「コーヒーを飲むと薄毛になる」との噂を聞いて、心配に感じる方もいるのではないでしょうか。
コーヒーに含まれるカフェインは、心身の健康を維持するのに有益といわれたり、反対に健康を阻害する可能性があるといわれたりと評価が定まりません。
本記事では、コーヒーの飲み過ぎで薄毛リスクが上がるといわれる理由や、カフェインの摂取量の限度、髪の毛に良いコーヒーの飲み方を解説します。
最後まで読むと、1日に摂取して良いコーヒーの適量がわかり、薄毛の不安が解消されるでしょう。
日常的にコーヒーを飲む方や将来の薄毛が心配な方は、ぜひ参考にしてください。
コーヒーを飲むと薄毛になりやすい?

結論、コーヒーを飲むと薄毛になりやすいという医学的根拠はありません。
むしろ、カフェインベースの外用薬(皮膚や頭皮などに直接塗って使う液状の薬)が、薄毛治療に用いられるミノキシジル外用薬に匹敵する発毛効果があるとの研究結果も報告されています。
ただし、コーヒーに含まれる代表的な成分のカフェインは血管を収縮させたり、髪の毛に必要な栄養素の吸収を妨げたりする可能性があります。
日常的にコーヒーを嗜む程度なら問題ありませんが、過剰に摂取すると抜け毛リスクを高める恐れがあると知っておきましょう。
参考:National Libraly of Medicine(英文による解説)
コーヒーの飲み過ぎは薄毛リスクを上げる?理由を紹介

コーヒーの飲み過ぎが薄毛リスクを上げるといわれる主な理由は以下の4つです。
- カフェインがアデノシン・亜鉛の吸収を妨げるから
- タンニンが亜鉛の吸収を妨げるから
- カフェインの摂り過ぎで睡眠の質が下がり頭皮の血行が悪くなるから
- 市販の加糖コーヒーにより糖分を摂り過ぎると抜け毛につながるから
それぞれ詳しく解説します。
カフェインがアデノシン・亜鉛の吸収を妨げるから
コーヒーの飲み過ぎが薄毛リスクを上げるといわれる理由の一つに、カフェインがアデノシン・亜鉛の吸収を妨げることが挙げられます。
アデノシンは体内で生成されるプリン体の一種で、髪の毛の成長に関して以下のはたらきを持ちます。
- 血管を拡張して毛根へ栄養を送り届ける
- 毛乳頭細胞に作用して発毛を促進する
- 細胞分裂を活発化させコラーゲンの生成を促す
上記のはたらきがあるため、男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、アデノシンの外用に関して、Bランク(行うよう勧める)の治療法に位置付けています。
また、亜鉛にはアミノ酸を再合成して髪の毛の原料となるケラチンへと作り替える作用があるため、健康な髪の毛の成長に欠かせません。
そのため、アデノシン・亜鉛の吸収を妨げるカフェインの大量摂取は、抜け毛リスクが高まると考えられています。
タンニンが亜鉛の吸収を妨げるから
コーヒーに含まれるタンニンが亜鉛の吸収を妨げることも、コーヒーの飲み過ぎが薄毛リスクを上げるといわれる理由の一つです。
タンニンはコーヒーや紅茶、緑茶、ワインなどに含まれる植物性ポリフェノールの一種で、コーヒー独特の渋味はタンニンによって生み出されます。
タンニンは植物が有害な紫外線から身を守るために生成されるため、高い抗酸化作用を持つ点が特徴です。
一方で、タンニンには亜鉛の吸収を妨げる作用があることもわかっています。
前述の通り、亜鉛は髪の毛を作る際に欠かせない成分のため、コーヒーを過剰に摂取するとタンニンの作用で抜け毛リスクを高める恐れがあります。
カフェインの摂り過ぎで睡眠の質が下がり頭皮の血行が悪くなるから
コーヒーの飲み過ぎが薄毛リスクを上げるといわれる理由の一つに、カフェインの摂り過ぎで睡眠の質が下がり、頭皮の血行が悪くなることが挙げられます。
カフェインには中枢神経を刺激する作用があり、過剰に摂取すると睡眠の質を低下させることがわかっています。
睡眠の質が下がると夜間に分泌される成長ホルモンの分泌量が減少し、新陳代謝の悪化によって髪の毛の成長へ悪影響を及ぼします。
また、カフェインの過剰摂取で交感神経が優位になり、血管が収縮して頭皮に送られる血液の量が減少する点も抜け毛リスクを高める一因です。
髪の毛は毛母細胞の分裂により成長しますが、頭皮の血行が悪くなると細胞分裂に必要なエネルギーが不足するためです。
市販の加糖コーヒーにより糖分を摂り過ぎると抜け毛につながるから
砂糖が大量に入った市販のコーヒーを飲み過ぎると抜け毛につながる点も、コーヒーの飲み過ぎが薄毛リスクを上げるといわれる理由の一つです。
2022年の1月から4月にかけて、中国本土で加糖飲料の摂取と男性型脱毛症の関連性に関する調査が行われました。
その結果、加糖飲料の過剰な摂取が、男性型脱毛症の発症リスク上昇と関連すると判明しています。
加糖飲料の過剰摂取により抜け毛リスクが高まる理由が「糖化」です。
糖化が進行すると頭皮の弾力性が失われて血行不良や新陳代謝の低下を招き、抜け毛や薄毛リスクを高めます。
市販のコーヒーには大量の砂糖が含まれているため、過剰摂取には注意する必要があります。
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コーヒーの適量はどれくらい?カフェインの摂取量の限度も解説

