髪の毛を太くするためには適度な運動や十分な睡眠、バランスの取れた食事が大切です。髪の毛が細くなる原因は加齢や遺伝だと思い込み、改善を諦めてしまう方もいることでしょう。

しかし、適切な対処をすることで髪の毛を太くできる可能性があります。髪の毛を太くする要素や髪の毛が細くなる原因を知り、根本的な対策を打ちましょう。

本記事では、髪の毛が細くなる原因や髪の毛を太くするためのセルフケア方法を紹介します。ヘアスタイルの幅を広げて毎日をさらに楽しく過ごしたい方は、ぜひ参考にしてください。

髪の毛の太さを決める原因と毛髪の構造を知ろう

髪の毛の太さは、髪の毛を構成する要素の1つであるコルテックスの状態によって決まります。

コルテックス	・髪の毛の約90％を占める ・髪の毛の柔軟さや太さを左右する
キューティクル	・髪の毛一番外側に存在 ・髪の毛のツヤや感触に影響する
メデュラ	・髪の毛の中心に存在 ・はたらきに関しては解明されていない

コルテックスが多いと髪の毛が太くなります。コルテックスは遺伝の影響を受けるため、生まれつき髪の毛が細い方は生活習慣を改善しても変化が表れない可能性があります。また、加齢による髪質の変化も完全には防げません。

しかし、対策が無意味なわけではありません。遺伝や加齢が原因だと思っていても、生活習慣を見直すことで改善されることもあります。

細くなったと言われる髪の毛の基準や特徴

細い髪の毛とは0.06ミリ未満の状態を指します。日本人の平均的な髪の毛の太さが0.06ミリ〜0.09ミリとされているため、この数字より小さい場合は髪の毛が細いといえるでしょう。

また、髪の毛の硬さやボリューム、クセのつきやすさも指標になります。髪の毛が細い方は、髪質が柔らかくクセも付きやすい傾向にあります。ボリュームも少なく地肌が見えやすい点が特徴です。

髪の毛の太さは生えている部分によって異なるため、太さだけでなく硬さやボリュームもチェックしましょう。

参考 安全タイプ（Yesの数が３つ以下）｜全国理容生活衛生同業組合連合会

髪の毛が細くなる理由にはヘアサイクルの乱れが関係している

ヘアサイクルが乱れると、髪の毛が細くなったり抜けやすくなったりします。

ヘアサイクルとは1つの毛根から髪の毛が生まれて成長し、抜け落ちるまでの周期のことです。成長前期→成長後期→退行期→休止期の4つのステップに分かれています。

ヘアサイクルが乱れると成長期が短縮され、髪の毛が十分に成長しません。太い髪の毛になる前に抜け落ちてしまうのです。

ヘアサイクルは睡眠不足や栄養不足が原因で乱れます。髪の毛を太くするためには、生活習慣の見直しが必要です。

参考 男性型脱毛症と育毛有効成分

髪の毛を太くする効果が見込める5つの方法

髪の毛を太くする効果が期待できる5つの方法を紹介します。

• 適度な運動を取り入れて頭皮の血行を促進する
• 十分な睡眠時間を確保し成長ホルモンの分泌を促す
• 髪の毛に良い栄養素が摂れる食生活へ改善する
• 自身の頭皮環境に合ったシャンプーを選ぶ
• 育毛剤を使用して健やかな髪の毛を育てる

適度な運動を取り入れて頭皮の血行を促進する

適度な運動は、血流を促進させて髪の毛の成長を助けます。髪の毛を太くするためには、頭皮や髪の毛に栄養を届ける必要があります。しかし、血流が悪いと栄養が行き渡らず、髪の毛が細くなる恐れがあるのです。

運動不足は血行不良を招きます。ジョギングなどの有酸素運動を定期的に行い、頭皮の血流を促進させましょう。

運動は軽いもので問題ありません。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど手軽に日常に取り入れられる運動がおすすめです。

十分な睡眠時間を確保し成長ホルモンの分泌を促す

十分な睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、髪の毛を太くします。髪の成長に関わる成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。

睡眠不足になると成長ホルモンが減少し、タンパク質が十分に合成されなくなるため髪の毛が細くなるのです。

髪の毛を太くするためには、睡眠の時間だけでなく質も重要です。成長ホルモンは、特に眠りが深い時に多く分泌されます。湯船に使ったり寝具を整えたりして、良質な睡眠をとれるようにしましょう。

髪の毛に良い栄養素が摂れる食生活へ改善する

髪の毛の成長にタンパク質やビタミン、ミネラルは欠かせません。髪の毛は食事から摂取した栄養素を材料にして作られます。

髪の毛を太くするために、タンパク質やミネラル、ビタミンが不足しない食生活を意識しましょう。食事での摂取が難しい場合は、プロテインやサプリメントで補うのがおすすめです。

