「髪の毛の生え変わりはどんなサイクルなのか知りたい」「薄毛と生え変わりの関連はあるのか気になる」

このように髪の毛の生え変わりが薄毛と関係あるか気になる方も多いでしょう。

髪の毛の生え変わりには、髪の毛が生えてから抜け落ちるまでのサイクルである毛周期が関係し、生涯に繰り返される回数に限りがあるのが特徴です。

本記事では髪の毛の生え変わりと薄毛の関係、および抜け毛が増えやすい時期と改善策を紹介します。

記事を最後まで読むと髪の毛の生え変わりと薄毛の関係を理解し、毛周期を正常化させる方法がわかります。

抜け毛や薄毛が気になる方は、毛周期や生え変わりが盛んになりやすい時期を知って早めに対策に取り組みましょう。

髪の毛の生え変わり（毛周期）と薄毛は深く関連する

結論、髪の毛の生え変わり（毛周期）と薄毛は深く関連しています。

毛周期は大きく以下の3期に分類されます。

• 成長期（前期・後期）
• 退行期
• 休止期

成長期（前期・後期）	髪の毛が太く・強く成長する時期。毛周期のおよそ85～90%を占める
退行期	髪の毛の成長が停滞する時期。毛周期のおよそ1%を占める
休止期	髪の毛の成長が完全に停止する時期。毛周期のおよそ10～15%を占める

正常な毛周期はおよそ2〜6年で繰り返されますが、脱毛症を発症すると数ヶ月〜1年に短縮されます。

毛周期が短くなると髪の毛が十分に育つ前に抜けたり、弱々しい毛が増えたりしやすいです。

毛周期の回数にも上限があるため、一定数を経た毛根からは生えづらい状態になります。

次項で毛周期をさらに詳しく解説します。

成長期（前期・後期）

毛周期の成長期は毛母細胞の分裂が活発化し、髪の毛が太く・強く成長する時期です。

成長期は前期と後期に分けられ、前期には毛包の細胞の分裂が活発化して毛根部分が作られ始めます。

成長期前期に毛根部分が作られ始めるのと並行して、古くなった髪の毛が押し出されることも特徴です。

成長期後期には毛包の細胞分裂がさらに活発化し、皮下で成長した髪の毛が皮膚の表面に現れます。

毛周期の成長期は髪の毛が最も長く・太くなり、髪の毛の状態が良好に保たれる時期です。

成長期は髪の毛に色を付ける役割を持つメラニン色素が濃いため、毛根まで黒い（茶色い）のが特徴です。

退行期

毛周期の退行期は毛乳頭細胞のはたらきが弱くなり、毛根の成長が停止に向かう時期です。

退行期に入ると毛母細胞の分裂が停滞し、毛包がおよそ1〜3週間かけて退縮し始めます。

くしやブラシで髪の毛を梳かした際に髪の毛が抜けやすくなるのはこの時期です。

毛包が退縮すると毛根が毛乳頭から離れて次第に上方へと押しあげられるため、髪の毛に栄養が供給されなくなります。

抜け毛の毛根が白くなるのは、毛根が毛乳頭から離れて栄養が供給されず、髪の毛に色を付けるメラニン色素が薄くなるためです。

抜け毛の毛根が黒い場合は、成長期にある髪の毛が抜け落ちている可能性があります。

休止期

毛周期の休止期は毛母細胞の分裂が完全に停止し、毛根が退縮して小さくなる時期です。

毛根が小さくなると毛乳頭細胞から完全に離れ、毛穴から抜け落ちるのを待ちます。

毛周期は毛穴1本毎に異なるため、1日に抜け落ちる髪の毛は健康な方で全体のおよそ0.1%に過ぎません。

休止期はおよそ2〜3ヶ月続いた後、毛母細胞が再び活発に分裂し始めて毛周期の成長期を迎えます。

ただし高熱や手術、栄養失調、出産に伴うホルモンバランスの変化などが原因で身体や頭皮に大きな負担がかかると、成長期にある髪の毛が急に休止期へ移行するケースもあります。

