頭にかゆみがあると、「はげてしまうのではないか」と心配になる方もいるでしょう。結論、頭のかゆみを放置すると薄毛や抜け毛の一因となる可能性があります。
しかし、過度に心配する必要はありません。かゆみの原因を知り、適切に対処することで、はげるリスクを抑えられます。
本記事では、頭のかゆみの原因や自分でできる対処法について解説します。頭皮の健康を取り戻し、不安を感じない毎日を過ごしたい方は、ぜひ参考にしてください。
頭がかゆい症状を放置するとはげる可能性あり
頭がかゆいのは、頭皮環境が乱れているからかもしれません。頭皮環境の乱れは、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
髪の毛は、血液によって運ばれる酸素や栄養を毛母細胞が取り入れることで作られます。毛母細胞のはたらきが弱くなると、髪の毛が十分に成長しないうちに抜け落ちるため、薄毛が目立つようになるのです。
また、頭がかゆいと無意識にかいてしまうため、物理的な刺激による抜け毛のリスクが高まる可能性があります。
頭のかゆみが原因ではげてしまわないか心配な方は、まずは原因を特定しましょう。適切な対策を行うことで、薄毛を予防できます。
頭がかゆくなる原因
頭がかゆくなる原因は、乾燥や誤ったヘアケアなど以下のようにさまざまです。
- 頭皮の乾燥
- 頭皮のかぶれ
- 皮脂の異常分泌
- 誤ったヘアケア
- ストレス過多
頭皮の乾燥
頭皮の乾燥は、頭のかゆみの一因です。フケやパサつきが見られる場合は、乾燥が原因の可能性があります。
ドライヤーの使いすぎや髪の洗いすぎは、頭皮の乾燥を引き起こすため注意が必要です。また、冬場の暖房も乾燥やフケの原因となります。
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなります。その結果、かゆみを感じやすくなり、搔くことでさらに乾燥するという悪循環になってしまうのです。
頭皮のかぶれ
頭皮のかぶれの主な原因は、汗やシャンプー、整髪料、カラーリング剤による刺激です。頭皮がかぶれると、かゆみだけでなくヒリヒリ感や痛み、ぶつぶつなどが現れる場合もあります。
特に、カラーリング剤によるかぶれには注意が必要です。髪を染めた後に頭皮や顔がかぶれた場合、その原因はカラーリング剤かもしれません。
カラーリング剤の有効成分である酸化染料は、アレルギーを引き起こす可能性があります。軽症だからといって繰り返し使用していると、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
参考 ヘアカラーによる「かぶれ」に要注意！ アレルギーが突然発症することも。
皮脂の異常分泌
ストレスや偏った食生活、誤ったヘアケアは、皮脂の過剰分泌を引き起こします。皮脂が過剰に分泌されると、頭皮の常在菌であるマラセチア菌が増殖し、かゆみや炎症を引き起こします。マラセチア菌は、皮脂を刺激性の高い遊離脂肪酸に分解する真菌（カビ）の一種です。
皮脂の過剰分泌も問題ですが、落としすぎにも注意が必要です。過剰な洗髪や洗浄力の強いシャンプーの使用は、皮脂を落としすぎる可能性があります。皮脂が不足すると頭皮が乾燥し、ターンオーバーが乱れるため、フケやかゆみの原因となります。
参考 頭の痒みと抜け毛
誤ったヘアケア
誤ったシャンプー方法は、頭皮のかゆみの一因となります。特に、爪や指先で強くこすると頭皮を傷つけ、かゆみが生じやすくなるため要注意です。
また、洗浄力の強いシャンプーで皮脂を過剰に洗い流すと、頭皮のバリア機能が低下します。その結果、皮脂が過剰に分泌され、かゆみにつながるのです。
ドライヤーの使い方にも注意が必要です。ドライヤーを頭皮に近づけすぎたり長時間当て続けたりすると、頭皮の乾燥やかゆみの原因になります。
ストレス過多
ストレスが溜まると、頭がかゆくなる可能性があります。ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、かゆみを誘発するヒスタミンを分泌するためです。
また、ストレスは男性ホルモンの一種であるアンドロゲンを分泌させます。アンドロゲンは皮脂を過剰に分泌させるため、フケやかゆみといった頭皮のトラブルを引き起こすのです。
さらに、ストレスは血管を収縮させ、血流を悪くします。血流が悪くなると頭皮環境が悪化し、かゆみの原因となります。イライラすると頭をかく癖がある方は、刺激とストレスどちらにも注意が必要です。
