育毛剤には、元気な髪の毛を維持させ、薄毛や抜け毛の進行を防ぐ効果が期待できます。今のうちから抜け毛・薄毛に対処しておきたい方や今以上に髪を減らしたくない方は、ぜひともチェックしておきたい製品です。
しかし、発毛剤のような発毛効果はありません。目的に応じて育毛剤と発毛剤は使い分ける必要があります。
本記事では、育毛剤の効果や発毛剤との違いについて解説します。育毛剤を効果的に使用して抜け毛・薄毛の不安から解放されたい方は、ぜひ参考にしてください。
育毛剤の主な効果
育毛剤の主な効果は、頭皮環境を整えて抜け毛を予防することです。
- 薄毛・抜け毛を予防する
- 頭皮環境を整える
- 髪の毛の成長を促す
薄毛・抜け毛を予防する
育毛剤には、髪の毛を太く長く丈夫にする効果が期待できます。髪の毛にハリやコシを与えることで髪の毛全体のボリュームアップを狙います。
薄毛・抜け毛の原因は脱毛症を除くと、頭皮環境の悪化や血のめぐりが悪い、皮脂の過剰分泌といったものが挙げられます。
育毛剤には頭皮環境を整える効果が期待できる成分であったり、皮脂の分泌、炎症を抑える成分が配合されていたりするため、結果的に薄毛・抜け毛へのアプローチとして使用されます。
参考：日本皮膚科学会｜男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
頭皮環境を整える
髪の毛を健康に育てるためには、土台となる頭皮の環境を整えることが大切です。頭皮環境が悪いと、薄毛や抜け毛に影響すると言われています。
大正製薬と明治薬科大学の研究では、「トリグリセリドやアクネ菌、マラセチア属菌がAGA（薄毛・抜け毛）の原因や進行に影響している可能性がある」という結果が出ています。
つまり、皮脂の汚れが頭皮に詰まったり、乾燥や炎症が起こったりすることで頭皮環境が悪化し、最終的にはAGA（男性型脱毛症）の発症につながるという研究データです。
育毛剤には、頭皮の乾燥を防いだり、皮脂や炎症を抑制したりする成分が配合されています。頭皮環境を整えることが、髪の毛にとって良い習慣であるといえるでしょう。
参考：大正製薬
髪の毛の成長を促す
育毛剤には直接的に髪の毛を生やす作用はありません。しかし、髪の毛の成長を促す作用があります。
髪の毛を太く濃くするためには、頭皮へ血液が行き渡ることが大切です。育毛剤に含まれているセンブリエキスやニンジンエキスなどの有効成分は、頭皮の血管拡張や血流改善を促します。
育毛剤によって頭皮に血液が行き渡り、髪の毛が成長することで、相対的に薄毛を改善できるのです。
育毛剤と発毛剤の効果の違いは？おすすめの人の特徴も紹介
育毛剤の主な特徴は、頭皮環境を整えることで血流をよくし、今ある髪の毛を育てたり抜け毛を防いだりすることです。一方、発毛剤は新しい髪の毛が生えてくるサポートをします。
| 育毛剤がおすすめの人 | 発毛剤がおすすめの人 |
| ・髪の毛が細くなってきた・髪の毛のハリ・コシがなくなってきた・これからの薄毛・抜け毛を予防したい ・まずは自宅で気軽に試したい | ・生え際の後退が気になってきた・つむじが目立って薄くなってきた・髪の毛全体のボリュームがなくなってきた |
育毛剤は医薬部外品のため、薬剤師や医師がいなくとも気軽に購入や使用ができる点が魅力です。一方、発毛剤は医薬品のため薬剤師の指導や、薬剤によっては医師の診察が必要となります。
気軽に入手できることが育毛剤のメリットですが、国内未承認のものは使用しないようにしましょう。発毛剤も同様です。発疹や痒み、肝機能障害など思わぬトラブルに繋がる可能性があります。
参考：厚生労働省
育毛剤の効果が出るまでどれくらいの期間がかかる？
育毛剤の効果が感じられるまでは、おおよそ3〜6ヶ月かかると言われています。変化が見られるまで時間がかかるため、最低でも6ヶ月は使用することがおすすめです。
育毛剤の効果が感じられるまでに時間がかかる理由は、髪の毛に毛周期（ヘアサイクル）があるためです。毛周期は以下の3段階に分けられます。
- 成長前期・後期：2〜6年
- 退行期：2〜3週間
- 休止期：3〜4ヶ月
1本の髪の毛の寿命は2〜6年程度です。そのほとんどを成長期が占めており、最後の3〜4ヶ月（休止期）で抜け落ちます。育毛剤は、休止期から初期の成長期に作用します。
新しい髪の毛が生えるまでの期間は、早い方で3ヶ月、遅い方は6ヶ月程かかるため、最低6ヶ月程は使い続ける必要があるのです。
育毛剤を効果的に使うためのポイント
育毛剤の効果を享受しやすくするために、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 用法・用量を守って使う
- 頭皮・毛髪が清潔な状態で使う
