「同年代に比べて髪のボリュームが少ない気がする」「父親と祖父の髪が薄いので自分も禿げないか不安」

このようなお悩みをお持ちではありませんか。抜け毛や髪のボリュームダウンが気になり始めると、禿げない人にどんな特徴や共通点があるのか気になるものでしょう。

本記事では禿げない人の特徴や、髪の毛のことで悩まない人に多い共通点を紹介します。記事を最後まで読むと、髪の毛の成長に有益なヘアケアのやり方や生活習慣・食習慣の改善法もわかります。

抜け毛が増えて心配な人や、将来の禿げるリスクを下げたい人は参考にしてください。

禿げない人の特徴｜髪の毛で悩まない人に多い共通点を紹介

禿げない人の特徴や、髪の毛で悩まない人に多い共通点は以下の通りです。

• 禿げが遺伝する可能性の低い家系である
• 髪質・毛根がしっかりしていて毛が太い
• ストレスが溜まりにくい生活を送っている
• 適切なヘアケアで頭皮が清潔な状態を保っている
• 髪の毛の成長に必要な栄養素を含む食事が摂れている
• 十分な睡眠を確保している
• 日頃から運動する習慣がある
• 過度に飲酒しない
• タバコを吸う習慣がない
• 抜毛症などの毛を抜く・傷める癖がない

禿げが遺伝する可能性の低い家系である

禿げが遺伝する可能性の低い家系の男性は、髪の毛のことで悩まない傾向にあります。禿げが遺伝する可能性があるのは父親や祖父がAGAの家系です。

AGAは男性型脱毛症と呼ばれており、遺伝的要因で発症しやすいことがわかっています。AGAを発症する2つの遺伝的要因は、5αリダクターゼの活発度とアンドロゲン受容体の感受性です。

5αリダクターゼの活発度は優性遺伝です。両親のいずれかから5αリダクターゼの活性を持つ遺伝子を受け継ぐと、将来禿げるリスクが高くなります。

アンドロゲン受容体の感受性は母方の遺伝に強い影響を受けます。禿げが隔世遺伝するのは母方の祖父の遺伝子を受け継ぐためです。

髪質・毛根がしっかりしていて毛が太い

髪質や毛根がしっかりしていて毛が太いことも禿げない特徴の一つです。禿げや薄毛が進むと、髪の毛が細く弱々しくなる傾向があります。

日本人の標準的な髪の太さはおよそ0.08ミリメートルとされ、欧米人の0.04〜0.05ミリメートルに比べて太いことが特徴です。

欧米人に比べて日本人の髪の毛が太いのは、表面にあるキューティクルが分厚いためです。健康な髪の毛は、抜け落ちても毛根がマッチ棒のように丸みを帯びています。

日本人に多い太めの髪の毛を持つにも関わらず、抜け毛の毛根が丸みを帯びておらず細い人や先端がとがっている人は、何らかの脱毛症の可能性があります。

参考

毛髪に関する数字｜日本毛髪科学協会

脱毛症｜慶應義塾大学病院

ストレスが溜まりにくい生活を送っている

ストレスが溜まりにくい生活を送っている人や、適度にストレス解消できている人は、禿げにくい傾向にあります。

職場や学校、プライベートでストレスが溜まることがあっても、自分なりの方法でストレスが解消できていれば問題ありません。

一方、ストレスが溜まりやすい人や、上手にストレスが発散できない人は、抜け毛や薄毛のリスクが高くなります。

過度なストレス状態が続くと自律神経のうち交感神経が優位になり、血行不良により髪の毛の成長が阻害されるためです。

交感神経が優位になると睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌量が減少し、毛母細胞の分裂にも悪影響をおよぼします。

