「猫っ毛ははげやすい」「細く柔らかい髪質ははげる」と聞いて、不安に感じる方もいるでしょう。

猫っ毛とは、猫のように細く柔らかいふわふわした髪質のことです。ただし、猫っ毛だからといって、必ずしもはげやすいわけではありません。

猫っ毛には先天性と後天性の2種類があります。タイプによって考えられる原因やはげのリスクが異なるので、自分がどちらのタイプかを確認するのが大切です。

本記事では、猫っ毛になる原因や髪質の改善方法を解説します。猫っ毛に合う髪型も男女別で紹介するので、髪質に悩む方はぜひ参考にしてください。

猫っ毛とは細くて柔らかい髪質のこと

猫っ毛とは、細くて柔らかい髪質のことです。手触りが猫の毛のようにふわふわしているため、猫っ毛と呼ばれています。

日本人の髪の毛は0.07～0.15mm程度の太さが平均です。猫っ毛に明確な定義はありませんが、髪の太さが0.06mm以下なら猫っ毛といえます。

髪の毛が細くなり始めるのは男性で20歳頃、女性は35歳頃が一般的です。老化や生活習慣が原因で、猫っ毛になる可能性があります。

猫っ毛は細く柔らかいので、ヘアアレンジの際にボリュームを出しにくいのも特徴です。また、平均的な太さの髪の毛と比べてハリ・コシがない場合もあります。

参考 毛髪に関する数字｜日本毛髪科学協会

猫っ毛ははげやすい？タイプ別に解説

猫っ毛のタイプには先天性と後天性の2種類があり、それぞれのタイプで特徴が異なります。

タイプ	特徴
先天性	・はげやすさには関係がない ・髪質を変えるのは難しい
後天性	・老化や生活習慣が原因となる ・はげる前兆の可能性がある

先天性の猫っ毛は遺伝的要素が原因のため、はげやすさには関係がありません。しかし、生まれつきの髪質であることから、頭皮・毛髪ケアによって髪質を変えるのは難しいです。

一方、後天性の猫っ毛ははげる前兆である可能性があります。老化や生活習慣の乱れ、ストレスが主な原因です。後天性の猫っ毛の場合、原因を取り除けば改善することもあるので、まずは原因を突き止めましょう。

猫っ毛になる原因

猫っ毛になる原因には以下のものがあります。

• 生まれつき・遺伝
• 加齢・老化
• 生活習慣の乱れ
• 栄養の偏り
• 誤った頭皮・毛髪ケア
• 過度なストレス

生まれつき・遺伝

髪質や生え方は生まれつき決まっており、先天性の猫っ毛の原因は遺伝です。親族に猫っ毛の方がいる場合は、先天性の猫っ毛の可能性が高いでしょう。今はそうでなくても、将来的に猫っ毛になるケースもあります。

生まれつきや遺伝が原因の猫っ毛では、必ずしもはげやすいわけではありません。ただし、頭皮・毛髪ケアで髪質を根本的に変えるのは難しいです。

また、髪の毛が細く柔らかいためボリュームを出しにくく、薄毛になると目立つ場合もあります。遺伝が原因の猫っ毛に自覚がある方は、薄毛が進行する前に対策を始めましょう。

加齢・老化

加齢や老化は、後天性の猫っ毛になる原因の一つです。

一般的に、男性は20歳頃、女性は35歳頃を境に髪の毛が細くなり始めます。髪の毛が細くなるのは、加齢に伴い髪のハリやコシがなくなることが要因です。

年齢を重ねて頭皮がたるむと、毛穴が変化して髪質が変わります。若い頃と比べて髪質が変わるのは、後天性の猫っ毛によくある悩みです。

また、髪に必要な栄養素を作り出す機能が20代をピークに低下し始めるため、髪の内部の密度が下がって細く柔らかい髪質に変化しやすくなります。

加齢や老化とともに髪の毛だけでなく、頭皮や血管なども衰え始めるので注意が必要です。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは髪の毛に悪影響を与え、後天性の猫っ毛の原因となります。特に運動不足と睡眠不足には注意してください。

