毎朝、枕に散らばる抜け毛を見て不安を感じていませんか？枕の抜け毛は、多くの人が気にする悩みの一つです。しかし、どの程度の抜け毛から心配すべきなのか判断に迷う方もいるでしょう。

本記事では、枕の抜け毛の平均的な本数や、抜け毛が気になる方向けの対策を紹介します。

抜け毛にお悩みの方は本記事を参考にして適切に判断・対策を行い、ハリ・コシのある健やかな髪の毛を維持しましょう。

枕の抜け毛が気になる方は正常時の平均本数をまず知ろう

枕の抜け毛に不安を感じる前に、まずは正常な抜け毛の本数を知ることが大切です。

健康な成人の場合、1日に抜ける髪の毛の本数は平均して50〜100本程度とされています。この数字は男女問わず共通で、性差による大きな違いはありません。

しかし、季節によって抜け毛の量は変動しやすいです。特に、春や秋には一時的に抜け毛が増加し、1日200本弱になることもあります。ただ、これは自然な現象であり、時間とともに落ち着く場合が多いです。

したがって枕の上の抜け毛が急に増えてもすぐに心配する必要はありません。正常な範囲内の抜け毛の本数を理解し、長期的に見ることが大切です。

自身の抜け毛の状況を冷静に観察して適切な対策を取ることで、健康的な髪を維持できるでしょう。

【本数別】枕の抜け毛の量からみる薄毛のリスク

枕の抜け毛の本数と薄毛リスクの関係は、個人差が大きいため絶対的な基準とはいえません。しかし、目安として知っておくと抜け毛に危機感を持つ際の参考になります。

以下では抜け毛の本数を3段階に分け、それぞれの薄毛のリスクを解説します。自身の状況と照らし合わせてみてください。

• 5本～10本
• 10本～20本
• 20本以上

5本～10本｜正常な可能性が高い

枕に5〜10本程度の抜け毛が見られる場合、これは正常な範囲内と考えて良いでしょう。健康な成人の1日の平均抜け毛本数が50〜100本であることを考えると、枕の上に10本以下の抜け毛があるのは自然な現象です。

また、これらの抜け毛は睡眠中に抜けたものとは限りません。シャンプーやブラッシング、ドライヤーの使用時に抜けかけていた髪の毛が、睡眠中に最終的に抜け落ちたケースも考えられます。

つまり、日常的なヘアケアの過程で自然に抜け落ちる髪の一部が、枕の上に現れたと解釈できるのです。

10本～20本｜一時的な抜け毛増加or薄毛リスク低

枕の上に10〜20本の抜け毛が見られる場合、薄毛のリスクは比較的低いと考えられます。この程度の抜け毛量は一時的な要因による増加の可能性が高いでしょう。

抜け毛の一時的な増加には季節の変わり目（特に春や秋）で新陳代謝が活発になることも関係します。また、日常生活のストレスや睡眠不足、偏った食生活なども抜け毛を増やす原因です。

女性の場合は妊娠や出産、授乳期、更年期などライフステージに伴うホルモンバランスの変化が、一時的に抜け毛を増やすこともあります。

20本以上｜薄毛リスク中～高

枕の上に20本以上の抜け毛が見られる場合、薄毛のリスクは中〜高程度と考えられます。これは正常な1日の抜け毛量（50〜100本）の2割〜4割に相当し、枕に付着している本数が正常よりも多いといえるでしょう。

20本以上の抜け毛が続く場合、深刻な抜け毛の兆候である可能性があります。男性の場合は男性型脱毛症（AGA）、女性の場合は女性型脱毛症（FAGA）の初期段階かもしれません。

また、過度のストレスや栄養バランスの乱れ、ホルモン異常など全身の健康状態に問題がある可能性も考えられます。

枕の抜け毛の状態によっても薄毛のリスクは判断できる

枕の抜け毛の状態は、薄毛のリスクを判断する上で重要な手がかりとなります。単に本数を数えるだけでなく、抜け毛の質や特徴を観察することでより詳細な状況把握が可能です。

抜け毛の長さや毛根の有無、髪質などから、髪の毛の健康状態や薄毛の進行度を推測できます。以下では具体的な抜け毛の状態と、それが示唆する薄毛リスクを紹介します。

• 抜け毛が短い
• 毛根がない・黒い・べたついている

抜け毛が短い

枕の上に短い抜け毛が多く見られる場合、薄毛のリスクが高まっている可能性があります。人によって散髪の頻度や長さが異なるため、“短い抜け毛”の絶対的な基準はありません。

