年齢を重ねるごとに薄毛に悩む方が増えやすいです。

AGAの場合、20代での発症率がおよそ10%に対し、50代以降は40%以上と高くなる傾向にあります。

また、一般的に年齢を重ねると毛母細胞が衰えたり死滅したりするため、薄毛が発症しやすくなります。

抜け毛の原因は人によりさまざまなため、適切な対処により薄毛の進行を遅らせる効果が期待できるでしょう。

本記事を最後まで読むと、同じ年齢の方と比べて薄毛が進行しやすい方の特徴がわかります。自分の抜け毛の原因を知り、適切に対処するための参考にしてください。

薄毛は年齢が上がるにつれて発症しやすくなる

年齢が上がるにつれて髪の毛が薄くなりやすいです。

一般的に年齢を重ねると毛母細胞が衰えたり死滅したりする毛穴が増えるため、男女を問わず髪の毛全体のボリュームが減少する傾向にあります。

また、加齢にともない動脈硬化が進行すると、頭皮に送られる血液の量が減少するため、髪の毛の成長が鈍化します。

男性に見られる代表的な薄毛であるAGAに関しては、20代では発症率が10%であるのに対し、50代以降になると40%以上と高くなる点が特徴です。

参考 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

薄毛が気になり始めた年齢の平均は男性38.5歳・女性41.7歳

薄毛に関する研究結果によると、薄毛が気になり始めた年齢の平均は男性で38.5歳、女性で41.7歳となっています。

調査期間	2019年～2023年
調査対象	男性：平均1476名女性：平均572.8名

男性の薄毛が気になり始めた年齢は、2019年から順に38.2歳、38.1歳、38.4歳、37.9歳、38.5歳でした。

また、女性の薄毛が気になり始めた年齢は、2019年から順に41.4歳、41.9歳、41.8歳、41.1歳、41.7歳でした。

全体的に男性は女性に比べ、薄毛が気になり始める時期が早い傾向にあります。2023年の年代別分布を見ると男性は40代、女性は50代で薄毛を気にする方の数がピークに達しています。

参考 ＜10月20日は頭髪の日＞薄毛に関する意識調査2023

同じ年齢の人と比べて薄毛が進行しやすい方の特徴

薄毛が気になり始めるピークは男性で40代、女性で50代との研究結果が出ていますが、早くから薄毛が進行する方には以下の特徴があります。

• 睡眠不足
• 運動不足
• 栄養不足
• 慢性的な疲労・過度なストレス
• 誤ったヘアケア

同じ年齢の方と比べて薄毛が進行していると感じる方は、上記に該当しないか確認してみることをおすすめします。

睡眠不足

同じ年齢の方と比べて薄毛が進行しやすい方は、睡眠不足が続いていないか確認してみてください。

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、細胞分裂が活発化します。髪の毛は毛母細胞の分裂によって成長するため、睡眠不足により成長ホルモンの分泌量が減少すると、髪の毛の成長が妨げられます。

また、睡眠不足による自律神経のバランスの乱れも、髪の毛の成長を妨げる原因の一つです。

睡眠不足により自律神経のうち交感神経が優位に傾くと、血管が収縮して血行不良を招きます。血行不良により頭皮の栄養状態が低下すると、髪の毛の成長が妨げられて抜け毛リスクが増加します。

他にも暑くないのに寝汗をかく方は、睡眠中に交感神経が優位に傾いている可能性があるため注意が必要です。

運動不足

筋肉には血管を圧迫して血液循環をサポートする働きがあるため、運動不足により筋力が低下すると血行不良を引き起こしやすくなります。

血行不良を起こすと頭皮に栄養が行き届かなくなるため、髪の毛の成長に悪影響をおよぼします。

身体を動かさないこと自体もストレスとなり、自律神経のバランスを乱す恐れがあるので注意しましょう。

栄養不足

栄養不足も髪の毛の成長を妨げ、抜け毛リスクを高める原因の一つです。

髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンから作られているため、日常の食事で良質なタンパク質が不足すると、健康な髪の毛の成長が妨げられます。