頭皮に栄養を運ぶには、血の巡りを良くするための運動が必要になります。しかし、現代人はデスクワークが多く運動不足の場合が多いため、髪の毛まで栄養が届きにくい状態になりやすいです。

また、日々の忙しさから睡眠不足の方も多いので、髪の成長に必要な成長ホルモンの働きが妨げられています。成長ホルモンが分泌されるのは、眠りについて2～3時間後です。この時間に眠りが浅いと、成長ホルモンの働きが低下して猫っ毛の原因になります。

運動や睡眠が不足している方は、生活習慣の改善から始めましょう。

栄養の偏り

栄養の偏りも猫っ毛の原因となるので、普段の食事にも注意しなければなりません。

髪の毛はケラチンというタンパク質で構成されており、ケラチンを合成するには以下の栄養素が必要です。

• タンパク質
• ビタミン
• ミネラル

しかし、現代人は栄養に偏りがある食事を摂る機会が多く、後天性の猫っ毛になる可能性があります。

また、偏食による栄養の偏りや、過度なダイエットによる栄養不足も猫っ毛になる原因です。髪の毛に必要な栄養素をバランス良く摂取するだけでなく、カロリー制限のしすぎにも注意しましょう。

誤った頭皮・毛髪ケア

誤った頭皮・毛髪ケアを行っていると、髪の成長を妨げて猫っ毛の原因となります。誤ったケアを続けることで、頭皮に負担がかかり髪が痛むので注意してください。

例えば、肌に合わないシャンプーを使っている場合、頭皮にダメージを与えて髪質が変わる可能性があります。フケの原因にもなるので、自分に合ったシャンプーの使用が大切です。

また、ドライヤーの使い方を誤ることで、熱によるダメージが蓄積されて髪の内部構造が変質するケースもあります。くせのある髪の毛を直そうとして、アイロンやパーマを使いすぎるのも要注意です。

過度なストレス

過度なストレスによってホルモンバランスが変化するのも、猫っ毛になる原因の一つです。

ホルモンバランスの乱れは、髪の成長や質に影響を与えます。髪の成長には、髪のハリ・ツヤを保つ女性ホルモンのエストロゲンが欠かせません。

しかし、過度なストレスでエストロゲンの分泌が減少すると、薄毛が進行する可能性があります。

仕事や人間関係などが原因で、ストレスを溜めている方は多いでしょう。ストレスは猫っ毛の原因になるので、リラックスできる時間の確保も重要です。

また、女性の場合はストレスだけでなく、生理・出産・更年期などの影響でホルモンバランスが崩れる可能性もあります。該当する時期に入っていないか確認してみてください。

参考 女性ホルモンとライフステージ

急に猫っ毛になった方は薄毛のサインではないか要チェック

急に猫っ毛になった場合は後天的な要因で髪質が変化した可能性が高いので、薄毛のサインではないか注意してください。

髪の毛は毛根にある毛母細胞が分裂・増殖して成長します。また、自然に生えて抜け落ちるまでのサイクルが毛周期です。毛周期は「成長前期→成長後期→退行期→休止期」の4段階を繰り返します。

毛周期が老化や過度なストレスによって正常に回転しなくなると、髪の毛の成長が緩やかになり猫っ毛が増える可能性があります。特に細く弱々しい髪の毛が増えている場合は要注意です。

そのまま放置していると薄毛が進行する可能性もあるので、生活習慣の改善やストレスの解消を心がけましょう。

参考 男性型脱毛症と育毛有効成分

猫っ毛の治し方はある？改善するアイデアを解説

生まれつきや遺伝が原因の猫っ毛を改善するのは難しいですが、後天的な猫っ毛は生活習慣や頭皮・毛髪ケアの見直しで改善が期待できます。

• 質の高い睡眠を十分な時間とる
• 栄養バランスを考えた食事をとる
• 適度な運動習慣を取り入れる
• シャンプー・ドライヤーの方法を見直す
• 育毛剤を用いて頭皮マッサージを行う

