「若い頃からタバコを吸っているのではげないか心配」「はげるのが嫌なのでタバコをやめる方法が知りたい」という悩みを抱える方もいるでしょう。

タバコは身体にさまざまな悪影響を及ぼすことがわかっており、薄毛リスクを高める可能性もあるため注意が必要です。

本記事ではタバコがはげることにつながる6つの要因、薄毛予防のためにタバコを減らす方法を解説します。

記事を最後まで読むとストレスなくタバコを減らす方法がわかり、薄毛リスクを下げやすくなります。はげるのが心配で喫煙の習慣がある方はぜひ参考にしてください。

タバコを吸ってもはげない方もいるが薄毛リスクは高まる

タバコは薄毛の進行に深く関わっており、喫煙者は非喫煙者に比べてはげやすくなることがわかっています。

世界各国でタバコと薄毛に関するさまざまな研究が行われていますが、ある研究では喫煙者が非喫煙者に比べ、男性型脱毛症（AGA)を発症するリスクが1.8倍高いことがわかりました。

1日に10本以上のタバコを吸う方に関しては、1日に10本未満しかタバコを吸わない方に比べ、AGAを発症する可能性が2倍高くなります。

父親や祖父が薄毛でない方や、これまで喫煙して薄毛に悩まなかった方でも、喫煙を続けるとはげる可能性が十分にあります。

ストレス解消方法としてタバコを吸う方も一定数いますが、吸えば吸うほど薄毛のリスクを高めている点に注意が必要です。

参考：喫煙と男性型脱毛症の関連性に関するメタ分析研究（英文による解説）

タバコがはげることにつながる要因

タバコがはげることにつながる主な要因は以下の6つです。

• ニコチンが血管を収縮させて血行不良を起こすから
• 一酸化炭素が毛乳頭細胞への酸素・栄養を届けにくくするから
• 活性酸素が増加し毛母細胞を老化させるから
• AGAの原因となるジヒドロテストステロン（DHT）の濃度を高めるから
• 髪の成長に必要なビタミンCが消費されるから
• 体内で生成されたタウリンがアミノ酸を消費するから

ニコチンが血管を収縮させて血行不良を起こすから

ニコチンはタバコに含まれるアルカロイドの一種で、厚生労働省によって毒物に指定されている化学物質の一つです。

ニコチンは依存性が高いだけでなく、血管を収縮させる強い作用を持ちます。

頭皮には毛細血管が多く分布しているため、ニコチンが血管を収縮させて血行不良を引き起こすと、髪の毛の成長に必要な栄養を頭皮に送り届けにくくなります。

髪の毛の成長に必要な栄養が不足すると抜け毛が増え、はげにつながりやすいです。

参考 ニコチン｜e-ヘルスネット

一酸化炭素が毛乳頭細胞への酸素・栄養を届けにくくするから

一酸化炭素は炭素の酸化物の一種で、タバコの煙にも1〜3%含まれています。ニコチン、タールとともに「タバコの三害」と呼ばれる有害物質の一つで、髪の毛の生育に関わる毛乳頭細胞への栄養供給を妨げるのが特徴です。

一酸化炭素は酸素の200倍以上もヘモグロビンに結合しやすく、血液による酸素運搬を妨げます。

髪の毛は毛乳頭細胞が血液から酸素や栄養を受け取り、毛母細胞に対して発毛指令を送ることで成長します。一酸化炭素により血液による酸素運搬が妨げられると、毛乳頭細胞が酸欠に陥るため、抜け毛リスクが高くなるのです。

一酸化炭素には動脈硬化を促進する作用もあるため、全身の血行不良を招くリスクも増加します。

参考一酸化炭素｜厚生労働省

活性酸素が増加し毛母細胞を老化させるから

活性酸素は通常よりも活性化した状態の酸素で、喫煙によって増加すると毛母細胞を老化させます。

活性酸素はウイルスや細菌から身体を守る重要なはたらきも持ちますが、過剰に生成されると正常な細胞を攻撃して酸化を促進するのがネックです。

タバコの煙には活性酸素を生成する物質が多く含まれており、過剰に生成されると毛母細胞を攻撃して抜け毛リスクを高めます。

タバコを吸う方はもちろん、非喫煙者も副流煙を吸うことでも活性酸素が過剰に生成されやすいため注意が必要です。

参考 活性酸素と酸化ストレス｜厚生労働省

AGAの原因となるジヒドロテストステロン（DHT）の濃度を高めるから

タバコを吸うと、男性型脱毛症（AGA）による抜け毛を引き起こすジヒドロテストステロンの濃度を高め、はげるリスクを増大させます。

ジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容器に結合すると、髪の毛の成長期を短縮して抜け毛リスクを高めるTGF-βが生成されます。