正常な生え変わりでは髪の毛は何本抜ける？薄毛のサインも紹介

毛周期はおよそ2〜6年ごとに繰り返されており、抜け毛が毎日のように見られるのは当たり前の現象です。

日本人の毛髪はおよそ10万本とされており、およそ50〜100本が毛周期の休止期を迎えて抜け落ちます。

100本の抜け毛は、髪の毛全体からすると約0.1%にしか過ぎません。

季節によっては100本以上の抜け毛が見られる時期もありますが、長く続かなければ過度に心配する必要はないでしょう。

100本以上の抜け毛が数ヶ月にわたり継続する場合は、何らかの脱毛症の可能性もあるため注意が必要です。

また、抜け毛の量が以前と比べて明らかに増加している方や、髪の毛全体のボリュームが減少している方も、薄毛が進行している可能性があります。

春先と晩夏は髪の毛の生え変わりが盛んになる

一般的に1日当たりの抜け毛は50〜100本が目安ですが、季節によっては生え変わりが盛んになり抜け毛の本数が増えます。

1年の間でも特に春先と夏の終わりごろに抜け毛の本数が増える傾向にあります。

春先に抜け毛が増えるのは、就職や進学に伴って生活環境が変化し、自律神経に乱れを生じることが原因の一つです。

自律神経のバランスが乱れると睡眠の質が低下して細胞分裂が鈍くなり、毛周期の短縮を招くリスクが増加します。

夏の終わりに抜け毛が増えるのは、夏に紫外線によるダメージの蓄積や寒暖差により自律神経の乱れ、頭皮の乾燥などさまざまです。

順天堂醫事雑誌にも春先と秋に抜け毛が増えるとの報告があり、特に秋口に抜け毛の本数が急激に増える旨が記載されています。

年齢を重ねると髪の毛の生え変わり周期は乱れやすくなる

季節的な要因以外にも年齢を重ねることで抜け毛の本数が増えたり、髪の毛全体のボリュームが減少したりする方は多いです。

男性・女性を問わず30代後半から40歳前後にかけてホルモンバランスに変化が生じ、毛周期が乱れやすくなるためです。

なかでも更年期を迎えた女性が抜け毛や髪の毛全体のボリュームダウンに悩まされるのは、女性ホルモンの分泌量の減少が関わっています。

女性ホルモンでよく知られるエストロゲンとプロゲステロンですが、それぞれ髪の毛に関して以下のはたらきがあります。

• エストロゲン…髪の毛のハリやコシを保つ
• プロゲステロン…毛周期の成長期を維持する

更年期になるとエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が減少するため、毛周期が短くなり抜け毛が増えやすくなります。

参考

女性ホルモンとライフステージ

更年期｜一般財団法人 女性労働協会

髪の毛の生え変わりを正常化するためのアクション

髪の毛の生え変わりには頭皮環境が関係しているため、普段から以下の5点を意識して良好な頭皮環境を保つようにしてください。

• 質の良い睡眠を十分な時間とる
• 髪の毛の生成に寄与する栄養素を多く摂る
• 適度な運動を意識して取り入れる
• 正しいヘアケア方法を見直す
• 育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

質の良い睡眠を十分な時間とる

髪の毛は毛母細胞の分裂によって成長しますが、細胞分裂は夜間に成長ホルモンが分泌されることで活発化します。

成長ホルモンの分泌を促進するためにも、日常的に質の良い睡眠を十分にとることが欠かせません。

適切な睡眠時間は個人や年齢により異なりますが、一般的に成人は6時間以上の睡眠をとることが推奨されています。

睡眠の質を高めるためにはなるべく早寝早起きして、朝日を浴びて体内時計をリセットするのが効果的です。

パソコンや人工照明器具から放出されるブルーライトは脳を興奮させて眠りの質を低下させるため、寝る1〜2時間前には部屋の照明を落としましょう。

参考

健康づくりのための睡眠ガイド2023｜厚生労働省

住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響

髪の毛の生成に寄与する栄養素を多く摂る

髪の毛は毎日の食事から摂取する栄養素をもとに作られます。

また、良好な頭皮環境を保つためにも以下の栄養素および食品を摂取するよう心がけてください。

栄養素	食べ物の例
タンパク質	肉類・魚類・大豆製品・乳製品・鶏卵など
亜鉛	牡蠣・豚レバー・小麦・サバ・アーモンドなど
ビタミン類	ニンジン・ほうれん草・バター・レバー類・ウナギなどB：赤身の魚・脂質の含有量が少ない肉類・パプリカ・玄米などD：サバ・イワシ・鶏卵・エリンギ・鶏モモ肉など
鉄分	赤身の魚や肉類・レバー・カツオ・マグロ・豆類・海藻類など
カルシウム	乳製品・小魚・干しエビ・大豆製品・緑黄色野菜など