- 途中で育毛剤の使用をやめない
用法・用量を守って使う
育毛剤は、たくさん使ったからといって効果が高まるわけではありません。用法・用量を守って使用してください。
自己判断で指定量より多く使用することや、他の育毛剤・発毛剤と併用することは避けましょう。効果を感じられないだけでなく、頭皮トラブルが生じる可能性があります。
製品によって使用回数や使用量が異なるため、事前に確認しておきましょう。
頭皮・毛髪が清潔な状態で使う
育毛剤は、清潔な状態の頭皮に使用してください。頭皮が皮脂やホコリで汚れている状態だと、育毛剤が浸透しづらくなります。
使用のタイミングは、シャワーを浴びたあとや入浴後の使用がおすすめです。1日2回使用するタイプの場合は、ヘアワックスなどのスタイリング剤を付ける前に使用しましょう。
途中で育毛剤の使用をやめない
育毛剤の使用を途中でやめてしまうと、せっかくあらわれ始めていた効果がわからず、毛周期が乱れてしまう可能性があります。
変化が見られないからといって、自己判断で育毛剤の使用を中断しないようにしましょう。髪の毛は、すべてが同時に生えてきて同時に抜けるわけではありません。毛周期もバラバラです。
すべての髪の毛に育毛剤の成分が行き届き、変化が表れるまで使用を続けましょう。効果が感じられなくても、最低6ヶ月は継続を推奨します。
育毛剤の効果をより引き出すためにやりたいこと
育毛剤を使うだけではなく、頭皮マッサージを行うなど少しの工夫を加えることを意識しましょう。下記はその一例です。
- 専門医の受診
- 頭皮マッサージの実施
- 生活習慣の改善
- 栄養ある食事の摂取
頭皮マッサージの実施
育毛には頭皮マッサージも効果的です。下記はマッサージの方法の一例です。
1.こめかみをほぐして頭全体の血行を改善
2.首筋を押し上げてコリをほぐす
3.頭皮をリラックスさせるツボを押す
マッサージは、頭皮全体を1分程度で揉みほぐしましょう。この時にこすらないようにすることが重要です。
最後は、育毛剤で濡れた髪の毛をしっかり乾かしましょう。髪の毛が濡れたままだと頭皮に雑菌が繁殖しやすくなります。
頭皮マッサージは、育毛剤が頭皮に浸透する効果と血行促進効果の両方が期待できるためおすすめです。
生活習慣の改善
俗に言う「健康的な生活習慣」は、髪の毛にもいい影響を与えます。適度な運動や良質な睡眠を心がけ、過度なストレスや喫煙は極力避けましょう。
普段まったく運動習慣がない方は、簡単なストレッチや散歩でも大丈夫です。血行が促進することで抜け毛や薄毛の予防になります。
睡眠は、時間を確保するのはもちろんですが、質も意識しましょう。睡眠の質が上がると髪の毛の成長に必要なホルモンが分泌されます。就寝する2時間前くらいに入浴をすると、深く眠れると言われています。
栄養ある食事の摂取
髪の毛の成長には、タンパク質や亜鉛、ビタミンB6などが良いとされています。
| 栄養素 | 含まれる食べ物の例 | 効果 |
| タンパク質 （含硫アミノ酸含む） | ・肉類・乳製品 ・卵 | 髪の毛の主成分であるケラチンの材料になる |
| 亜鉛 | ・牡蠣 ・豚レバー | ケラチンが合成される際に必須 |
| ビタミンB6 | ・にんにく・ピスタチオ | 髪の毛を生やす毛母細胞が活性化する |
タンパク質や亜鉛、ビタミンB6以外に、ビタミンAやヨード（ヨウ素）などもおすすめです。ビタミンAはにんじんやほうれん草、ヨードは海藻類や貝類に豊富です。
また、栄養素を積極的に摂取するだけではなく、悪いものを避けるようにしましょう。脂っこい食事や過度な飲酒は頭皮や髪の毛に悪影響を及ぼすため注意が必要です。
育毛剤の使い方を誤ると逆効果になるリスクあり
育毛剤は、今ある髪の毛の維持や抜け毛の予防効果が期待できます。しかし、誤った使い方をすると薄毛・抜け毛の症状が進行する可能性があるため注意が必要です。
例えば、用量を超えて育毛剤を使用すると、頭皮に赤みやかゆみ、湿疹などが生じることがあります。
また、体質や肌質に合わない育毛剤を使用した場合は、アレルギー反応が出る場合もあります。トラブルを未然に防ぐために、事前のパッチテストがおすすめです。
用法・用量を守っていても症状が出る場合もあります。大切な髪の毛や頭皮を守るために、少しでも異変を感じた場合はすぐに毛髪診断士などの専門家に相談しましょう。
育毛剤の効果を正しく理解して薄毛・抜け毛に対策しよう
育毛剤は、自宅で手軽に行える薄毛・抜け毛対策です。発毛効果こそ期待できないものの、頭皮環境や血行をよくすることで、健康で抜けにくい髪の毛を目指せます。
しかし、誤った使い方をすると逆効果になるリスクがあるため注意が必要です。分からないことがある場合は、一度専門家に相談しましょう。