TGF-βにより成長期を短縮された毛穴が増えると、次第にAGAによる薄毛が進行するシステムです。

無作為に抽出された1241人の中年米国人を対象とした比較試験において、喫煙者は非喫煙者に比べ血中ジヒドロテストステロン（DHT）濃度が14%高いことがわかりました。

ただ、喫煙がジヒドロテストステロン濃度を高めるメカニズムに関しては、現在のところ不明です。

とはいえ、タバコの薄毛への悪影響と喫煙者のDHT濃度の高さがデータとして出ていることから、喫煙ははげるリスクを高める一因だといえます。

参考National Library of Medicine（英文による解説）

髪の毛の成長に必要なビタミンCが消費されるから

タバコではげるリスクが高くなる原因の一つが、体内のビタミンCが消費されるためです。

ビタミンCは頭皮の健康を維持するコラーゲンを合成するために不可欠な栄養素です。

タバコを吸うと毛母細胞を老化させる活性酸素が生成されますが、活性酸素を除去するためにビタミンCが消費されます。

成人は1日に100mgのビタミンCを摂取するよう推奨されていますが、タバコを1本吸うと20mgのビタミンCが失われます。

タバコを5本吸うと1日に必要なビタミンCが消費される計算です。

ビタミンCが不足すると活性酸素による毛母細胞の老化が進み、抜け毛リスクが高くなります。

参考日本人の食事摂取基準（2020年版）厚生労働省

体内で生成されたタウリンがアミノ酸を消費するから

タバコを吸うと体内の悪玉コレステロールが増加し、アミノ酸を消費してタウリンが生成されます。

アミノ酸は髪の毛の原料であるケラチンを作る際に必要な栄養素の一つです。

タウリンによってアミノ酸が消費されると、育毛・発毛に必要なアミノ酸が不足し抜け毛リスクが増加します。

はげるリスクを抑えるにはタバコの本数を減らすことが優先

はげるリスクを抑えたいのであれば、まずはタバコの本数を減らす努力が必要です。

喫煙により失われる栄養素をサプリメントなどで補う方法もありますが、禁煙すれば育毛・発毛に必要な栄養素が失われる機会が減ります。

1日に10本以上のタバコを吸う方は、1日に10本未満しかタバコを吸わない方に比べ、男性型脱毛症（AGA）を発症する可能性が2倍高くなることがわかっています。

男性型脱毛症は進行型の脱毛症で原則として完治しないため、はげるリスクを抑えるには禁煙するのが最優先の対策です。

参考：喫煙と男性型脱毛症の関連性に関するメタ分析研究（英文による解説）

薄毛予防のためにタバコ（喫煙）を減らす方法

薄毛予防のためにはタバコの本数を減らす必要がありますが、なかなか禁煙できない方は以下3つの方法を試してみましょう。

• 喫煙以外でストレス解消・気分転換する方法を考える
• 喫煙できる場所を避ける
• ガム・あめなどの禁煙グッズを使って気を紛らわせる

喫煙以外でストレス解消・気分転換する方法を考える

タバコをストレス解消や気分転換目的で吸っており、気がついたらタバコに火をつけているという方も多いでしょう。

常習的にタバコを吸っている方は、何か別の健康的な習慣に置き換える方法がおすすめです。

健康維持や髪の毛の成長を促す目的で、ジョギングやウォーキングなど適度に身体を動かす方法があります。

適度に身体を動かすとストレスの発散につながる上、全身の血行を促進して頭皮に栄養や酸素を送る効果も期待できます。

喫煙できる場所を避ける

タバコの本数を減らす方法の一つが、喫煙できる場所に近づかないことです。喫煙所や飲食店などの喫煙スペースに近づかなければ、そもそもタバコを吸えません。

食事する店を選ぶ際には、全席禁煙の飲食店を選ぶ方法もあります。

仕事の休み時間にタバコを吸いたくなったら、喫煙所を避けて散歩するなど工夫すると良いでしょう。

ガム・あめなどの禁煙グッズを使って気を紛らわせる

喫煙者の中には、なんとなく口寂しい時にタバコに手が伸びる方がいます。