以下に、髪の毛の成長に欠かせない栄養素の代表的なものを3つ紹介します。紹介しているもの以外にも髪の毛の成長に関わる栄養素があるため、体質や生活スタイルにあったものを取り入れてください。

• タンパク質（ケラチン）
• ビタミン類
• ミネラル（亜鉛）

タンパク質（ケラチン）

タンパク質（ケラチン）は髪の毛の主成分です。髪の毛の太さを左右するコルテックスもタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質が足りないと髪の毛を作れないのです。

タンパク質は、肉類や魚類、卵などに多く含まれます。植物性のタンパク質を摂取したい場合は大豆製品を活用しましょう。

肉類でタンパク質を摂取する際には、脂質のとり過ぎに注意してください。高タンパク・低脂質な赤身肉がおすすめです。

ビタミン類

ビタミン類は、健康的な髪の毛や頭皮環境に欠かせない栄養素です。

種類	食べ物の例
ビタミンB2	・レバー ・うなぎ ・卵
ビタミンB6	・赤身肉 ・マグロ ・カツオ
ビタミンC	・キウイ ・いちご ・ブロッコリー
ビタミンE	・ナッツ類 ・アボカド ・かぼちゃ

ビタミンB群には髪の成長をサポートする作用があります。ビタミンCとビタミンEは、ミネラルの吸収を助けたり髪の毛や頭皮を健康的な状態に整えたりします。

果物や野菜は生で食べられる物が多く、手軽に取り入れられるためおすすめです。加熱するとビタミンが崩れることもあるので、そのまま食べたりサラダにしたりして摂りましょう。

ミネラル（亜鉛）

ミネラルには髪の毛の合成をサポートするはたらきがあります。ミネラルの中でも、特に亜鉛はケラチンの生成に欠かせません。

亜鉛が豊富に含まれる代表的な食べ物は牡蠣です。牡蠣には亜鉛だけでなく他のミネラルやビタミンも豊富に含まれています。髪の毛を太くするために積極的に食べたい食材です。

亜鉛は、牡蠣の他にレバーや海藻類、肉類などに含まれています。海藻サラダは亜鉛だけでなくビタミンも摂取でき、コンビニで購入できるためおすすめです。

参考 栄養に関する基礎知識｜国立循環器病研究センター

自身の頭皮環境に合ったシャンプーを選ぶ

髪の毛を太くするためには、シャンプー選びも大切です。髪の毛や頭皮にやさしい以下のようなシャンプーを選びましょう。

• ノンシリコン
• アミノ酸系
• 育毛成分配合
• 保湿成分配合
• エタノール、防腐剤、合成着色料、合成香料など不使用

市販の安価なシャンプーは洗浄力が強すぎる場合があります。洗浄力が強すぎると頭皮を守るために必要な皮脂まで除去し、髪の毛が細くなる恐れがあります。

アミノ酸系シャンプーは、洗浄力がマイルドな点が特徴です。必要な皮脂を残しつつ汚れを落とすため、頭皮環境を正常に保ってくれます。

髪の毛を太く育てるために、育毛成分が配合されているシャンプーの使用も検討してみてください。男性は皮脂を落とす効果があるもの、女性は保湿やボリュームアップ効果があるものがおすすめです。

育毛剤を使用して健やかな髪の毛を育てる

育毛剤を使用することで太い髪の毛を目指せます。育毛剤のはたらきは、頭皮の血流をよくして髪の毛に栄養を与えることです。

血行促進作用がある育毛剤を頭皮に直接塗布することで、頭皮の血流が促進されます。その結果髪の毛に十分な栄養が与えられ、太く健康な髪の毛になるのです。

育毛剤を選ぶ際には、血行促進効果があるものや毛母細胞を活性化する成分が入っているものを選びましょう。これらの成分は、髪の毛の成長にダイレクトに作用します。

育毛剤と似た製品に発毛剤（※）があります。発毛剤は新しい髪の毛を生やす効果が期待できるものです。髪の毛を太くする場合は育毛剤の方が適しています。

※発毛剤を使うには医師から処方してもらうことが必要です。

効果的に髪の毛を太くする方法を知りたいなら専門家へ相談

効果的に髪の毛を太くする方法を知りたい方は、専門家に相談しましょう。専門家であれば、頭皮や髪の毛の状態をチェックした上で、効果的な対処法を提案してくれます。

専門家に相談をすれば、髪の毛が細い原因もわかるかもしれません。原因がわかれば、自分にぴったりの育毛剤や必要な栄養素もわかり、効率よく太い髪の毛を目指せます。

専門家であれば、病気の診断や治療も可能です。髪の毛が細くなる背景に、脱毛症や内臓疾患などの病気が潜んでいることがあります。その場合は、生活習慣では改善できないため治療が必要です。

