薄毛や抜け毛を改善するために、発毛剤と育毛剤の併用を考える方もいるでしょう。

しかし育毛剤と発毛剤は原則として併用NGです。

併用によって成分どうしが反応して効果を打ち消したり、重複した成分を過剰に摂取することで肌トラブルなど副作用が出たりするリスクがあります。

本記事では育毛剤と発毛剤それぞれの効果や特徴、併用してはいけない理由について解説します。

最後まで読むと自分に合った薄毛の改善法が分かります。

抜け毛や薄毛を改善したい方や、育毛剤と発毛剤のどちらが適しているかわからない方は参考にしてください。

育毛剤と発毛剤は併用NG！理由と合わせて解説

結論、育毛剤と発毛剤を併用してはいけません。

育毛剤と発毛剤は求められる効果が異なり、それぞれ一つの製品で十分な効果が出るように配合が調節されています。

併用すると双方の効果が打ち消されたり、健康被害のリスクだけが残ったりする可能性があります。

育毛剤と発毛剤を併用すると効果が2倍になることもないので、併用は避けましょう。

以下では、育毛剤と発毛剤を併用してはいけない理由を詳しく見ていきます。

各成分が打ち消し合って効果が半減する

育毛剤と発毛剤を併用すべきでない理由の一つが、両者の有効成分が効果を打ち消し合うためです。

発毛剤の代表的な成分として挙げられるミノキシジルによって、併用した育毛剤の有効成分の浸透が妨げられる可能性があります。

反対にミノキシジルを塗布してから育毛剤を使用すると、育毛剤に期待できる効果が薄れる可能性もあるでしょう。

育毛剤と発毛剤を使用する際には、目的に応じて使い分けることが重要です。

それぞれの有効成分が過剰に塗布されることで健康被害が出る

育毛剤と発毛剤を併用すべきでないもう一つの理由は、それぞれの有効成分が過剰に体内へと取り込まれ、健康被害を起こす可能性があるためです。

例えば頭皮に塗布する発毛剤「ミノキシジル外用薬」には、血管を拡張して頭皮環境を改善する効果が見込めます。

育毛剤に含まれる成分の一つであるキャピキシルにも血管拡張作用がありますが、両者を併用すると頭皮の血行が良くなりすぎ、かゆみや赤みを引き起こす可能性があります。

ミノキシジル外用薬に関してその他の外用剤が併用禁忌とされているのも、健康被害のリスクが増加するためです。

育毛剤と発毛剤を併用することで起こり得る健康被害の例は以下の通りです。

• 頭皮のかゆみや赤み
• めまいや動悸
• 体重の増加
• 手足のむくみ
• 男性機能の低下
• 肝機能障害

一時的な症状だけでなく、生活に支障をきたす健康被害も過去の事例にあるので、育毛剤や発毛剤の併用は避けてください。

参考：帝京大学医学部薬理学「ミノキシジル」

育毛剤と発毛剤の違いから併用がNGな理由を理解しましょう

育毛剤と発毛剤はそもそも異なる目的で製造されています。

両者の主な特徴は以下の通りです。

	育毛剤	発毛剤
分類	医薬部外品	医薬品
期待する効果	既存の髪の毛を健康な状態に改善する	新しく髪の毛を生やす
効果が出るまでの期間	3〜6ヶ月	4～8ヶ月

ここでは、育毛剤と発毛剤それぞれの特徴や効果について解説します。

育毛剤の特徴・効果・所要期間

育毛剤は医薬部外品に分類されるヘアケア商品の一種です。

医薬部外品は医薬品ではないものの、医薬品に準ずる効果をもたらすものと定められています。

厚生労働省が定める「医薬部外品の効能効果の範囲」では、育毛剤に以下の症状の改善・予防効果が期待できるとされています。

• 育毛
• 薄毛
• かゆみ
• 脱毛の予防
• 毛生促進
• ふけ
• 病後・産後の脱毛
• 養毛

また、発毛剤などの医療用医薬品や第一類医薬品に比べて「人体に対する作用が緩和」なため、健康被害のリスクが低い点も特徴です。

育毛剤の効果が出るまでには平均すると3〜6ヶ月が必要と考えられています。

参考 化粧品・医薬部外品等ホームページ｜厚生労働省

　 　厚生労働省「医薬部外品の効能効果の範囲」

　　 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

発毛剤の特徴・効果・所要期間

発毛剤は医療用医薬品に分類されており、使用するためには医療機関を受診して処方してもらう必要があります。

ただし、日本で用いられているミノキシジルは内服薬としての認可を受けておらず、第一類医薬品として使用されています。

第一類医薬品のミノキシジル外用薬は、薬剤師の指導を受けた上で薬局やドラッグストアで購入可能です。

内服タイプの発毛剤にはフィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬があり、主に抜け毛を予防する効果が期待できます。