厚生労働省では、食品に含まれるカフェインの過剰摂取に関してQ&A形式で回答しています。
Q.清涼飲料水など食品に含まれるカフェインを過剰に摂取することは健康に問題があるのでしょうか?
A.健康な成人は1日最大400mgまでとする。
妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は1日最大300mgまでとする。
カフェイン400mgは、マグカップでおよそ3杯分です。
カフェインの過剰摂取は不眠症や脱水症状、頭痛、イライラ感などを招くため、妊婦や授乳婦は特に注意すべきと述べています。
過剰摂取を避けるためには何かで割って飲んだり、カリウムやマグネシウムを多く含む食品と一緒に飲んだりするのがおすすめです。
参考:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~|厚生労働省
コーヒーを適量飲むことで髪の毛に対して期待できる効果

適量のコーヒーを飲むことで髪の毛に対して期待できる主な効果は以下の2つです。
- ポリフェノール(クロロゲン酸)が皮脂の酸化を防いで頭皮環境を改善できる
- ストレス・疲労感を軽減するようなリラックス効果が見込める
それぞれ解説します。
ポリフェノール(クロロゲン酸)が皮脂の酸化を防いで頭皮環境を改善できる
適量のコーヒーを飲むとポリフェノール(クロロゲン酸)が皮脂の酸化を防ぐため、頭皮環境の改善につながります。
ポリフェノールは大部分の植物に含まれる苦味・色素成分で、自然界には5000種類以上が存在します。
コーヒーに含まれる主なポリフェノールはクロロゲン酸です。
クロロゲン酸を始めとするポリフェノールは、もともと植物が有害な紫外線から身を守るために生成した物質です。
そのため、クロロゲン酸は高い抗酸化作用を持ちます。
クロロゲン酸のはたらきで皮脂の酸化が抑制されると、頭皮の乾燥を防ぎ抜け毛を予防する効果が見込めるでしょう。
また、クロロゲン酸には血管内皮機能に作用して末梢血管の血流を改善したり、肌の保湿をサポートしたりするはたらきも見込めます。
ストレス・疲労感を軽減するようなリラックス効果が見込める
適量のコーヒーを摂取すると、ストレス・疲労感を軽減するようなリラックス効果が見込めます。
コーヒーの独特な香りにリラックス効果があることはよく知られていますが、疲労感の軽減や睡眠の質の向上、更年期障害の緩和など自律神経にも良い作用を及ぼすことがわかりつつあります。
過度のストレスや疲労は睡眠の質を低下させたり、自律神経のバランスを乱したりして、抜け毛や薄毛リスクを高める一因です。
適量のコーヒーの摂取で心身ともにリラックスすれば、副交感神経が優位に傾き血行が促進されて、髪の毛の成長にも良い影響をもたらすでしょう。
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薄毛対策につながるコーヒーの飲み方