頭をかきすぎるとはげるのは本当なのか
頭をかきすぎたからといって、必ずはげるわけではありません。ただし、頭皮は物理的な刺激を受けると髪の毛が抜けてしまう場合があります。
また、頭をかきすぎると頭皮の乾燥やフケによる頭皮環境の悪化も招きやすくなります。頭皮環境の悪化はかゆみや抜け毛につながるため、頭をかく癖がある方は注意が必要です。
さらに、頭をかきすぎることで毛穴に炎症が起こる可能性もあります。炎症は発毛や髪の毛の成長に影響するため、なるべくかかないように意識しましょう。
頭がかゆい時に自分でできる対処法
頭のかゆみは、以下のように日々のちょっとした工夫で改善できる可能性があります。
- シャンプーのやり方を見直す
- 栄養の豊富な食事を摂る
- 生活習慣を改善する
- 頭皮を保湿する
シャンプーのやり方を見直す
頭がかゆい時にまず見直すべきなのが、ヘアケアのやり方です。日常のヘアケアを正しく行うことで、頭皮のダメージを減らせる可能性があります。
シャンプーやトリートメント、ワックスやオイルは、しっかり洗い流すことを心がけてください。耳の裏や後頭部など、すすぎにくい部分は特に丁寧に行いましょう。
また、シャンプーやトリートメントを使用する際は、地肌をこすらないようにしてください。ゴシゴシ洗うのではなく、揉むように洗うことがポイントです。
シャワーや入浴後は、すぐにドライヤーで髪の毛を乾かす必要があります。頭皮が濡れていると雑菌が繁殖しやすく、抜け毛や薄毛を引き起こす可能性があるためです。
朝のシャンプーを避けることも効果的です。朝のシャンプーは、頭皮の必要な皮脂までも落としてしまう可能性があります。頭皮や髪の毛の洗い過ぎには気をつけてください。
栄養の豊富な食事を摂る
頭のかゆみの改善や健康的な髪の毛には、タンパク質やビタミン、亜鉛が欠かせません。
| 栄養素 | 効果 | 豊富に含む食べ物の例 |
| タンパク質 | 頭皮や髪の毛を作る | 肉、卵、大豆 |
| ビタミンB群 | 皮脂の分泌を抑える | 魚、レバー、ナッツ類 |
| ビタミンC | 頭皮の代謝を改善する | ブロッコリー、キウイ、パプリカ |
| 亜鉛 | 頭皮のかゆみや炎症を抑える | 牡蠣、納豆、チーズ |
良質なタンパク質は、頭皮と髪の毛を健康にします。積極的に摂取してください。また、脂質や糖質の過剰摂取は控えましょう。皮脂が過剰に分泌されるため、頭のかゆみを引き起こす可能性があります。
そして、亜鉛やビタミンCの摂取も重要です。亜鉛やビタミンCはタンパク質合成を助けるため、健康的な頭皮と髪の毛に欠かせません。
頭のかゆみを改善するためには、タンパク質やビタミンB群、ビタミンC、亜鉛を豊富に含む、栄養バランスのとれた食事を意識しましょう。
参考 栄養に関する基礎知識
生活習慣を改善する
頭のかゆみは、生活習慣の乱れによって生じることも少なくありません。頭のかゆみが原因ではげてしまわないか心配な方は、以下の生活習慣を見直しましょう。
- 良質な睡眠
- 喫煙・飲酒習慣
- 運動習慣
頭のかゆみは、ホルモンバランスの乱れによって生じることが多くあります。ホルモンバランスの乱れは生活習慣の悪化によって引き起こされる場合が多いため、生活習慣を見直すことが大切です。
睡眠不足や質の悪い睡眠は、ホルモン調整機能を低下させ、皮脂分泌を過剰にします。また、喫煙や飲酒も交感神経を優位にし、ホルモンバランスを乱しかねません。
良質な睡眠や喫煙・飲酒習慣の見直し、適度な運動を心がけることで、理想的なホルモンバランスを目指せます。
頭皮を保湿する
頭皮を保湿することも、頭のかゆみ対策に効果的です。特に、グリチルリチン酸2Kやアラントイン、セラミドは、頭皮の保湿やトラブル改善に効果が期待できるとされています。これらの成分が配合されている頭皮ケア製品で保湿をすることがおすすめです。
また、アロエ成分配合の頭皮ケア製品もおすすめです。アロエには、抗炎症作用や保湿作用があるため、頭皮のかゆみ対策に役立ちます。また、強く健康的な髪の毛に欠かせないビタミン類が豊富なため、頭のかゆみだけでなく、抜け毛や薄毛が気になる方も要チェックです。
参考：日本香粧品学会誌｜育毛薬剤の開発と評価方法（これまでと今後）
頭がかゆい原因は皮膚炎の可能性もある
頭のかゆみが長期間続く場合は、皮膚炎の可能性があります。
| 症名 | 症状 |