ミノキシジル外用薬には血管拡張作用や発毛シグナル促進作用があり、積極的な発毛が期待できます。

発毛剤の効果が出るまでには平均して4〜8ヶ月が必要です。

育毛剤と発毛剤の併用を避けるならどちらがおすすめ？

育毛剤と発毛剤の併用を避けるなら、どちらを選ぶのがおすすめか以下の表で紹介します。

育毛剤がおすすめな人の特徴	発毛剤がおすすめな人の特徴
抜け毛を予防したい方薄毛がそれほど進行していない方フケや頭皮のかゆみが気になる方	積極的な発毛を期待する方薄毛が目立ち始めた方脱毛症を改善したい方

育毛剤には髪の毛の成長をサポートする効果が期待できるため、将来の薄毛を予防したい方におすすめです。

発毛剤はより積極的に発毛を促進する作用があるため、実際に薄毛が気になり始めた方に適しています。

育毛剤で効果が見込めない場合は発毛剤へ切り替えるのも手

育毛剤と発毛剤のどちらを選べばよいのかわからない方は、抜け毛や薄毛の状態に応じて切り替える方法があります。

若い方でそれほど抜け毛が気にならないなら、育毛剤を使用して将来の薄毛を予防する方法で十分です。

育毛剤から発毛剤に切り替えるタイミングとしては、十分な効果が見込めないケースや、育毛剤では対処できないケースが挙げられます。

特に育毛剤を使用しても抜け毛が改善しないケースでは、何らかの脱毛症や病気を併発している可能性が疑われます。

脱毛症や病気を育毛剤で対処することは難しいので、セルフケアで抜け毛が改善しない方は、毛髪診断士など専門家のカウンセリングを受けてみましょう。

育毛剤を使う場合に効果をより高めるためのコツ

育毛剤は正しく使用すると効果を高めることが期待できます。育毛剤の効果を高めるコツは以下の4つです。

• 用法・用量を守って使用する
• 頭皮が清潔なタイミングで使用する
• 半年以上は使用を継続する
• 頭皮マッサージを並行して行う

用法・用量を守って使用する

育毛剤を使う場合に、効果をより高めるコツの一つが用法・用量を守って使用することです。

商品によって推奨用量は異なりますが、決められた量より多く使用しても効果は得られないうe 、かゆみや赤みなどのリスクを高める恐れがあります。

抜け毛や薄毛が気になる箇所に対して、ピンポイントで育毛剤を塗布するのが大切です。

的確に塗布するためには育毛剤を持つ反対の手で髪の毛をかき分け、ノズルを地肌に当てるとよいでしょう。

用法・用量は育毛剤のパッケージや同封されている説明書に記載されているため、使用前によく確認しておくことが大切です。

頭皮が清潔なタイミングで使用する

育毛剤の効果を最大限に得るためには、頭皮が清潔なタイミングで使用する必要があります。

育毛剤の多くは朝・晩の2回使用しますが、夜に塗布する際にはお風呂上がりやシャワーの後など、頭皮が清潔なタイミングで塗布しましょう。

髪の毛を洗う前に塗布すると頭皮に残された皮脂が薬剤をはじき、頭皮への浸透を妨げる可能性があります。

朝に育毛剤を使用する際には、スタイリングの前に塗布するのがポイントです。

スタイリング剤を使用してから育毛剤を塗布すると、スタイリング剤が毛穴に詰まるなど肌トラブルを引き起こしやすくなります。

半年以上は使用を継続する

最低でも半年以上は使用を継続することも、育毛剤の効果を高めるコツの一つです。

髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの周期がヘアサイクルですが、育毛剤には頭皮環境を整え、乱れたヘアサイクルを改善する効果が見込めます。