しかし、他よりも明らかに短い髪の毛や、3〜5cm未満の短い毛がある場合は要注意です。

短い抜け毛の増加は、髪の毛の成長サイクル（毛周期）が異常な兆候かもしれません。健康な髪の毛は「成長前期→成長後期→退行期→休止期」の段階を2〜6年かけて循環します。

しかし、毛周期が乱れると髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまうのです。

参考

男性型脱毛症と育毛有効成分

毛髪に関する数字｜日本毛髪科学協会

毛根がない・黒い・べたついている

枕の上の抜け毛の毛根の状態は、髪の健康状態を判断する重要な指標です。正常な毛根は、白い小さな球状の組織（毛球）が付いており、透明か薄い色をしています。

しかし、毛根の状態に異常が見られる場合、薄毛のリスクが高まっている可能性があります。下表は異常な毛根の状態と考えられる原因をまとめたものです。

毛根の状態	考えられる原因
毛根がない	毛周期（ヘアサイクル）の乱れ
変形している	脱毛症の発症やストレス
色が黒い	運動不足やストレスなどによる血行不良
べたついている	過剰な皮脂分泌や頭皮の不衛生

これらが見られる場合、薄毛のリスクが高まっている可能性があります。

特に毛根なしの抜け毛が多い場合は、毛周期の乱れや毛包の損傷が考えられ、早急な対策が必要です。また、黒い毛根やべたついた毛根は、頭皮の健康状態に問題がある可能性を示唆しています。

参考 脱毛症｜慶應義塾大学病院

枕の抜け毛に危機感を持ったら薄毛の専門家へ相談

枕の抜け毛の本数に不安を感じたら、迷わず薄毛の専門家に相談することをおすすめします。特に、毎朝20本以上の抜け毛が枕に付着している場合は、すでに薄毛が進行している可能性が高いため、早急な対応が必要です。

専門家の診断を受けることで、脱毛症の有無や進行度を正確に把握できます。また、一人ひとりの状況に応じた適切な治療法や対策を提案してもらえるため、効果的に薄毛の進行を抑制できる可能性が高まります。

早期発見・早期治療は、薄毛対策の要（かなめ）です。自己判断で様子を見ず、専門家の助言を受けましょう。薄毛は徐々に進むため、気づいた時には手遅れなこともあります。少しでも不安を感じたら、まず専門家への相談を検討してください。

枕の抜け毛が増えやすい人によくある習慣と解決策

枕の抜け毛が気になる方の多くは、日常生活の中で髪の毛に悪影響を与える習慣を無意識に続けています。これらの習慣を改善することで抜け毛を減らし、髪の健康を取り戻せるでしょう。

以下では、抜け毛を増やしやすい代表的な習慣とその解決策を紹介します。

• 髪の毛をきれいにしないまま寝ることがある
• 濡れたままの髪の毛で寝ることがある
• 枕・カバーを定期的に洗濯していない
• 髪の毛を洗う力が強い・ケアの方法が誤っている
• 食事・睡眠・運動などの生活習慣が乱れている
• 無意識に髪の毛を触る・抜く癖がある

髪の毛をきれいにしないまま寝ることがある

髪の毛を清潔にしないまま就寝することは、抜け毛のリスクを高める要因となります。1日の汚れや皮脂、老廃物が毛穴に蓄積したまま6〜8時間放置されると、頭皮環境が悪化しやすくなるのです。

この状態が続くと毛穴が詰まり、新しい髪の毛の成長が妨げられます。また、不衛生な頭皮は細菌の繁殖を促進し、炎症や痒み（かゆみ）を引き起こす原因にもなりかねません。

対策としては就寝前に必ずシャンプーを行い、頭皮を清潔に保つことが重要です。やむを得ず髪を洗わずに寝てしまった場合は、翌朝すぐにシャンプーをし、同時に枕カバーも洗濯することをおすすめします。

濡れたままの髪の毛で寝ることがある

濡れたままの髪の毛で就寝する習慣は、髪の健康に深刻なダメージを与える可能性があります。濡れた状態の髪の毛は弱く、枕との摩擦で簡単に傷ついてしまうのです。

また、湿った環境は細菌やカビの繁殖を促進し、頭皮のトラブルを引き起こす原因となります。さらに、髪の毛の水分が蒸発する過程で頭皮の水分も失われ、乾燥を招きます。頭皮の乾燥は、薄毛につながる要因の一つです。

