帽子をかぶるとはげると聞いたことがある方はいませんか？特に普段から帽子をかぶっていたり、近頃薄毛を気にしたりしていると心配になることもあるでしょう。

帽子をかぶることで薄毛になるのは、誤った使い方が原因です。帽子をかぶるから薄毛になるのではなく、間違った着用方法によって頭皮環境が悪化することではげる可能性が高まります。

本記事では「帽子をかぶるとはげるのでは？」という不安を抱く方に、正しいかぶり方・使い方を紹介します。

帽子は正しくかぶると実は薄毛の予防にもつながるため、ぜひ参考にしてください。

「帽子をかぶるとはげる」は嘘ではない

帽子をかぶること自体がはげることにつながるわけではありません。

しかし、かぶり方によってはげる可能性が高まるのは事実です。

はげる要因は遺伝や生活習慣が大きく影響していますが、帽子の着用方法によっても頭皮や毛髪にダメージが加わり薄毛につながる場合があります。

「帽子をかぶるとはげる」という説は嘘ではない点を念頭に置き、この機会に帽子のかぶり方を見直しましょう。

「帽子をかぶるとはげる」といわれる理由

帽子をかぶるとはげるといわれる理由を解説します。

• 帽子の内側が蒸れて頭皮環境が悪くなるから
• 帽子で頭部が締め付けられて血行が悪くなるから
• 帽子に溜まった汗・皮脂によって頭皮や髪の毛が汚れるから
• 一部の髪の毛が帽子に絡まって強く引っ張られる・摩擦が起きるから

何気なくかぶっている帽子が薄毛を招く場合があるため、注意する必要があります。

帽子の内側が蒸れて頭皮環境が悪くなるから

頭皮には常在菌が存在し、紫外線や外的ダメージから守る役割があります。しかし帽子をかぶることで内側が蒸れると、常在菌が過剰に繁殖し、バランスが崩れてしまいます。

常在菌のバランスが崩れると頭皮環境が悪化し、かゆみや炎症などの頭皮トラブルを引き起こします。

それにより、毛髪のハリやコシが弱くなると薄毛にもつながるので要注意です。

参考

皮膚の常在細菌について｜東京医療保健大学

帽子で頭部が締め付けられて血行が悪くなるから

帽子で頭部が締め付けられると、血行が悪化して薄毛を助長させます。健やかな髪の毛を育むためには、毛細血管を通して栄養や酸素を毛母細胞へ届ける必要があります。しかし、帽子によって頭皮の血流が悪くなると、毛髪に十分な栄養が行き渡りません。

特にフィット感の強い帽子、サイズが合っていない窮屈な帽子は頭皮の血行悪化を招きます。

日常的に頭部の締め付けが強い帽子をかぶっていると、薄毛になりやすい状況を作ってしまっているため、普段使いする帽子のサイズなどには注意しましょう。

帽子に溜まった汗・皮脂によって頭皮や髪の毛が汚れるから

帽子の内部が蒸れて汗や皮脂が付着すると、頭皮や髪の毛が汚れて頭皮環境の悪化につながります。帽子内で発生した汗や皮脂が毛穴を詰まらせ、頭皮を傷めてしまうからです。

頭皮には毛包や皮脂腺、汗腺など健康状態を保つための器官が備わっています。汗や皮脂が毛穴に詰まると器官のはたらきが悪くなり、頭皮トラブルが起こりやすくなります。

また大正製薬の研究成果によると、男性型脱毛症であるAGAの原因に皮脂成分のトリグリセリド、細菌のアクネ菌、真菌のマラセチア属菌が影響していることがわかりました。頭皮の皮脂成分は細菌や真菌の栄養源になり、頭皮環境の悪化を招きます。

見た目がきれいな帽子であっても、汚れが蓄積されているかもしれません。知らないうちに、薄毛を進行させる可能性があるので、クリーニングに出すなどして帽子を清潔に保ちましょう

参考 男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮に 粘度の高い皮脂成分（トリグリセリド）が多いことを発見｜大正製薬

一部の髪の毛が帽子に絡まって強く引っ張られる・摩擦が起きるから

帽子をかぶることで髪の毛が強く引っ張られる、摩擦が起きるなど物理的なダメージが加わると、薄毛の要因になる可能性があります。

日常的に髪の毛が引っ張られている状態だと頭皮や毛根に物理的な負荷がかかるため抜け毛が起こりやすくなり、「牽引性脱毛症」を発症する可能性もあります。

また帽子の着脱により髪の毛が摩擦でダメージを受けると、キューティクルに悪影響を及ぼします。髪の毛がパサついたり、切れ毛が増えたりしてうるおいがなくなり、不健康な頭髪の印象を与えてしまいます。