質の高い睡眠を十分な時間とる

後天性の猫っ毛が気になる方は、質の高い睡眠を十分な時間とりましょう。

厚生労働省の調査によると、おおよそ6～8時間が適正な睡眠時間の目安です。しかし、労働世代の約35～50％が6時間未満の睡眠しかとれていません。

睡眠不足は髪の毛の成長を妨げ、猫っ毛の原因となります。1日の睡眠時間は少なくとも6時間以上は確保することが大切です。

質の高い睡眠をとるには、就寝前のスマートフォンやタブレットの使用を避けて、できるだけ部屋を暗くして寝ましょう。また入眠しやすくするために、就寝の1～2時間前に入浴して身体を温めるのがおすすめです。

参考 健康づくりのための睡眠ガイド2023｜厚生労働省

栄養バランスを考えた食事を摂る

後天性の猫っ毛を改善するには、栄養バランスを考えた食事を摂ることも重要です。

健康な髪の毛を作り出すには、たんぱく質・亜鉛・ビタミン類が欠かせません。普段の食事を見直して、髪の毛に必要な栄養素を取り入れましょう。

髪の毛の成長に必要な栄養素は以下のとおりです。

栄養素	具体的な食べ物の例
たんぱく質	肉類、卵、乳製品、大豆製品
亜鉛	かき、肉類、小麦麦芽
ビタミンB群	豚肉、玄米、乳製品、緑黄色野菜
ビタミンC	柑橘類、緑葉野菜、いも類
ビタミンE	植物油、種実類、小麦麦芽

また、脂質や塩分が多い食事は抜け毛や薄毛の原因になるので、摂りすぎないようにしましょう。

参考 栄養に関する基礎知識｜国立循環器病研究センター

適度な運動習慣を取り入れる

運動不足による血行不良は猫っ毛の原因になるので、適度な運動習慣を取り入れましょう。

適度な運動には血行不良の改善だけでなく、ストレスを発散させ睡眠の質を高める効果が期待できます。運動に慣れていない方は、散歩やウォーキングなどから始めてみてください。通勤の際に一つ手前の駅で降りて歩くと、運動を習慣化しやすくおすすめです。

ただし屋外で運動する場合は、できるだけ紫外線を浴びない工夫をする必要があります。紫外線は頭皮にもダメージを与えるので、帽子や日焼け止めを使って対策しましょう。

シャンプー・ドライヤーの方法を見直す

シャンプー・ドライヤーの誤った方法を見直すことで、猫っ毛の改善が期待できます。

猫っ毛は髪の毛が細く柔らかいため、強い摩擦によって多く抜ける場合があります。デリケートな髪質なので、指の腹でマッサージするようにシャンプーしましょう。洗い残しがあると毛根を傷つける可能性があるため、しっかり流すことが大切です。

濡れた状態から自然乾燥させると髪の毛が傷むだけでなく、頭皮環境が悪化しやすくなります。タオルドライで水気を取り除いた後は、頭皮から30cm以上離してドライヤーで乾かしましょう。

また、気にしすぎによる過度なケアも、髪の毛や頭皮のダメージにつながるので注意が必要です。

育毛剤を用いて頭皮マッサージを行う

育毛剤を用いた頭皮マッサージも、猫っ毛の改善に効果的です。頭皮マッサージは以下の手順で行います。

1. 手のひら全体を使って側頭部を包み込み、大きな円を描くようにマッサージする
2. 耳上からフェイスラインにかけて指圧し、生え際の真ん中から頭頂部まで指を移動させる
3. フェイスラインから頭頂部まで、強弱をつけて小さな円を描きながらマッサージする
4. 生え際から頭頂部に向けて頭皮を引き上げるように開いた指を滑らせる
5. 手のひら全体を密着させ、生え際から頭頂部に向けて擦る程度の強さで動かす