適切なヘアケアで頭皮が清潔な状態を保っている

適切なヘアケアで頭皮が清潔な状態を保っていることも、禿げにくい人の特徴です。反対に頭皮環境が悪化すると、薄毛の原因になりやすいため要注意です。

大正製薬株式会社の調べでは、AGAを発症した人の頭皮にトリグリセリドやアクネ菌、マラセチアが多く見られるとわかっています。

トリグリセリドやアクネ菌、マラセチアは頭皮環境を悪化させ、抜け毛リスクを高める原因の一つです。

頭皮を清潔に保つためには以下の手順で正しくシャンプーを行い、ドライヤーをかけることが重要です。

1. 髪の毛だけでなく頭皮も予洗いする
2. シャンプーを手のひらでしっかりと泡立てる
3. 指の腹で頭皮を動かすイメージで優しく洗髪する
4. シャンプーが頭皮に残らないようしっかりと洗い流す
5. ドライヤーの前にタオルドライで水分をふき取る
6. 髪の毛から15センチメートルほど離してドライヤーをかける
7. 8割がた乾いたら冷風にして仕上げる

日常の正しいヘアケアで頭皮を清潔に保つと禿げにくいと覚えておいてください。

髪の毛の成長に必要な栄養素を含む食事が摂れている

日頃から髪の毛の成長に必要な栄養素を含む食事を摂れている人は、禿げるリスクが低いと考えられます。髪の毛の成長に必要な主な栄養素は以下の通りです。

栄養素	食べ物の例
タンパク質	肉類・魚類・乳製品・大豆製品・鶏卵など
亜鉛	牡蠣・シジミ・豚レバー・チーズなど
ビタミンB	赤身の魚・脂質の少ない肉類・バナナなど
ビタミンD	マグロ・サバ・きくらげ・干しシイタケなど
鉄分	赤身の肉や魚・赤貝・イチゴ・小豆など

タンパク質は髪の毛を作る原料です。亜鉛のはたらきでアミノ酸が再合成されることで、髪の元となるケラチンが作られます。

ビタミンBには皮脂の分泌量を抑制する作用があり、良好な頭皮環境を保つために欠かせない栄養素の一つです。ビタミンDは毛根にはたらきかけ、髪の成長を促す効果が見込めます。

髪の毛は毛母細胞の分裂により成長しますが、細胞分裂に必要な酸素や栄養を毛根に送り届けるためには鉄分の摂取も欠かせません。

参考 栄養に関する基礎知識｜国立循環器病研究センター

十分な睡眠を確保している

十分な睡眠を確保していることも禿げない人の特徴の一つです。髪の毛は毛母細胞の分裂により成長しますが、細胞分裂は夜間に活発化するためです。

睡眠時間を確保するだけでなく睡眠の質を高めると、新陳代謝が活発化して髪の毛の成長を促進する効果が期待できます。

適切な睡眠時間は年齢によって異なるため、自分に必要な睡眠時間を確認してください。成人男性の場合は6時間以上を目安に、必要な睡眠時間の確保が推奨されています。

睡眠の質を高めるためには早寝早起きを心がけ、朝日を浴びて体内時計をリセットするのが効果的です。

参考

睡眠と代謝の密接な関係 ｜筑波大学

健康づくりのための睡眠ガイド2023｜厚生労働省

日頃から運動する習慣がある

日頃から運動する習慣がある人も、髪の毛のことで悩まない場合が多いです。適度な運動により血行を促進すると、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養を頭皮に供給できます。

運動でストレスを発散したり、心地良い疲労感を得たりすると夜間の睡眠の質を向上させられます。

東京都保健医療局の指針では64歳までの成人男性の場合、息がはずみ汗をかく運動を週に60分行うことが目安です。

1日に20分の運動を週に3回行っても構いませんし、平日が忙しい人は休みの日に60分の運動を行う方法もあります。持病をお持ちの人は医療機関での指導に従ってください。

過度に飲酒しない

過度に飲酒しない人も、髪の毛のことで悩まない傾向にあります。髪の毛の成長には亜鉛が欠かせませんが、飲酒量が増えるとアルコールを分解するために多量の亜鉛が消費されます。