薄毛対策につながるコーヒーの飲み方は以下の3つです。
- 就寝時刻の6時間前までに飲み終える
- お湯・ミルクで薄めて飲む
- ノンカフェイン(デカフェ)コーヒーを選ぶ
それぞれ解説します。
就寝時刻の6時間前までに飲み終える
薄毛対策につながるコーヒーの飲み方の一つが、就寝時刻の6時間前までに飲み終えることです。
カフェインの血中濃度はおよそ30分〜2時間で最大に達するため、飲んだ後すぐに布団に入ると睡眠潜時(眠りに落ちるまでの時間)が長くなります。
個人差はありますが体内に取り込まれたカフェインの濃度が半分になるまで、およそ4〜6時間が必要です。
コーヒーを飲み慣れていない方は、お昼過ぎから15時までにコーヒーを飲み終えると良いでしょう。
カフェインには利尿作用もあるため、中途覚醒を避けるためにも就寝前のコーヒーの摂取は避けた方が無難です。
お湯・ミルクで薄めて飲む
お湯やミルクで薄めることも、薄毛対策につながるコーヒーの飲み方の一つです。
お湯やミルクで薄めるとカフェインの摂取量を減らせるため、血行不良や睡眠の質の低下が避けられます。
また、コーヒーにミルクを入れると体内に吸収されるカフェインの量が減少する上、胃にかかる負担を和らげることも可能です。
ブラックが好きな方も2杯目以降はカフェオレやアメリカーノ、アメリカンコーヒーにするなど工夫しましょう。
ノンカフェイン(デカフェ)コーヒーを選ぶ
薄毛対策につながるコーヒーの飲み方の一つが、ノンカフェイン(デカフェ)コーヒーを選ぶことです。
生のコーヒー豆を水に浸して水溶液を何度も濾過したり、薬品や二酸化炭素を用いたりしてカフェインを除去する方法があります。
家庭でカフェインを除去するのは難しいため、市販のノンカフェイン(デカフェ)コーヒーを購入すると良いでしょう。
カフェイン入りのコーヒーと違い覚醒効果は見込めませんが、ポリフェノールの抗酸化作用は得られます。
すでに薄毛が進行しているならコーヒーでの改善効果は見込めない

すでに薄毛が進行している方が積極的にコーヒーを摂取しても、改善効果は見込めません。
コーヒーに期待できるのは血行促進作用や抗酸化作用、リラクゼーション作用に伴う頭皮環境の改善です。
日常的な摂取により抜け毛の予防効果は期待できますが、発毛効果は見込めません。
1日に100本以上の抜け毛が数ヶ月にわたり続いている方は、AGA(男性型脱毛症)を始めとする脱毛症の疑いがあります。
特にAGAは進行型の脱毛症のため、症状を放置すると薄毛がゆっくりと確実に進行するため注意が必要です。
以前と比べて明らかに抜け毛が増えている方は、コーヒーの摂取で改善を図るのではなく、なるべく早めに毛髪診断士などの専門家に相談しましょう。
コーヒーと薄毛の関係が気になる方によくある質問