効率よく髪の毛を太くしたい方や髪の毛が細い原因を知りたい方は、一度専門家へ相談してみましょう。

髪の毛を太くする中で頭皮環境を整えるために取り入れたい習慣

日常生活にちょっとした工夫を加えることで、太い髪の毛を目指せる可能性があります。以下に、おすすめのホームケア方法を3つ紹介します。

• 頭皮マッサージ
• 正しい方法でのシャンプー・ドライヤー
• 自分に合ったストレス解消

頭皮環境を整え、髪の毛を太くしやすくなるのでぜひ実践してみてください。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは頭皮の新陳代謝や血流を上げるのに効果的です。頭皮の新陳代謝や血流が良くなると、髪の毛が成長しやすくなります。

頭皮マッサージは成長ホルモンの分泌にも効果的です。成長ホルモンは副交感神経が優位になると分泌されやすくなります。頭皮マッサージをするとストレスが軽減され、副交感神経が優位になるのです。

参考 「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

正しい方法でのシャンプー・ドライヤー

シャンプーやドライヤーの方法を変えるだけでも、髪の毛にいい影響を与えます。以下に、それぞれのポイントをまとめました。

	シャンプー	ドライヤー
やり方	・シャンプーをする前にブラッシングを行う ・すすぎは髪に指を通さないようゆっくり丁寧に行う	・タオルドライをしてからドライヤーをあてる ・根本から乾かす ・最後は冷風で仕上げる
頻度	・1日1回が基本 ・髪が細い方は2日に1回でもOK	・入浴後やシャンプー後
NG行為	・髪の上でシャンプーを泡立てる ・洗浄力の強すぎるシャンプーを使う	・自然乾燥させる ・高い温度で乾かす ・ドライヤーを長時間あてる ・ドライヤーと髪の毛の距離が近い

どちらも摩擦をかけないことを意識してください。ドライヤー時に育毛剤を使用するのもおすすめです。

自分に合ったストレス解消

ストレスは髪の毛の健康に大きな影響を与えます。ストレスによって髪の毛が細くなる可能性もあるのです。

没頭できる趣味があればストレス解消になります。趣味がない方は、自然や動物と触れあったりマッサージを受けたりしましょう。これだけでもストレスが緩和されます。

暴飲暴食や喫煙によるストレス解消はおすすめできません。健康を害するだけでなく、髪の毛が弱くなるリスクがあるため控えましょう。

髪の毛を太くする方法を試しても薄毛が進行するなら脱毛症の疑い

睡眠や運動、食事を改善しても髪の毛が細くなったり少なくなったりする場合は、脱毛症かもしれません。脱毛症は自然治癒が難しいため、医療機関で治療を受ける必要があります。

以下に脱毛症の症状や特徴をまとめました。

脱毛症	特徴
AGA（男性型脱毛症）	・額の生え際や頭頂部の髪の毛が薄くなったり抜けたりする ・進行性のため治療をしなければ悪化する一方
脂漏性脱毛症	・頭皮がベタついたりかゆみが出たりする ・夏に症状が悪化する傾向がある
粃糠性脱毛症	・大量のフケが出る ・赤みやかゆみを伴う
FAGA（女性男性型脱毛症）	・女性の薄毛や抜け毛の総称 ・全体的に徐々に薄くなる
びまん性脱毛症	・全体的に髪の毛が薄くなる ・女性に多い

脱毛症は適切な治療を受けなければ改善が見込めない症状です。特に進行性の脱毛症であるAGAやFAGAは要注意です。一度髪の毛が減ってしまったらもとに戻らない可能性が高いため、いち早く治療を受ける必要があります。

脱毛症の可能性がある方は、一度専門家の診断を受けましょう。

参考

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン

髪の毛を太くするための方法を試して自信が持てる頭髪を手に入れよう

髪の毛を太くするためには十分な睡眠や適度な運動、バランスの取れた食事が重要です。今日から実践できることばかりなので、可能なものから日常に取り入れましょう。

また、正しい方法でシャンプーやドライヤーを行うことも効果的です。育毛剤と組み合わせることで、効率的に健康的な髪の毛を目指せます。

太く健康的な髪の毛は、心も健康にしてくれます。髪の毛に振り回されない楽しい毎日を過ごすために、本記事で紹介した方法を実践してみてください。