参考

栄養に関する基礎知識｜国立循環器病研究センター

適度な運動を意識して取り入れる

髪の毛は毛母細胞の分裂によって成長しますが、細胞分裂に必要なエネルギーは毛細血管を通して供給されます。

日常的に意識して適度な運動を取り入れると、血行を促進して毛周期のサイクルを正常に保つ効果が見込めます。

以下の運動から自分に合った方法を選んで実践してみてください。

普段の生活の中（通勤・家事など）でできる運動の例	習慣として新たに始めやすい運動の例
・通勤の際に一駅前で降りて歩くようにする ・エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う ・自転車や自動車を使わず歩くように意識する	・プールに通って水中ウォーキングを行う ・早起きして散歩する ・階段や段差を利用して踏み台昇降を行う ・美容と健康を兼ねてヨガやピラティスを習う

適度に身体を動かすと心地良い疲労感が得られ、睡眠の質を向上させる効果も見込めます。

参考

厚生労働省「身体活動・運動」

正しいヘアケア方法を見直す

誤ったヘアケアに伴う頭皮へのダメージは毛周期を乱す原因の一つです。

シャンプーやドライヤーは以下の手順で正しくおこない、良好な頭皮環境を保つよう意識してください。

正しいシャンプーの手順は以下の通りです。

1. 髪の毛だけでなく頭皮も予洗いする
2. 手のひらでシャンプーを十分に泡立てる
3. 泡立てたシャンプーを何箇所かにつけ指の腹で頭皮を動かすようにして洗う
4. 洗い終えたらぬるま湯でしっかりとすすぐ
5. 毛先から水滴が落ちない程度にタオルドライを行う

また、正しいドライヤーの手順は以下の通りです。

1. ドライヤーは髪の毛から15センチメートルほど離して使う
2. 髪の毛を持ち上げるようにして根元から乾かす
3. ドライヤーを動かしながら全体を8割方乾かす
4. 8割方乾いたら冷風に切り替えて仕上げる

毎日行うヘアケア習慣の誤りを正すことでも、頭皮や髪の毛の状態が改善する効果は見込めます。

育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

正しい方法でシャンプーとドライヤーを終えたら、育毛剤を塗布して頭皮マッサージを行いましょう。

頭皮と髪の毛を乾かしてから育毛剤を適量頭皮に塗布し、指の腹でマッサージするイメージで擦りこんでください。

育毛剤は市販のもので十分です。肌質に応じて保湿成分を配合した商品や、かゆみ止め成分を含む商品などを選ぶと良いでしょう。

育毛剤を擦りこんだ後のドライヤーは不要です。

頭皮マッサージを行う際には、始めに首の後ろの筋肉を緩めて血行を促進しておくと効果的です。

マッサージの際は指の腹で優しく頭皮を動かし、爪や指先で頭皮を傷つけないように気をつけてください。

参考

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

医薬部外品の効能効果の範囲｜厚生労働省

自然な髪の毛の生え変わりより多く抜け毛が起きているなら注意

自然な髪の毛の生え変わりでは1日に50〜100本以上の抜け毛が見られます。

季節によっては150〜200本の抜け毛が見られる時期もありますが、100本以上の抜け毛が長期にわたり続く場合は下記の脱毛症が疑われます。

AGA（男性型脱毛症）	細くて弱々しい抜け毛が増える
粃糠性脱毛症	頭皮を覆うほどの粒の小さなフケとともに抜け毛が増える
円形脱毛症	まとまった範囲の髪の毛が突然のようにごっそりと抜け落ちる
脂漏性脱毛症	抜け毛だけでなくベタベタとした黄色いフケが増える