対策として、就寝前には必ず髪の毛を乾かしましょう。ただし、ドライヤーの使い方にも注意は必要です。高温で長時間当てると髪にダメージを与えてしまいます。

低温から中温設定で、頭皮から20cmほど離し、髪をかき上げるように乾かしてください。

参考 男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮に 粘度の高い皮脂成分（トリグリセリド）が多いことを発見｜大正製薬

枕・カバーを定期的に洗濯していない

枕や枕カバーの衛生状態は、髪の毛の健康に大きな影響を与えます。

多くの方が見落としがちですが、私たちは睡眠中に予想以上の汗をかいています。この汗が枕に蓄積され、細菌の繁殖を促進するのです。

清潔な髪と頭皮で就寝しても、不衛生な枕に触れるとその清潔さは無駄になります。これは抜け毛の他、さまざまな頭皮トラブルを引き起こす原因となるため注意が必要です。

対策として、枕カバーは最低でも週に1回は洗濯することをおすすめします。可能であれば、2〜3日に1回の頻度で交換するのが理想的です。枕本体も定期的に洗濯や天日干しをしましょう。

洗濯できない枕の場合は、月に1回ほど晴れた日に数時間外で干すことで雑菌の繁殖を抑制できます。

髪の毛を洗う力が強い・ケアの方法が誤っている

髪の毛のケア方法が不適切だと、知らない間に髪の毛や頭皮にダメージを与え、抜け毛のリスクを高めます。

特に注意すべきはシャンプー時の力の入れすぎ、乱暴なブラッシング、高温のドライヤーの過度な使用です。これらは髪と頭皮に過剰な負担をかけ、健康な髪まで抜けやすくする原因となります。

シャンプー中に抜け毛が見られるのは正常ですが、刺激の強いケアによって本来なら抜けなかった髪の毛まで脱落することがあります。そして、シャンプー時に完全に洗い流せなかった抜け毛が、就寝中に枕に付着することも多いです。

改善策として日々のヘアケア方法を見直し、髪の毛と頭皮への刺激を最小限に抑えることが重要です。シャンプーは指の腹で優しく円を描くように、ブラッシングは髪の根元から毛先に向かってゆっくりと、ドライヤーは低温設定で頭皮から20cmほど離して使用しましょう。

食事・睡眠・運動などの生活習慣が乱れている

生活習慣の乱れは、枕の抜け毛増加に直結します。日々の不規則な生活が蓄積されると徐々に薄毛が進行し、気づいた時には抜け毛が顕著になっていることも多いです。

抜け毛の主な要因として睡眠不足、運動不足、脂質過多の食事、過剰な糖分摂取、極端なダイエットによる栄養バランスの崩れなどが挙げられます。これらは身体的・精神的ストレスを引き起こし、髪の毛の健康状態を悪化させます。

下表は乱れた生活習慣の例と、その具体的な改善策をまとめたものです。

乱れた生活習慣の例	改善案
睡眠不足	・就寝時間を一定に保つ・睡眠時間を7〜8時間確保する
運動不足	・階段を使うなど日常生活で身体を動かす・デスクワーク中も定期的に身体を動かす
脂っこい食事	・野菜や魚を中心とした食事を意識する・揚げ物やスナック菓子の摂取を控える
砂糖の多い食事（間食）	・甘い飲み物を水やお茶に置き換える・果物や低糖質のお菓子を選ぶ
過度なダイエット・偏食	・タンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取を意識する・急激な体重減少を避け、緩やかなペースでダイエットを行う

これらの改善策を日常生活に取り入れることで髪の健康を維持し、抜け毛を抑制しやすくなります。

無意識に髪の毛を触る・抜く癖がある

無意識に髪の毛を触ったり抜いたりする癖は、枕の上の抜け毛が増加する原因の一つです。一見ささいに思える習慣も、長期的には深刻な抜け毛問題へと発展する可能性があります。

特に注意が必要なのは、抜毛症と呼ばれる状態です。抜毛症になると無意識のうちに、あるいは抑制したくても髪の毛を抜いてしまいます。

自分ではこの癖に気づくのが難しいため、家族や友人など周囲の人に確認してもらうことが重要です。もし髪を触ったり抜いたりする習慣があると指摘された場合、または自分でその傾向に気づいた場合は、迷わず専門家に相談することをおすすめします。