成人男性のアルコール摂取量は純アルコール換算で20gです。飲み物別の目安は以下の表を参考にしてください。

お酒の種類	アルコール度数	飲酒量	純アルコール量
ビール	5%	500ml	20g
日本酒	15%	1号（180ml）	22g
ウィスキー	40%	ダブル（60ml）	20g
焼酎	25%	1号（180ml）	36g
ワイン	12%	グラス1杯（120ml）	12g

お酒が好きな人にとっていきなりの禁酒はストレスにつながるため、目安量を参考に楽しむ程度にとどめると良いでしょう。

参考

飲酒量の単位｜厚生労働省

亜鉛の働きと１日の摂取量｜公益財団法人 長寿科学振興財団

タバコを吸う習慣がない

タバコを吸う習慣がないことも、禿げない人の特徴の一つです。

タバコと禿げに関しては世界各国でさまざまな研究が行われており、喫煙者は非喫煙者に比べてAGAを発症するリスクが1.8倍高いことがわかっています。

1日に10本以上のタバコを吸う人は、1日に10本未満しかタバコを吸わない人に比べ、AGAの発症率が2倍高くなることも判明しました。

タバコに含まれるニコチンは毛細血管を収縮させ、頭皮に送られる血液の循環を妨げる作用があります。

良好な頭皮環境を維持し将来の禿げを予防するためにも、なるべく早めに禁煙するのがおすすめです。

参考：喫煙と男性型脱毛症の関連性に関するメタ分析研究（英文による解説）

抜毛症などの毛を抜く・傷める癖がない

抜毛症などの毛を抜く・傷める癖がないことも、髪の毛で悩まない人に多い特徴の一つです。抜毛症はトリコチロマニアとも呼ばれており、自分で自分の髪の毛や体毛を引き抜くのが特徴です。

10代や女性に多く見られる強迫性障害の一種で、髪の毛や体毛を引き抜くのをやめよう思っても抜毛の衝動が抑えられません。

抜毛症の原因は不明ですがストレスや不安、過緊張により発症リスクが高くなると考えられています。

抜毛癖が収まらないと薄毛に発展する場合もあるため、心療内科で専門的な治療を受ける必要があります。

参考 2023年6月度抜毛症統計｜一般社団法人 日本抜毛症改善協会

禿げない人の特徴を該当しても一定の割合で薄毛は進行する

どれだけ禿げない人の特徴に該当しても、一定の割合で薄毛が進行する可能性はあります。例えば年齢を重ねると細胞の活力低下や血行不良が起こりやすくなるため、ある程度の抜け毛の増加は仕方がありません。

若いうちは薄毛が気にならなくても、年齢とともにAGAの発症率は増加するため油断は禁物です。

女性は更年期に入ると女性ホルモンの分泌量が減少し、相対的に体内の男性ホルモンが増加して抜け毛リスクを高める可能性があります。

抜け毛が少しでも気になり始めたら、頭髪への悪影響がある習慣がないか確認し、早めに改善・対策してください。

参考 更年期｜一般財団法人 女性労働協会

禿げやすい人の特徴に当てはまる場合は早めの治療がおすすめ

禿げやすい人の特徴に当てはまる場合は、毛髪診断士などの専門家に相談して早めに治療を始める必要があります。場合によっては何らかの病気が原因で、抜け毛や薄毛を招いている可能性があります。