コーヒーと薄毛の関係が気になる方からは、以下4つの質問が多く寄せられています。
- コーヒーを飲むと頭皮が臭くなる?
- コーヒーには薄毛の原因物質のはたらきを抑制する効果がある?
- 缶コーヒーやインスタントコーヒーだと効果は薄れますか?
- コーヒーをやめると髪の毛が若返ったように感じるというのは本当?
それぞれ解説します。
コーヒーを飲むと頭皮が臭くなる?
コーヒーを飲んだからといって、頭皮が臭くなるとは限りません。
コーヒーの飲み過ぎで体臭がひどくなるといわれる理由は、自律神経のうち交感神経が優位に傾き、汗腺の活動が活発化するためです。
また、コーヒーの飲み過ぎにより睡眠の質が低下すると、アンモニアや乳酸など臭いの原因物質が増加しやすくなります。
一方でコーヒーには皮脂の酸化を防ぐクロロゲン酸が含まれており、体臭や頭皮の臭いを防ぐ作用もあります。
適切な量の摂取であれば、コーヒーが原因で頭皮が臭くなるとは考えにくいでしょう。
コーヒーには薄毛の原因物質のはたらきを抑制する効果がある?
近年になり、コーヒーの摂取によりAGA(男性型脱毛症)の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)のはたらきが阻害されると報告されました。
ジヒドロテストステロンのはたらきが阻害されると、ヘアサイクルの成長期を短縮する原因物質「TGF-β」の生成が抑制され、抜け毛の予防につながります。
コーヒーの摂取でジヒドロテストステロンのはたらきが阻害される機序に関しては明らかにされていません。
現在はカフェインの利尿作用でジヒドロテストステロンが体外へ排出されやすくなるためと考えられています。
また、インドで行われた非盲検ランダム化対照試験では、カフェインから抽出した溶液に、ミノキシジル外用薬に近い発毛効果があると報告されています。
カフェインが髪の毛にもたらす影響に関しては研究途上でコーヒーを飲むことで「はげる」とも「髪の毛が生える」とも断言できないのが現状です。
参考:National Libraly of Medicine(英文による解説)
缶コーヒーやインスタントコーヒーだと薄毛の予防効果は薄れますか?
缶コーヒーやインスタントコーヒーで期待できる薄毛予防効果が、豆から挽いたコーヒーに劣るエビデンスを伴う根拠はありません。
そもそも、コーヒーの服用が髪の毛や頭皮に良い(悪い)影響を与えるかに関してもいまだ研究途上です。
ただし、缶コーヒーの中には多量の糖分が含まれている商品もあり、糖化に伴う頭皮環境の悪化を招く恐れがあります。
インスタントコーヒーに関しても、砂糖を入れすぎると糖化のリスクが高くなるため注意が必要です。
どのような商品も砂糖の入れすぎや飲み過ぎは避けましょう。
コーヒーをやめると髪の毛が若返ったように感じるというのは本当?
コーヒーをやめた方の中には「髪の毛が若返った」「肌がきれいになった」と感じる方がいます。
一方でコーヒーの摂取により髪の毛や肌の状態がよくなった方もおり、信憑性はないといわざるを得ません。
個人差があり断定はできませんが、コーヒーを断つことで髪の毛が健康になることの因果関係(エビデンス)はないのが現状です。
コーヒーを飲む(またはやめる)ことで髪の毛が若返るのであれば、医療機関などでコーヒーの服用(または中断)が推奨されるでしょう。
コーヒーは適量を飲めば髪の毛に良い影響が期待できる

コーヒーの飲み過ぎはアデノシンや亜鉛の吸収を妨げ、血行不良を招き、髪の毛の成長を阻害する可能性があります。
一方で、コーヒーを適度に飲むと皮脂の酸化を防いで頭皮環境を改善したり、ストレス・疲労感を軽減したりする効果が見込めます。
結論、コーヒーは飲む量と飲み方が鍵です。
健康な成人は1日に400mgのカフェインが上限のため、マグカップで3杯を目安にコーヒーを楽しむと良いでしょう。
カフェインの摂取量を減らすのであれば、ミルクやお湯で薄めて飲んだり、ノンカフェイン(デカフェ)コーヒーを選んだりする方法もあります。
適量のコーヒーを飲めば髪の毛に良い影響が見込めるため、当記事を参考にしてコーヒーの飲み方を見直してみてください。







