状態にするには、サウナを活用するのも効果的です。
サウナに入ると血行が促進されるため、薄毛改善に役立つといわれています。身体が温まることで全身の血行が良くなり、髪の毛の成長に必要な栄養が頭皮に届きやすくなるからです。
また、自律神経のバランスも整うため、薄毛の一因であるストレスも軽減できます。
ただし、サウナへの入り方を誤ると逆効果になるので注意が必要です。
サウナは高温多湿であり、熱が髪へのダメージとなる可能性があるため、サウナハットやタオルで髪の毛を保護しましょう。また、たっぷり汗をかくので、入室後はシャンプーでよく洗い流して清潔な状態を心がけることも大切です。
細い抜け毛が気になったらすぐに対策を始めよう

細い抜け毛は脱毛症の兆候であり、すぐに対策しないと薄毛が進行する可能性があります。毛根が膨らんでいない場合や、抜け毛が短い場合は特に注意してください。
ただし、生活習慣の乱れが原因で細い抜け毛が増加している場合は、改善の余地があることがほとんどです。髪の毛に悪影響を与える習慣を見直せば、十分に改善が見込めます。
髪の毛が細くなり始めた段階であれば、これから太くするために自分で始めやすい対策を講じることが大切です。例えば、育毛剤・スカルプシャンプーの使用や頭皮マッサージは、自宅でも簡単に実施できます。
取り組みやすい対策から始めて、太く健康な髪の毛を増やしていきましょう。