また、皮脂の分泌量をコントロールしたり、皮膚や粘膜の健康を維持したりするためには、ビタミンB群の摂取も欠かせません。

偏食や無理なダイエットをしている方は、栄養不足に陥っていないか確認する必要があります。

慢性的な疲労・過度なストレス

同じ年齢の方と比べて薄毛が進行しやすい方は、慢性的な疲労や過度なストレスが蓄積していないか確認してみましょう。

眼精疲労や肩こり・首こりなどが原因で筋肉が硬くなると、血管が圧迫されて頭皮へ送られる血流量の減少を招きます。

また、過度なストレスは自律神経のバランスを見出し、血行不良を招く原因の一つです。

血行不良が常態化して頭皮へ送られる血液の量が減少すると、髪の毛の成長に必要な栄養が不足して抜け毛リスクが増加します。

誤ったヘアケア

誤ったヘアケアによる頭皮環境の悪化は、薄毛の進行速度を早める恐れがあります。

毎日の洗髪にラウレス硫酸ナトリウムなどの合成界面活性剤を配合したシャンプーを使用している方は注意が必要です。

合成界面活性剤はシャンプーの泡立ちを良くしますが、強力すぎる洗浄力により頭皮を守るべき皮脂まで洗い流してしまいます。

ヘアカラーやパーマなどのダメージも頭皮環境を悪化させ、抜け毛リスクを増加させる原因の一つです。

参考 ヘアカラーによる「かぶれ」に要注意！

遺伝による薄毛の場合は年齢と不相応になりやすい

抜け毛の原因は人によりさまざまですが、遺伝が原因の場合は年齢と関係なく薄毛を進行させる可能性があります。

例えば男性に見られるAGA（男性型脱毛症）は、主に遺伝が原因と考えられています。AGAには進行型という特徴があるため、原則として完治することがありません。

また、思春期以降に発症する脱毛症のため、10代後半や20代前半でも薄毛になる可能性があります。

しかし、専門のクリニックで適切な治療を受けると、年齢相応の毛髪量を維持したり、薄毛の進行を遅らせたりすることは可能です。

年齢に比べて早く進行する薄毛の症状を緩和する方法

生活習慣や誤ったヘアケアによって年齢に比べて薄毛が進行している方は、以下の方法で症状の緩和に取り組むのがおすすめです。

• 乱れた生活習慣を整える
• 誤った頭皮ケアの方法を見直す
• 髪の毛の健康を促進する習慣を取り入れる

乱れた生活習慣を整える

乱れた生活習慣は髪の毛の成長を妨げる原因の一つです。

睡眠不足が続いている方は可能な限り6時間から7時間の睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めるよう意識しましょう。

