「筋トレするとはげる」という噂を聞いたことがある方もいるでしょう。
ただ実際には、筋トレが直接的に薄毛を引き起こすことはありません。むしろ、適度な筋トレは育毛を促進する効果も期待できます。
本記事では、筋トレによる血行促進やストレス軽減が薄毛改善にどのように作用するのか、筋トレ時に摂るべき栄養素や生活習慣を見直すポイントなどを解説します。
筋トレを行っているものの薄毛が気になる方や、筋トレを始めたいけれど髪の毛の状態が心配な方はぜひ参考にしてください。
筋トレするとはげる?むしろ薄毛を改善する効果がある?

結論「筋トレ=はげ」ではありません。むしろ、薄毛を改善する効果が期待できます。
筋トレのような無酸素運動を行うと、体内で成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは、頭皮の毛母細胞を活性化させる作用を持つ物質です。活性化により髪の毛の成長が促進され、抜け毛を予防する効果が期待できます。
ただし筋トレで過剰にストレスがかかると、逆に髪の毛の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、育毛には筋トレと適切な休養を組み合わせることが重要です。適度に筋トレを行うことで、髪の毛にとってもポジティブな効果を得られるでしょう。
筋トレするとはげるといわれる理由

筋トレするとはげるといわれる理由には、以下が挙げられます。
- テストステロンが活発に分泌されることを勘違いしているから
- 過度な筋トレがストレスホルモンを増やすから
- 筋トレに伴う偏食・過度な食事制限が髪の毛の成長を妨げる可能性があるから
それぞれ詳しく解説します。
テストステロンが活発に分泌されることを勘違いしているから
筋トレをすると男性ホルモンのテストステロンが活発に分泌されるため、薄毛になると誤解されるケースがあります。しかし、テストステロンの分泌は直接的に薄毛を引き起こす要因ではありません。
問題となるのは、テストステロンが酵素である「5αリダクターゼ」と結びついてDHT(ジヒドロテストステロン)に変化することです。DHTが髪の毛に悪影響を及ぼすため、分泌されるテストステロンがDHTに変化することを混同して誤解が広がっていると考えられます。
つまり、テストステロンが増えること自体が薄毛につながるのではなく、テストステロンがDHTに変換される過程が薄毛に影響を与えているのです。
過度な筋トレがストレスホルモンを増やすから
筋トレするとはげるといわれる理由に、過度な筋トレがストレスホルモンを増加させる点が挙げられます。
筋トレだけでなく、過度な運動は心身にストレスを与えます。ストレスは髪の毛へ悪影響を及ぼすため注意が必要です。特に、疲れが取れない状態で筋トレを続けることは慢性的なストレスにつながりやすく、薄毛を進行させる原因となる可能性があります。
筋トレを行う際は、週に3~4回の適切な頻度を守り、十分な睡眠と休養を取ることが重要です。身体の回復を優先させ、無理のないペースで筋トレを行うことでストレスホルモンの増加を防ぎましょう。
筋トレに伴う偏食・過度な食事制限が髪の毛の成長を妨げる可能性があるから
筋トレに伴う偏食や過度な食事制限は、髪の毛の成長に影響を与えることがあります。
筋トレと並行して、カロリーや脂質を減らしてタンパク質を多く摂取する食生活に切り替える方が一定数おり、栄養の偏りを引き起こす傾向があります。過度な食事制限は、髪の毛に必要な栄養素が不足する原因です。
筋トレによる薄毛のリスクを抑えるためには、タンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなど、髪の毛の成長に必要な栄養素をバランス良く摂取しましょう。
またサプリメントの過剰摂取による栄養過多も、身体にストレスがかかり髪の毛に悪影響を及ぼす可能性があります。バランスの取れた食事を基本とし、サプリメントは不足しがちな栄養素を補う目的で使用しましょう。
適度な筋トレを実施すれば育毛を促す効果が見込める