部屋の中で帽子をかぶりすぎると蒸れやすくなるので注意

長時間、室内で帽子をかぶっていると頭皮が蒸れやすくなります。特に、暖房の効いた部屋では、頭に汗をかき皮膚の常在菌を繁殖させる可能性があります。

また、帽子で頭皮を圧迫し続けることも薄毛の原因になりやすいです。血液の循環が悪くなり、髪の毛に必要な栄養が行き届かなくなります。

暖かい室内では、帽子で蒸れやすくなることを覚えておきましょう。

はげを防ぐ正しい帽子のかぶり方・使い方

帽子をかぶることで薄毛が進行しないよう、正しい帽子のかぶり方を紹介します。以下のポイントを満たしているかチェックしてみましょう。

• 頭皮や額の汗をこまめに拭く
• 帽子を定期的に脱ぐ
• 通気性が良い素材の帽子を選ぶ
• 帽子を頻繁に洗濯する

頭皮や額の汗をこまめに拭く

帽子をかぶっている時は、額や頭皮の汗をこまめに拭くことをおすすめします

帽子の中はどうしても熱がこもりやすく、蒸れやすいです。汗をかいたまま放置すると皮脂や汗を餌にする常在菌が繁殖し、頭皮環境の悪化につながります。

さらに、汗に含まれる塩分や皮脂が毛穴を詰まらせることで、髪の成長を妨げやすいです。

特に夏場や運動後は汗をかきやすくなります。外出時にはタオルを持参し、こまめにケアする習慣をつけることが大切です。

帽子を定期的に脱ぐ

帽子を長時間かぶり続けると帽子と頭皮の間に熱や湿気がこもり、蒸れたり常在菌が繁殖する原因になるので、定期的に帽子を脱ぐと良いでしょう。

頭皮が蒸れると毛穴が詰まりやすくなるだけでなく、かゆみや炎症などの頭皮トラブルを引き起こしやすくなります。また、必要な栄養素が髪の毛に行き渡らず、発毛を阻害する場合もあるため要注意です。

屋内や日陰に入ったら帽子を一時的に外し、頭皮に熱がこもるのを防ぐと頭皮環境の悪化を抑えられます。

通気性が良い素材の帽子を選ぶ

薄毛対策も兼ねて帽子をかぶるのであれば、帽子の素材にも気を配りましょう。

帽子を選ぶ時は通気性の良い素材のものを選ぶことが大切です。

湿気、熱がこもりにくい状態を作ると、頭皮が蒸れにくくなり頭皮環境の悪化を抑制できるため、帽子の素材が通気性の良いものを選びましょう。

メッシュやドライ生地などは汗をかいてもすぐに乾く素材なのでおすすめです。夏場は風通しの良い麦わら帽子やランニングキャップが良いでしょう。

また小さめで窮屈なものより、ゆったりとしたデザインの帽子を選ぶと蒸れを抑えられます。

帽子を頻繁に洗濯する

帽子はこまめに洗濯して、清潔にしておく必要があります。帽子には汗や皮脂が付着しやすく、そのまま使用すると雑菌が繁殖して頭皮トラブルの原因になるからです。

見た目に目立った汚れがなくても、目に見えない汗や皮脂が蓄積されている可能性があります。帽子をかぶるたびに汚れが頭皮に触れると、かゆみや炎症を引き起こす場合もあるでしょう。

できるだけ汗をかいたらすぐに洗濯する習慣をつけることが大切です。しかし、使うたびに洗濯するのは面倒、時間がないという方もいるかもしれません。難しければ日光に当てて乾燥させる、または複数の帽子を用意しておくと洗濯の頻度を減らせます。

清潔な帽子を使用することで頭皮環境の悪化を防ぎ、健康的な髪を育めます。

正しく帽子をかぶれば薄毛を予防する効果も見込める

帽子を正しくかぶると、薄毛予防の効果が期待できます。

• 紫外線のダメージから頭皮を守れる
• 頭皮の乾燥を防げる

帽子は紫外線や乾燥から頭皮を守る役割があるため、正しく使用して薄毛を予防しましょう。

紫外線のダメージから頭皮を守れる

帽子は紫外線のダメージから頭皮を守れることから、薄毛予防に有効です。紫外線を浴びると頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、髪の毛の成長を阻害する可能性があります。

紫外線の種類はUV-A、UV-B、UV-Cの3種類があり、UV-Aは5月、UV-Bは8月に多くなるといわれています。UV-Cはオゾン層によって吸収されるため地球には届きません。

UV-Aは頭皮の奥の真皮まで達して毛母細胞を傷つけるため、髪の毛に栄養が行き渡りにくくなります。また、UV-Bを浴びると頭皮を守るために皮脂が過剰分泌され、毛穴の詰まりにつながるため、頭皮環境に悪影響を及ぼすでしょう。

頭皮を守るためには、紫外線が多い季節は帽子を着用することが有効です。また、通気性のある生地は汗をかいても乾きやすく、つばの広いものを選ぶと広範囲の頭皮をカバーできます。