上記の脱毛症はいずれも自然治癒が難しいため、毛髪診断士などの専門家のカウンセリングを受け、可能な限り早めに対処することが重要です。

参考

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

薄毛対策を始めてすぐの時期も髪の毛の生え変わりが盛んになりやすい

薄毛が気になって対策を始めると、2週間から1ヶ月が経過した頃に一時的な抜け毛量の増えることがあります。

薄毛対策に伴う一時的な抜け毛量の増加は「初期脱毛」のため、過度に心配する必要はありません。

薄毛対策により毛周期が正常化すると成長期に移行する髪の毛が増え、髪の毛の生え変わりが盛んになります。休止期を迎えた髪の毛が押し出されて抜け毛が一時的に増える仕組みです。

初期脱毛は毛周期が正常化し、髪の毛が太く・強く成長している証拠といえます。

通常、初期脱毛は薄毛対策を始めてから2〜3ヶ月ほどで落ち着きます。抜け毛があまりにも長く続く方は、毛髪診断士などの専門家のカウンセリングを受けてください。

髪の毛の生え変わりと薄毛に関してよくある質問

髪の毛の生え変わりと薄毛に関しては、以下3つの質問が多く寄せられます。

• 髪の毛が生え変わる際に頭がかゆくなることはある？
• 髪の毛の生え変わりが正常化するまでどれくらい（何日）かかる？
• 短い毛・弱々しい毛の生え変わりには限度がある？

髪の毛が生え変わる際に頭がかゆくなることはある？

結論、髪の毛が生え変わる際に頭がかゆくなることはあります。

ただし、抜け毛が髪の毛の生え変わりに伴って起きているのか、それ以外の原因か注視しましょう。

頭皮の乾燥や皮脂の過剰な分泌に伴う炎症、雑菌の異常繁殖などが原因のかゆみは個々に適した対処が必要です。

髪の毛を洗った後に頭皮がつっぱる方は、乾燥に伴うかゆみを招く可能性があります。

抜け毛の根元にベタベタした皮脂が付着している方は、脂漏性脱毛症に伴う抜け毛を疑いましょう。

頭皮のかゆみと抜け毛の増加が見られる方は、なるべく早めに毛髪診断士などの専門家に相談してください。

参考

頭の痒みと抜け毛｜公益社団法人 鳥取県医師会

髪の毛の生え変わりが正常化するまでどれくらい（何日）かかる？

髪の毛の生え変わりが正常化するまでの期間は、およそ3ヶ月〜半年（90日〜180日）が目安です。

毛周期はおよそ2〜6年で繰り返しており、髪の毛が抜け落ちる退行期および休止期は全体の10〜15%を占めています。

単純に計算するとおよそ75日〜220日で退行期〜休止期を終えますが、毛周期は髪の毛1本毎に異なります。

また、毛周期が正常化するまでの期間も個人差があるため、最低でも半年は見込むようにしてください。

短い毛・弱々しい毛の生え変わりには限度がある？

結論、短い毛や弱々しい毛の生え変わりには限度があります。

ストレスや自律神経の乱れなどが原因で短くなった毛周期は、生活習慣の見直しなどで改善可能です。

しかし、生涯に繰り返される毛周期の回数には15〜20回と上限があります。そのため、毛周期の上限を迎えた毛穴からは、髪の毛が生えて来なくなります。

進行型の脱毛症であるAGAに早期治療が必要な理由も、毛周期の上限を迎えるまでに改善する必要があるからです。

参考：Dr.AGAクリニック「若ハゲの原因と対策を解説！早めの予防と治療で薄毛・AGAの悩みを改善」

髪の毛の生え変わりを正常化して薄毛を予防しましょう

髪の毛が生えてから抜け落ちるまでのサイクルを毛周期と呼んでおり、およそ2〜6年かけて髪の毛は生え変わり続けています。

毛周期の大部分を髪の毛の成長期が占めており、サイクルが正常だと一定の毛量が保たれます。

しかし、ストレスや自律神経の乱れなどが原因で成長期が短くなると、以前に比べて抜け毛が増えたり、薄毛が目立ったりし始めるため注意が必要です。

生涯に繰り返される毛周期の回数には上限があるため、成長期の短縮をなるべく早めに改善することが薄毛予防につながります。

髪の毛の生え変わりを正常化するためには生活習慣や食習慣を見直し、頭皮マッサージなど髪の毛の成長をサポートする習慣を取り入れるのがおすすめです。

正常化に向けて対処しても抜け毛が改善しないなら、毛髪診断士などの専門家のカウンセリングを受けてください。