適度な筋トレの実施は、以下の理由から育毛を促す効果が見込めるといえます。
- 全身の血液循環が活発になり頭部にも酸素・栄養が回りやすくなるから
- ストレス発散につながるから
- 生活習慣の改善を意識する人が増えるから
それぞれ詳しく解説します。
全身の血液循環が活発になり頭部にも酸素・栄養が回りやすくなるから
適度な筋トレは血液循環を促進し、頭部にも酸素や栄養が届きやすくなるため、育毛への良い影響が期待できます。
全身の血流が活発になることで、毛母細胞に必要な栄養素や酸素が効率的に供給され、髪の毛の成長をサポートします。
また、髪の毛の主成分であるタンパク質や成長を助けるビタミン、ミネラルなどが頭皮に行き渡りやすくなるため、より健康で丈夫な髪の毛が育ちやすくなるでしょう。
過度な筋トレでは逆にストレスがかかることがあるため、適度な運動が髪の毛の健康を守る鍵となります。
ストレス発散につながるから
適度な筋トレはストレスホルモンを抑制し、心身のリラックス効果をもたらします。
ストレスは髪の毛の成長を阻害する要因の一つです。ストレスが軽減されることで、髪の毛の成長サイクルが正常化し、抜け毛を予防する効果が期待できます。
筋トレを行うと、神経伝達物質の一つであるセロトニンが分泌されます。セロトニンは幸福感やリラックス効果をもたらし、ストレスを軽減する作用を持つ物質です。
筋トレを通してセロトニンが分泌されると、ストレスが緩和されるので抜け毛のリスクを減らせるでしょう。
生活習慣の改善を意識する人が増えるから
筋トレを始めて生活習慣の改善を意識する人が増えることも、育毛を促す効果が見込めるといわれる理由です。
例えば、不規則な食事や質の低い睡眠を見直し、栄養バランスの良い食事を摂ったり十分に休息したりする機会が増えるでしょう。
健康的な生活を意識すると髪の毛の成長に必要な栄養素が不足しにくくなるので、血流促進にもつながります。
また睡眠の質やストレスが解消されることで、髪の毛の成長サイクルが正常化し、抜け毛を予防する効果も期待できるでしょう。
結果として育毛に適した環境が整いやすくなり、抜け毛のリスクを抑えられます。
筋トレ時に飲む人が多いプロテイン・クレアチン等は髪の毛の成長に好影響が見込める

筋トレを行う人の多くが摂取するプロテインやクレアチンは、髪の毛の成長にも良い影響をもたらします。
髪の毛の主成分であるケラチンはタンパク質の一種であり、プロテインを通じてアミノ酸を補給することは、健やかな髪の毛の維持にとても効果的です。
また、クレアチンは細胞のエネルギー供給を助けるはたらきを持ち、血流の促進を通じて頭皮環境を整える効果が期待できます。
「タンパク質の過剰摂取は身体に悪い」というイメージを持つ人もいますが、1日の摂取量を守れば健康維持に大きく貢献する重要な栄養素です。
適度な筋トレと栄養バランスを意識することで、髪の毛にとっても理想的な環境を整えられるでしょう。
薄毛対策したい方向け!筋トレ前後で摂るのがおすすめな栄養素

筋トレ前後で摂るのがおすすめなタンパク質以外の栄養素を紹介します。
- 亜鉛
- ビタミン類
- 適量の糖質・脂質
それぞれの効果を詳しく解説します。
亜鉛
亜鉛は髪の毛の成長に不可欠なミネラルであり、筋トレを行う人に積極的に摂取してほしい栄養素の一つです。
髪の毛の主成分であるケラチンの合成を助ける役割を持ち、不足すると抜け毛が増えやすくなります。また、亜鉛にはDHT(ジヒドロテストステロン)の過剰な生成を抑制するはたらきがあり、薄毛のリスクを抑える効果も期待できます。
筋トレ後は体内の亜鉛が消費されやすいため、不足を防ぐためにも意識的に補うことが重要です。
亜鉛は牡蠣や牛赤身肉、ナッツ類に多く含まれています。食事からの摂取が望ましいですが、足りない場合はサプリメントを活用するのも良いでしょう。
ビタミン類
ビタミン類は、髪の毛と筋肉の健康維持に欠かせない栄養素です。
以下で代表的なビタミンの髪の毛への効果と筋肉への効果を紹介します。
| ビタミン | 髪の毛への効果 | 筋肉への効果 | 含まれる食材 |
| ビタミンA | 頭皮環境を整え、健康な髪の毛の成長を促進 | 筋肉の修復を助け、免疫機能を強化 | レバー、にんじん、ほうれん草、卵黄 |
| ビタミンB群 | タンパク質の代謝を助け、髪の毛の成長をサポート | エネルギー代謝を促し、筋肉の合成や回復をサポート | 卵、ナッツ類、鶏肉、大豆製品、バナナ |
| ビタミンD | 毛包のはたらきを活性化し、健康な髪の毛の成長を促す | カルシウムの吸収を助け、筋力維持やパフォーマンス向上に寄与 | 鮭、サバ、きのこ類、卵 |
| ビタミンE | 抗酸化作用により、頭皮の老化を防ぎ血行を促進 | 活性酸素を抑え、筋肉疲労の軽減や回復をサポート | アーモンド、アボカド、オリーブオイル、かぼちゃ |
これらのビタミンを適切に摂取することで、薄毛対策とともに筋トレのパフォーマンス向上も期待できるでしょう。
適量の糖質・脂質
糖質・脂質の摂取は筋トレ後のエネルギー補給として重要ですが、過剰摂取には注意が必要です。
特に空腹状態で一気に糖質や脂質を摂ると、血糖値の急上昇を招き、脂肪の蓄積につながる可能性があります。
糖質の適切な摂取量は、運動後30分以内に体重1kgあたり1〜1.2gとされています。糖質は白米やバナナ、脂質はナッツ類やオリーブオイルなど、良質なものを選ぶことが大切です。
適量の糖質は筋肉の回復を助け、脂質はホルモンの生成をサポートします。糖質や脂質をバランスよく取り入れることで、髪の毛の健康維持につながるでしょう。
育毛目的で筋トレを続けるなら育毛剤を使った頭皮マッサージも習慣にしよう