脱毛症の中でもAGA（男性型脱毛症）には進行型の特徴があり、適切な治療を怠ると禿げがゆっくりと確実に進行するため注意が必要です。

AGAの主な原因は遺伝ですが、現在では投薬治療により遺伝的要因の抜け毛を抑える方法が確立しています。

抜け毛の原因が抜毛症の場合は自力での改善が難しいため、心療内科で専門的な治療を受ける必要があります。

脱毛症を発症したら終わりだと諦めずに、早めに毛髪診断士などの専門家へ相談して治療を始めましょう。

禿げない人になるために身につけたい習慣

禿げない人になるために身につけたい習慣は次の通りです。

• プロテインやサプリメント等で不足しがちな栄養素を摂る
• 育毛剤を使用した薄毛対策を始める
• 頭皮マッサージを実施する

プロテインやサプリメント等で不足しがちな栄養素を摂る

髪の毛は毎日の食事から摂取する栄養素を元に作られるため、栄養バランスの取れたメニューを考える必要があります。

一般的に大豆製品は髪の毛に良いとされるため、豆乳など手軽に摂取できる方法で取り入れるのがおすすめです。

現代人の食生活はタンパク質やビタミン類、ミネラル類が不足する傾向にあるため、サプリメントを利用して補うと良いでしょう。

ただし、サプリメントはあくまでも栄養補助食品のため、基本となる栄養素は食事から摂取するのが原則です。

また、サプリメントの過剰摂取は思わぬ健康被害を招くため、用法用量を守って服用してください。

育毛剤を使用した薄毛対策を始める

禿げない人になるためには、育毛剤を使用して早めに薄毛対策を始めるのがおすすめです。厚生労働省が発表している「医薬部外品の効能効果の範囲」では、育毛剤に主に以下の効能・効果が期待できます。

• 育毛
• 薄毛・かゆみ・脱毛の予防
• 毛生促進
• ふけ予防
• 病後・産後の脱毛
• 養毛

シャンプーを終えたらドライヤーで頭皮や髪の毛を乾かし、育毛剤を塗布して指の腹でなじませます。商品によりますが、育毛剤は朝・晩の2回塗布するのが基本です。

育毛剤を使用しても抜け毛が収まらない人はAGAなど脱毛症の可能性があるため、専門的な治療に切り替えるのがおすすめです。

頭皮マッサージを実施する

髪の毛は毛母細胞の分裂により成長しますが、そのためには頭皮への血液循環をスムーズに保つ必要があります。

頭皮マッサージを行うと頭皮に送られる血液の量が増加するため、毛母細胞の分裂を活性化させる効果が期待できます。

頭皮マッサージを行う場合は手や身体を温めた上で、以下の手順で行うと良いでしょう。

1. 首から後頭部にかけて走行する2本の太い筋肉を指の腹で上下に優しくマッサージする
2. 両手の人差し指から小指の腹でこめかみ周りを円を描くようにマッサージする
3. 両手の指の腹で頭皮全体を圧迫するようにマッサージする
4. 親指の第一関節で頭頂部にある百会（ひゃくえ）のツボ押しをする

頭皮マッサージの後に育毛剤を塗布すると、さらに血行を促進する効果が期待できます。

参考

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

若白髪の人は禿げないって本当？

若白髪は禿げないとの話はたまに出ますが、医学的根拠はありません。髪の毛は新たに作られた段階では白色をしていますが、成長の過程でメラニン色素により黒や茶色などの色が付けられます。

年齢を重ねるごとに白髪が増えるのは、メラニン色素を生成するメラノサイトの機能が低下するためです。また老化や遺伝、生活習慣の乱れ、ストレスなどが原因で白髪になる可能性もあります。

白髪と禿げで共通する原因はありますが相関関係はありません。白髪が多いから禿げないと過度に信じるのはNGです。

禿げない人の習慣を身につけて将来の薄毛に備えましょう

禿げない人や髪の毛に悩まない人は遺伝的に薄毛になる可能性が低く、心身ともに健康的な日常を過ごしている傾向にあります。

将来の薄毛を予防するためには、禿げない人の習慣を身につけることがおすすめです。日常的に適度に身体を動かして栄養バランスの取れた食事を摂取し、質の良い睡眠を十分に確保するよう意識してください。

頭皮環境を良好に保つためには自分の肌質に合ったシャンプーで洗髪を行い、頭皮マッサージや育毛剤で血行を促進すると良いでしょう。
遺伝が原因のAGAであっても適切な治療で進行を遅らせ、年齢相応の毛髪量を維持できます。セルフケアで抜け毛が改善しない人は、毛髪診断士などの専門家に相談して早めに薄毛治療を始めるのがおすすめです。