| 脂漏性皮膚炎 | 過剰分泌された皮脂により、頭皮にかゆみや赤み、フケが生じる |
| 接触性皮膚炎 | シャンプーや整髪料など、体に合わないものがあった場合に起こるアレルギー症状 |
| 皮脂欠乏症皮膚炎 | 皮脂分泌が不足することで頭皮が乾燥し、湿疹やフケが生じる |
| アトピー性皮膚炎 | アレルギーや遺伝、ハウスダウトなどが原因でかゆみが生じる |
頭のかゆみの原因が皮膚炎の場合、自宅での対処では改善されない可能性があります。専門医にかかることでしか症状の改善が見込めないものもあるため、皮膚炎が疑われる場合は早めの受診がおすすめです。
無意識に頭皮をかきすぎてしまうと、かさぶたや傷になります。頭皮のかさぶたや傷ははげる原因となる可能性があるため、早めに対処しましょう。
頭のかゆみが治まっても抜け毛が続くなら脱毛症も疑うべき
万が一、頭のかゆみが治まってからも抜け毛や薄毛が気になるのであれば、それは脱毛症かもしれません。頭にかゆみが生じる脱毛症は、主に以下の3つです。
| 症名 | 症状 |
| AGA（男性型脱毛症） | ・初期に皮脂の過剰分泌による脂漏性皮膚炎が生じ、かゆみが現れる ・脂漏性皮膚炎を放置すると、抜け毛が増える可能性がある |
| FAGA（女性男性型脱毛症） | ストレスやホルモンバランスの乱れによって、頭のかゆみや薄毛、抜け毛が現れる |
| 粃糠性脱毛症 | ・大量のフケが特徴の脱毛症 ・原因は、頭皮に合わないシャンプーや整髪料の使用やすすぎ残しなど |
頭のかゆみの原因が脱毛症の可能性がある場合は、早めに医者や毛髪の専門家に相談しましょう。脱毛症は、セルフケアでの改善や自然治癒が難しい疾患です。
また、AGAとFAGAは、治療をしないと抜け毛が進行して元に戻らなくなる脱毛症です。早めに対処しなければ、薄毛や抜け毛が進み、はげるリスクがあります。
頭皮ケアや生活習慣を見直しても頭のかゆみが改善されない場合は、専門家を受診しましょう。
頭がかゆいとはげるか心配な方によくある質問
頭がかゆいとはげてしまうのではないかと心配に感じる方は、まずは以下の3点をチェックしてください。また、よくある質問と回答も紹介しているため、詳しく知りたい方は参考にしてください。
- 男子中学生はホルモンの関係で皮脂やかゆみが生じやすい
- つむじのかゆみは脱毛症と関係ない可能性が高い
- 日頃のヘアケアを見直すことで改善が期待できる
中学生で頭がかゆいのははげる前兆？
男子中学生は、第二次性徴期の影響で男性ホルモンが増加します。その結果、皮脂が過剰に分泌され、かゆみにつながるのです。
さらに、中学生は部活などで紫外線の影響を受けることが多く、試験や趣味で睡眠不足にもなりがちです。疲れているとシャンプーやすすぎもいい加減になってしまいます。
このように、男子中学生にはかゆみやフケが生じやすい条件が揃っています。しかし、頭がかゆいからといって必ずはげるわけではありません。まずは、焦らずに日々のヘアケアを見直しましょう。
つむじがかゆいとはげる可能性がある？
つむじのかゆみと薄毛には、直接的な関係はないとされています。つむじのかゆみの原因は、合わないヘアケア製品の使用や乾燥、アタマジラミなどの可能性があります。まずは原因を見つけ出し、適切な対策をしましょう。
しかし、かゆいからといってかきすぎてしまうと、頭皮が傷つきます。頭皮が傷つくと、抜け毛や薄毛につながるため、注意が必要です。
育毛剤を使うと頭にかゆみが出ることはある？
育毛剤が頭のかゆみの原因となる可能性は、ゼロではありません。使い方を誤ったり成分が肌に合わなかったりした場合は、かゆみが生じる場合があります。
万が一、育毛剤を使い始めてから頭にかゆみが現れた場合は、専門家に相談してください。使い方や商品を変えることで、問題なく使用できる可能性もあります。
頭がかゆい時でも適切に対処すれば抜け毛は抑えられる
頭がかゆい時は、「はげてしまうかもしれない」と焦らずに、まずは原因を探りましょう。生活習慣やヘアケア方法を見直すことで、かゆみも抜け毛も抑えられる可能性があります。
しかし、頭のかゆみの原因が皮膚炎や脱毛症の場合は、適切な治療が必要です。長期間頭がかゆい方は、一度専門家に相談しましょう。
頭がかゆいからといって、必ずしもはげてしまうわけではありません。本記事を参考にして、焦らず適切に対処してください。そして、健康な頭皮を取り戻し、「はげてしまうかもしれない」というストレスから解放されましょう。