マッサージには、頭皮の血流を良くする効果が期待できます。頭皮マッサージを習慣づけることで、髪に栄養を届けやすくなるでしょう。

また、頭皮マッサージの効果を高めるには、髪の成長を促進する育毛剤の使用もおすすめです。

参考

厚生労働省｜医薬部外品の効能効果の範囲

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

猫っ毛に似合う髪型を男女別に紹介

猫っ毛に似合う髪型を男女別に紹介します。

• 猫っ毛の男性’（メンズ）向け
• 猫っ毛の女性（レディース）向け

猫っ毛の男性（メンズ）向け

猫っ毛の男性（メンズ）には以下の髪型がおすすめです。

• ショートレイヤー
• ツーブロック
• マッシュヘア
• アップバング

ショートレイヤーは髪が地肌に密着しにくく、日常のケアも簡単な髪型です。猫っ毛の独特な髪質を活かして、多様なアレンジができます。

ツーブロックはサイドを刈り上げることで、トップのボリュームや動きを引き立てられるのが特徴です。トップの髪を長めに残せば、全体的にメリハリが出せます。

猫っ毛の男性は、軽めのマッシュヘアにするのもおすすめです。軽めの仕上がりにすれば、トップが潰れる心配もありません。

また、アップバングは前髪を上げておでこを強調するので、猫っ毛のペタッとした印象を和らげられます。前髪を上げるだけで顔のバランスが変わり、爽やかさを演出できるのが特徴です。

猫っ毛の女性（レディース）向け

猫っ毛の女性（レディース）には以下の髪型が似合います。

• レイヤーボブ
• かきあげロング
• ゆるウェーブ
• ストレートロング

レイヤーボブは、髪のボリュームを出したい方におすすめです。レイヤーを入れることでボリュームが出やすくなり、首まわりを華奢に見せる効果も期待できます。

ロングヘアはボリュームが出にくく扱いづらい印象ですが、前髪をかき上げることで分け目をカモフラージュすることが可能です。

猫っ毛の女性にはゆるウェーブも似合います。根本から緩くパーマをかければ、ボリュームが出て可愛らしい印象になるのがポイントです。

また、ストレートロングでは顔まわりにレイヤーを入れることで、ふんわりとした印象に仕上がります。トリートメントを揉み込むだけでセットできるので、忙しい女性におすすめです。

猫っ毛が改善しないなら病気・脱毛症の可能性あり

生活習慣や頭皮・毛髪ケアを見直しても猫っ毛が改善しないなら、薄毛を伴う病気・脱毛症の可能性があります。

髪の毛に影響を及ぼす病気・脱毛症の例は以下のとおりです。

• 甲状腺機能亢進症
• 膠原病
• 栄養・代謝障害などの疾患

また、抗がん剤を使用しているケースも、猫っ毛のように髪が細くなる可能性があります。

病気・脱毛症が疑われる場合は、一度専門家に診てもらうのがおすすめです。

猫っ毛のタイプを見極めて髪質の改善とはげの対策に取り組みましょう

猫っ毛を改善するにはタイプの見極めが重要です。先天性は遺伝が原因であり、後天性は生活習慣の乱れや誤ったヘアケアが原因となります。

後天性の猫っ毛は放置していると、はげる可能性があるので要注意です。しかし、後天性の猫っ毛は原因を取り除くことで改善が見込めます。

後天性の猫っ毛に悩んでいる方は、まず日々の食事や睡眠を見直してください。育毛剤を用いた頭皮マッサージでも、猫っ毛の改善が期待できます。

本記事を参考に猫っ毛のタイプを見極めて、改善策を試しましょう。