枕の抜け毛が気になる方が今からできる薄毛対策

枕の抜け毛が気になる方が今から始められる薄毛対策があります。以下に、頭皮と髪のケアやマッサージ、適切な育毛剤の使用など、日常的に実践できる方法を紹介します。

これらの対策を継続することで、健康的な髪の成長を促進し、抜け毛を減らせるでしょう。

• 頭皮・髪の毛のダメージを補修・予防する
• 頭皮マッサージを行う
• 育毛剤を使用する

頭皮・髪の毛のダメージを補修・予防する

髪型やヘアアレンジ、紫外線から受けたダメージを補修・予防することは、抜け毛対策の基本です。日々の生活で受けるストレスから髪を守るため、以下の方法を取り入れてみましょう。

まず、保湿ローションを使用して頭皮の乾燥を防ぎます。頭皮の乾燥は髪の毛の成長を妨げる要因となるため、適度な保湿は重要です。

次に、紫外線対策として日傘やキャップを活用しましょう。紫外線は髪の毛にダメージを与え、劣化を招きます。

また、定期的なトリートメントの使用も効果的です。髪の内部まで栄養を届けることでダメージを修復します。さらに、頭皮に優しい低刺激のシャンプーを選ぶことで、効果的なヘアケアを日頃から実施できるでしょう。

頭皮マッサージを行う

効果的な頭皮マッサージは、髪の毛の成長を促進する環境づくりの基本となります。以下の3つのステップで、正しいマッサージ方法を実践しましょう。

まず、こめかみをほぐすことから始めます。親指を当てて目を上げるようにして押し上げ、くるくると回します。これにより、頭全体の血行が改善されます。

次に首筋のマッサージです。頭の後ろで手を組み、両方の親指を首の付け根に押し付けます。そこから少しずつ上へ押し上げていくことで、首筋の緊張がほぐれていきます。

最後に、頭のツボである百会を刺激しましょう。両耳を結んだ線と鼻から上に通る線が交わる場所を、親指の第一関節で真下に向かって優しく押します。

このマッサージは頭皮の血行促進だけでなく、全身のリラックス効果も期待できます。

参考

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

育毛剤を使用する

育毛剤の使用は、抜け毛対策の効果的な方法の一つです。正しい使用方法とタイミングを守ることで、より高い効果が期待できます。

育毛剤の効果を最大限に引き出すには、清潔な頭皮に塗布することが重要です。そのため、入浴後や頭皮の汚れを落としたタイミングでの使用がおすすめです。塗布する際は、頭皮全体に均一に行き渡るよう、指の腹を使って優しくマッサージするように塗り込みましょう。

使用頻度は、基本的に朝晩の1日2回が理想的です。特に就寝前の使用はおすすめです。成長ホルモンが分泌されやすく、育毛効果を高めます。

また、育毛剤の種類によって効果的な使用量が異なるため、製品の説明書をよく確認することも大切です。

参考 厚生労働省｜医薬部外品の効能効果の範囲

枕・枕カバー選びも抜け毛を防ぐためには大切

枕と枕カバーの適切な選択は、快適な睡眠環境づくりだけでなく、抜け毛予防にも重要な役割を果たします。特に注目すべきは、枕の硬さと枕カバーの素材です。

枕選びでは、硬さが最も重要なポイントとなります。適度な硬さの枕は頭部を安定させ、自然な寝返りを促します。

硬すぎる枕・柔らかすぎる枕は、首や肩に負担をかけ、頭皮の血行を悪化させる原因となります。頭部が心地よく沈み込み、首筋がリラックスできる枕を選びましょう。

枕カバーは、肌触りの良い素材を選ぶことが大切です。毛が絡まりやすい粗い素材は避け、綿やシルクなどの滑らかな素材を選択することで、摩擦による抜け毛を防げます。

枕に抜け毛が増える前に早く対策を始めよう

枕の抜け毛は、薄毛のリスクを判断するサインとなります。毎朝の枕の抜け毛の本数や状態を観察することで、自身の髪の毛の健康状態を把握できます。

特に、1日20本以上の抜け毛が見られる場合や短い抜け毛、毛根の状態が気になる場合は要注意です。また、生活習慣の乱れや不適切なヘアケア方法も抜け毛の原因となります。自分の日常生活を振り返り、当てはまる項目があれば、早めに改善することが大切です。

薄毛対策は、症状が進行してからでは効果が出にくく、時間もかかります。そのため、少しでも抜け毛が気になり始めたら、すぐに対策を始めることをおすすめします。

頭皮マッサージや適切なヘアケア、生活習慣の改善など、できることから始めてみてください。早期発見・早期対策で、自信を持てる健康的な髪の毛を目指しましょう。