筋トレによる育毛効果をさらに高めたい人には、育毛剤を使った頭皮マッサージがおすすめです。
育毛剤には、髪の毛の成長を促進する有効成分が含まれています。頭皮マッサージを併せて行うことで、血行が促進され育毛剤の有効成分が頭皮に浸透しやすくなります。
育毛剤は、洗髪後の頭皮が清潔な状態で使用するのがポイントです。
頭皮マッサージ前に、育毛剤を頭皮に塗布し指の腹を使って頭皮全体をやさしくもみほぐします。特に頭頂部や生え際など、薄毛が気になる部分を重点的にマッサージすると効果的です。
育毛剤を使った頭皮マッサージを毎日の習慣にすることで、より健康な髪の毛の成長をサポートできます。
参考
「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響
筋トレではげることは基本ないので薄毛が気になるなら別の原因を疑う

筋トレ自体が薄毛を引き起こすことはありません。相当激しい筋トレを実施している場合を除き、薄毛の原因だと考えるのは無理があります。
もし筋トレし始めて薄毛が進行したと感じるのであれば、AGA(男性型脱毛症)などの脱毛症を発症を疑いましょう。
AGAは進行性の脱毛症で自然治癒が難しく、放置すると症状が進みやすいです。そのため、できるだけ早く専門家の診断を受けましょう。
適切な治療を受けることで、髪の毛の状態を改善できる可能性があります。早期の対処が、髪の毛の健康を維持するためには非常に大切です。
筋トレとはげの関係についてよくある質問

筋トレとはげの関係について、以下のよくある質問へ回答します。
- 筋トレすると髪の毛が増えて太くなることはある?
- 筋トレをやめると髪の毛の薄さは改善する?
- 女性でも筋トレすると髪の毛の状態を改善できる?
それぞれ詳しく解説します。
筋トレすると髪の毛が増えて太くなることはある?
筋トレが直接髪の毛を増やすわけではありませんが、血行が改善されるため髪の毛の成長に間接的な良い影響を与えます。
栄養バランスの取れた食生活や質の高い睡眠の確保など、筋トレを通じて良い生活習慣を取り入れれば、髪の毛の状態が徐々に改善される可能性が高まるでしょう。
特に、バランスの良い食事を摂取できると、髪の毛に必要な栄養素がしっかり供給され、髪の毛が太くなることも期待できます。
髪の毛の健康を支えるためには、筋トレと同時に継続的な生活習慣の見直しが重要です。
筋トレをやめると髪の毛の薄さは改善する?
筋トレをやめても、髪の毛の薄さは改善しません。筋トレ自体が薄毛の原因ではないため、もし薄毛が気になる場合は筋トレ以外に原因がある可能性が高いためです。
むしろ、筋トレをやめることで血行が悪くなり、髪の毛に必要な栄養素が届きにくくなることがあります。
また、筋トレをやめるとストレスがたまりやすく、髪の毛に悪影響を与えることがあります。ストレスが原因で薄毛が進行するケースもあるため、筋トレをやめる前に他の薄毛の要因を見付けることが重要です。
女性でも筋トレすると髪の毛の状態を改善できる?
結論、女性でも筋トレを続けることで髪の毛の状態を改善する一定の効果が見込めます。
特に、筋トレで血行が良くなることで頭皮へ栄養を供給する力が向上し、髪の毛の健康にプラスの影響が期待できるでしょう。
また、セロトニンの分泌が活発になりストレスを軽減しやすいことも、髪の毛の健康を保つ上ではポジティブにはたらきます。
しかし、筋トレだけでは効果に限界があるため、食事や生活習慣の見直し、育毛剤の使用など他の対策も併せて行うことが重要です。
はげ予防で筋トレするなら育毛の観点でポイントを押さえよう

薄毛対策として筋トレを行う場合、単に筋トレをするだけでは効果を最大限に引き出せません。育毛効果を高めるためには、筋トレと並行して意識すべきポイントがいくつかあります。
まず、筋トレ後の栄養補給が重要です。必要な栄養素を適切に摂取することで、髪の毛に必要な成分が届きやすくなります。
また、筋トレにはストレスを軽減する効果が見込めるため、過度なストレスが髪の毛に悪影響を与えることを防げます。
このように、生活習慣の見直しと筋トレを組み合わせることは、髪の毛の状態を良好に保つ上で非常に有効です。
ぜひ本記事で紹介したポイントを実践し、筋トレの効果を最大限に活かして髪の毛の健康維持に努めましょう。