しかし育毛剤を使用してもすぐに頭皮環境が改善するわけではありません。

育毛剤の使用を中断すると効果がリセットされ、開始当初の状態からやり直しとなります。

また、育毛剤の効果が実感できなくても、すぐに他の育毛剤へ切り替えるのもNGです。

頻繁に育毛剤を変えるとどれが自分に合っているのかわかりません。

育毛剤の使用を開始したら最低でも半年は使用を継続して、効果が出るのを待ちましょう。

頭皮マッサージを並行して行う

育毛剤の効果を高めるためには、頭皮マッサージを並行して行うのがおすすめです。

育毛剤には血行を促進し毛母細胞の分裂を活性化することで、髪の毛を太く・強く育てる効果が期待できます。

加えて頭皮マッサージを行うことで頭皮への血行促進効果を増強し、育毛剤の有効成分を頭皮に浸透しやすくできます。

頭皮マッサージを行う際のポイントは、指の腹で頭皮自体を動かすように優しく押圧することです。

爪や指先でマッサージすると頭皮を傷つける恐れがあるため注意しましょう。

参考 「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

発毛剤は専門家から処方されたもので使い方も指導してもらう

抜け毛や薄毛を改善する際に発毛剤を使用したい方は、医療機関を受診して医師からの処方を受ける必要があります。

発毛剤は医療医薬品に分類されるため、医薬部外品の育毛剤に比べて健康被害を引き起こすリスクが高いです。

そのため、発毛剤を使用する際には専門家の指導を仰ぐのが基本です。また、専門家に発毛剤の使い方を教えてもらうと、症状をより効率的に改善できるでしょう。

薄毛治療専門のクリニックでは、発毛剤だけでなく育毛剤も併用して症状の改善を図るケースがあります。

発毛剤と育毛剤を併用する際には注意事項があるため、必ず専門家の指導に従いましょう。

育毛剤・発毛剤の併用についてよくある質問

育毛剤と発毛剤に関して、以下3つの質問に回答します。

• 市販の育毛剤を2種類併用してもいいですか？
• 専門家から処方された育毛剤・発毛剤なら併用してもいいですか？
• 育毛剤・発毛剤と整髪料を併用するのは大丈夫ですか？

市販の育毛剤を2種類併用してもいいですか？

市販の育毛剤を2種類併用するのは基本的におすすめできません。

育毛剤の多くは天然由来の成分から製造されていますが、2つの商品に似たような成分が含まれていると、頭皮のかゆみや赤みなどのトラブルが出やすくなります。

また、一つの育毛剤を使用する際には最低でも半年間は使い続けるのが原則です。

一つの育毛剤を半年ほど使って効果が出ないと判断できたら、次の商品を検討すると良いでしょう。

ただし肌質に合わない育毛剤であれば、早めに中止・切り替えを検討してください。

専門家から処方された育毛剤・発毛剤なら併用してもいいですか？

薄毛治療専門のクリニックなど、専門の医療機関で育毛剤と発毛剤の両方を処方されたのであれば併用しても構いません。

専門家が育毛剤と発毛剤を処方したのであれば、抜け毛や薄毛の改善に必要と判断したと考えられるためです。

ただし、異なる医療機関で処方された育毛剤、および発毛剤の併用は避けてください。

異なる医療機関で処方された場合、それぞれの担当医の処方理由がわからないためです。

また、医療機関で処方された発毛剤と、薬局やドラッグストアで購入した育毛剤を自分の判断で併用するのもNGです。

育毛剤・発毛剤と整髪料を併用するのは大丈夫ですか？

育毛剤もしくは発毛剤と、整髪料を併用するのは特に問題ありません。

ただし、育毛剤・発毛剤と整髪料を併用するのであれば、塗布する順番を気をつける必要があります。

基本的に育毛剤や発毛剤の有効成分を頭皮に浸透させてから、整髪料でスタイリングを行うのが基本です。

順番が逆になると育毛剤や発毛剤の水分でスタイリング剤が溶け、毛穴に詰まり肌トラブルを引き起こす可能性があります。

ただし、専門家から整髪料の使用を止められている場合はやめてください。

育毛剤・発毛剤の併用は避けつつ自分に合った製品で薄毛を対策しましょう

育毛剤と発毛剤の併用は原則としてNGのため、抜け毛や薄毛の状態に合った方を使用する必要があります。

それほど薄毛が進行していない方や、将来の薄毛を予防する目的であれば育毛剤を選択すると良いでしょう。

一方、地肌が透けて見えるなど薄毛がある程度進行している方は、発毛剤を使用するのがおすすめです。

自分の判断で2種類の育毛剤を併用したり、異なる医療機関で処方された2種類の発毛剤を併用したりするのもNGです。

育毛剤と発毛剤のどちらを使用すればいいのかわからない方は、自己判断せずに毛髪診断士などの専門家や医師に相談するのがおすすめです。