なんとなく吸うタバコを減らすためには、ガムやあめを口にするのがおすすめです。

市販のガムやあめでも構いませんが、より積極的に禁煙に取り組むのであれば、禁煙補助を目的とするガムを利用すると良いでしょう。

急にタバコをやめると心身に影響が出ることもあるため注意

はげるリスクを抑えるにはタバコの本数を減らすと良いのですが、急にタバコをやめると以下2つのトラブルを生じる恐れがあるため注意が必要です。

• 禁煙によって過度なストレスを感じやすい
• 禁煙に伴う離脱症状で日常生活への支障を来す場合がある

禁煙によって過度なストレスを感じやすい

禁煙を始めると、脳内神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌量が一時的に減少し、ストレスを感じやすくなります。

セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれており、ストレスの軽減や睡眠の質の向上に欠かせません。

セロトニンの分泌量が減少すると感情をコントロールできなくなり、ストレスを感じやすいです。

禁煙に取り組んでいる方が周囲から「イライラしている」と思われるのも、一時的にセロトニンの分泌量が減少することが起因します。

周囲に悪影響を及ぼさないためにも、自身で禁煙する方はリスクを知っておく必要があります。

禁煙に伴う離脱症状で日常生活への支障をきたす場合がある

長期にわたりタバコを吸っている方は、禁煙に伴い以下の離脱症状を引き起こす可能性があります。

• イライラ
• 不安
• 集中力の低下
• 眠気
• 睡眠の質の低下
• 頭痛
• めまい
• 抑うつ症状

離脱症状の程度が重いと、日常生活に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。

離脱症状は禁煙を始めて2〜3日でピークに達し、その後10日〜2週間ほどで落ち着く傾向にあります。

禁煙を始める方は離脱症状が起こる可能性を知っておくことも重要です。

薄毛対策として本格的にタバコをやめるなら毛髪診断士などの専門家へ相談しましょう

禁煙に取り組み離脱症状がなくなっても薄毛が進行するのであれば、何らかの脱毛症を発症している可能性があります。

喫煙者の発症リスクが高い脱毛症が男性型脱毛症（AGA）です。

1日に10本以上のタバコを吸うと、10本未満しかタバコを吸わない方に比べ、AGAを発症する可能性が2倍高くなります。

AGAは進行型の脱毛症のため、発症してから禁煙に取り組んでも、薄毛はゆっくりと確実に進行するため注意が必要です。

ストレスが原因で発症リスクが高くなる脱毛症としては、粃糠性（ひこうせい）脱毛症や円形脱毛症などが挙げられます。

いずれも自分で改善するのが困難な脱毛症のため、発症が疑われる際には毛髪診断士などの専門家に相談するのがおすすめです。

はげるリスクを抑えたいならタバコは控えるのがおすすめ

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は頭皮の血行不良を起こし、毛母細胞を老化させるなどしてはげるリスクを高めると考えられています。

薄毛のリスクを少しでも下げたい方は、なるべく早めに減煙・禁煙に取り組むのがおすすめです。

タバコの本数を減らしたい方は、あめやガムを携行したり喫煙所に近づかないようにしたり工夫しましょう。

急にタバコをやめるとストレスや離脱症状に悩まされるケースが多いため、専門の医療機関で治療やアドバイスを受けながら禁煙に取り組むのも効果的です。

タバコを控えても薄毛が進行する方は、何らかの脱毛症を発症している可能性があります。

中でも喫煙者の発症リスクが高い男性型脱毛症（AGA）は進行型の脱毛症のため、タバコをやめたとしても着実に進行します。

AGAは適切な治療により進行を遅らせることが可能なため、なるべく早めに薄毛治療専門のクリニックで診てもらいましょう。