睡眠の質を高めるためには、日中に適度に身体を動かしたり、お風呂に浸かってリラックスしたりするのが効果的です。

喫煙や飲酒の習慣がある方は、できれば禁煙に取り組み、アルコールの摂取は適量にとどめましょう。

生活習慣が原因の抜け毛であれば、上記の取り組みを続けると早期の改善が期待できます。

誤った頭皮ケアの方法を見直す

髪の毛の成長を促進するためには、正しい頭皮ケアを取り入れる必要があります。

洗髪後に頭皮のかゆみや赤みが出る方は、アミノ酸系の洗浄力がマイルドなシャンプーを選ぶのがポイントです。

また、細菌は湿った環境を好むため、髪の毛を洗った後は短髪の方でもドライヤーをかけるようにしてください。

頭皮の乾燥も抜け毛リスクを高める原因となるため、頭皮用のローションや育毛剤などで保湿するのがおすすめです。

髪の毛の健康を促進する習慣を取り入れる

髪の毛や頭皮の健康を促進すると、抜け毛リスクを減らす効果が期待できます。

例えば頭皮マッサージを行うと血行が促進されるため、髪の毛の成長に必要な栄養素を頭皮へと送り届けやすくなります。

頭皮マッサージを行う際には指の腹を使い、頭皮自体を動かすイメージで優しく刺激するのがポイントです。

また、頭皮環境を整える目的で育毛剤を使用する方法もあります。

育毛剤を選ぶ際にはパッケージを確認し、血行を促進する成分や頭皮の炎症を鎮める成分などが配合されている商品を選ぶと良いでしょう。

参考 厚生労働省｜医薬部外品の効能効果の範囲

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同年齢の相場よりも早く薄毛が進行しているなら一度医師へ相談しましょう

同年代の方と比べて薄毛が進行しているように感じる方は、脱毛症や病気を発症している可能性も疑われます。

脱毛症や病気による抜け毛は自然治癒が難しいため、早めに専門家に診てもらうのがおすすめです。

抜け毛を引き起こす主な脱毛症や病気の例は以下の通りです。

病名	薄毛の症状の特徴
AGA（男性型脱毛症）	頭頂部や前頭部を中心に局所の薄毛が見られる
FAGA（女性男性型脱毛症）	髪の毛全体のボリュームが減少する
円形脱毛症	まとまった範囲の髪の毛がある日突然抜け落ちる
粃糠性（ひこうせい）脱毛症	抜け毛にともない粒の小さいフケが大量に発生する
びまん性脱毛症	髪全体のボリュームが減少して頭皮が透けて見えるようになる
甲状腺機能低下症	全身の倦怠感や肌の乾燥にともない抜け毛が増える

AGAやFAGAは男性もしくは女性に多く見られる脱毛症で、主にホルモンバランスの変化が原因で発症します。

円形脱毛症は年齢や性別を問わずに発症し、しばしば再発を繰り返すため注意が必要です。

粃糠性脱毛症は、誤ったヘアケアなどが原因で大量のフケが生じ、毛穴に炎症を起こして抜け毛が増える点が特徴です。

びまん性脱毛症は更年期の女性に多く見られる脱毛症で、髪全体のボリュームが減少して、地肌が見えやすくなる特徴があります。

甲状腺機能低下症は主に橋本病の発症で起こり、抜け毛だけでなく全身の倦怠感や無気力、寒気、便秘などをともなう傾向があります。

参考

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン

薄毛の治療を受けられる年齢はいつからいつまで？

薄毛の治療を受けられる年齢はクリニックによって異なりますが、投薬治療は原則として20代から行っているクリニックが多いです。

クリニックによっては保護者や親権者の付き添い、もしくは同意書があれば、投薬以外の治療を行うケースもあります。

治療を受けられる上限に関してもクリニックにより異なるため、無料カウンセリングを利用して問い合わせてみるのと良いでしょう。

年齢を重ねてからの薄毛は仕方ないとある程度の諦めも必要

髪の毛が生えてから抜け落ちるまでのサイクルを毛周期と言います。

生涯に繰り返される毛周期の回数は20回前後とされており、毛周期を終えた毛穴からは二度と髪の毛が生えてきません。

そのため、年齢を重ねてからの薄毛に関しては、治療をしても期待したほどの効果が得られない可能性もあります。

若いときの状態を完全に取り戻すのは難しいため、ある程度は諦める必要があると知っておいてください。

薄毛が気になったら年齢はいくつからでも対策し出すのが良い

薄毛は年齢に関係なく発症する可能性があります。

抜け毛が気になりはじめたら、可能な限り早めに対策するのがおすすめです。

生活習慣の乱れや誤ったヘアケアが原因の薄毛に関しては、セルフケアでの改善も期待できます。

脱毛症や病気が原因の薄毛の場合は、専門の医療機関で治療を受けることで早期の改善につながるでしょう。

生涯に繰り返される毛周期の回数には上限があるため、年齢を重ねる前に対策を講じるのがおすすめです。