参考 紫外線から体を守りましょう｜近畿大学メディカルサポートセンター

頭皮の乾燥を防げる

帽子は頭皮の乾燥を防ぐ効果が期待できます。帽子をかぶると乾燥しがちな季節でも適切な湿度を保てるからです。

乾燥した頭皮はフケやかゆみの原因となり、薄毛のリスクを高めます。

特に冬場は空気が乾燥しやすい季節です。乾燥が進むと頭皮が硬くなり、血流が悪くなります。

しかし、帽子による保温効果で寒い冬でも血行を促進できると、毛根に栄養が行き渡りやすくなります。

ただ、暖かい室内で帽子を長時間かぶっていると、熱がこもりやすくなるため注意も必要です。定期的に脱いで、頭皮の熱を逃してあげましょう。

はげるリスクを抑えるには帽子以外に頭皮・髪の毛のケアも大切

正しく帽子をかぶると薄毛予防に効果が期待できます。しかし、薄毛のリスクを抑えるためには帽子をかぶる以外の、髪の毛や頭皮のケアが必須となります。

• 肌に合ったシャンプーを使って正しい洗髪方法を実践する
• 育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

日々の生活から薄毛を予防しましょう。

肌に合ったシャンプーを使って正しい洗髪方法を実践する

頭皮・髪の毛のケアは下記のポイントをおさえておくことが大切です。

• 肌に合ったシャンプーを使う
• 正しい方法で洗髪する

頭皮に合わないシャンプーを使うと、かゆみやフケの原因になります。頭皮環境が悪化する可能性もあるため、自分の頭皮に合ったヘアケア用品を使うことが大切です。

特に頭皮を清潔な状態を保つために、洗浄力の強いシャンプーを使用していると頭皮に必要な皮脂まで洗い落とし、乾燥を招く可能性があります。場合によっては頭皮環境の悪化につながるため、刺激の少ないシャンプーを選ぶのがおすすめです。

また、洗髪時は爪を立てずにやさしくマッサージするように洗いましょう。すすぎ残しは毛穴が詰まる原因になるため、十分に洗い流すことが大切です。

洗髪後はドライヤーで速やかに乾かし、雑菌の繁殖を防ぐことを意識してください。

育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

育毛剤を塗布してマッサージすると、抜け毛防止や頭皮環境を整える効果が期待できます。育毛剤には髪の毛の成長を助ける成分が含まれ、血行促進にも有効です。

また、頭皮マッサージにより血流が良くなるだけでなく、リラックス効果によってストレスの緩和が見込めます。

頭皮マッサージの方法は下記のとおりです。

1. こめかみに親指を当て、押し上げながらぐるぐる回す
2. 頭の後ろで手を組み、親指で首の付け根を押す
3. 手をほどき、指先で後頭部を包むようにずらしながら押し上げてコリをほぐす

さらに「百会（ひゃくえ）」のツボは頭皮のリラックスにつながります。両耳を結んだ線と鼻から上に通る線が交わる部分を、真下に向かって押し付けてみましょう。

頭皮マッサージと育毛剤の2つを組み合わせることで血行を効果的に促し、髪の毛に必要な栄養素をスムーズに届けられます。

参考

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

医薬部外品の効能効果の範囲｜厚生労働省

帽子のかぶり方・使い方を改善してもはげが進行するなら専門家へ相談

帽子のかぶり方や使い方を改善しても、薄毛が進行する場合は専門家へ相談しましょう。帽子が原因ではなく、別の要因が考えられます。

例えば、男性型脱毛症（AGA）は進行性の薄毛の病気です。生活習慣が影響している以外に遺伝的な要素も含まれるため、セルフケアでの改善は難しいです。

また、甲状腺の疾患や膠原病（こうげんびょう）などで薄毛が発現した場合は、まず病気を治す必要があります。

進行性のAGAや何らかの疾患が原因で薄毛になっているなら、自然治癒での改善は困難です。取り返しがつかなくなる前に専門家へ相談し、早期に治療を受けましょう。

はげの要因となる帽子のかぶり方を避けて薄毛リスクを下げよう

今回解説したように、帽子はかぶり方によって薄毛を引き起こす原因になります。正しくかぶるためにも、下記のポイントをおさえておきましょう。

• 頭皮や額の汗をこまめに拭く
• 帽子を定期的に脱ぐ
• 通気性が良い素材の帽子を選ぶ
• 帽子を頻繁に洗濯する

帽子をかぶると、どうしても熱がこもって蒸れやすくなります。頭皮環境の悪化を招き、かゆみや炎症を引き起こす可能性があります。

帽子をかぶる時は定期的に熱を逃がし、清潔な状態を心がけることが大切です。

帽子は正しく使うと紫外線から頭皮を守り、薄毛を予防する効果が期待できます。乾燥しがちな冬でも、帽子による保温効果で頭皮の血流悪化を防げます。

帽子のかぶり方を改善してもはげが進行する場合は、専門家へ相談してみましょう。