近年、健康志向の高まりとともに、サウナを習慣にしている方が増えています。しかし「サウナに入るとはげる」との噂を耳にして、不安に思う方もいるでしょう。

本記事ではサウナに入ると本当にはげるのか、サウナに入ることで髪や頭皮にどのような影響があるのか、メリットはあるのかを詳しく解説します。また、髪の毛にダメージを与えない正しいサウナの入り方も紹介します。

最後まで読めば、サウナと髪の毛の関係性について正しく理解でき、安心してサウナを楽しめるでしょう。サウナ好きの方はもちろん、髪の毛の健康に関心がある方もぜひ参考にしてください。

サウナに入ってはげる場合は入り方に問題があることが多い

サウナで髪の毛が薄くなるのは、入り方に問題がある場合が多いと考えられます。

高温多湿な環境は髪の毛や頭皮に負担をかけ、ダメージを与える可能性があります。しかしサウナを適切に利用すれば、髪の毛に良い影響を与えることも期待できます。

もし、サウナで髪の毛が薄くなってしまった場合は、サウナの入り方が適切ではない可能性が考えられます。そのため、髪や頭皮に悪影響になるサウナの入り方を知り、安心してサウナを楽しみましょう。

「サウナに入るとはげる」といわれる理由

サウナに入るとはげるといわれる理由には、以下があります。

• サウナ室の高温が頭皮・髪の毛にダメージを与えるから
• サウナ室内の乾燥によって髪の毛の水分が失われるから
• 汗や皮脂を洗い残すと毛穴が汚れ・老廃物でふさがれるから

それぞれ詳しく解説します。

サウナ室の高温な環境が頭皮・髪の毛にダメージを与えるから

サウナに入るとはげるといわれる理由の一つに、サウナ室の高温が頭皮や髪の毛に与えるダメージが挙げられます。サウナ室の平均的な温度は、ドライサウナで80～100℃の湿度の低い環境です。

髪の毛の温度耐性は、濡れた状態で60℃、乾燥状態で80℃が目安とされており、サウナ室の温度はこれを容易に超える可能性があります。

特に、髪の毛が濡れた状態でサウナに入ると熱変性しやすくなり、ダメージが大きくなります。高温による乾燥や熱変性は髪の毛のキューティクルを傷つけ、枝毛や切れ毛の原因となるだけでなく、頭皮の乾燥を招き、抜け毛を促進する可能性も考えられます。

参考 サウナの上手な入り方ルール｜日本サウナ・スパ協会

サウナ室内の乾燥によって髪の毛の水分が失われるから

サウナ室内の乾燥も、サウナに入るとはげるといわれる理由の一つです。

サウナ室は高温な環境ですが、同時に非常に乾燥した状態です。髪の毛は適度な水分量を保つことで健康な状態を維持しています。

しかし、髪の毛はサウナ室の乾燥した空気に長時間さらされることで、水分が蒸発しパサつきやすくなるのです。パサついた髪の毛は外的刺激に弱くなり、切れ毛や枝毛の原因となるだけでなく、頭皮の乾燥を促進させ抜け毛を引き起こす可能性も高まります。

頭皮の乾燥は毛根のはたらきを低下させ、結果的に薄毛につながるリスクを高めます。

汗や皮脂を洗い残すと毛穴が汚れ・老廃物でふさがれるから

また、サウナではげるといわれる理由としてサウナに入ることで発生する汗や皮脂を十分に洗い流さず、毛穴が汚れや老廃物で詰まることも挙げられます。

サウナに入ると大量の汗をかいて毛穴が開き、皮脂や古い角質などが排出されます。シャワーを浴びる際には汚れをしっかりと洗い流さないと、開いた毛穴に老廃物が詰まり、髪の毛の成長を妨げるのです。

毛穴が詰まると髪の毛が十分に成長できなくなり、抜け毛の原因につながる可能性があります。さらに汚れや老廃物が毛穴に残ると、雑菌が繁殖しやすく、頭皮の炎症や臭いの原因にもつながります。

参考 男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮に 粘度の高い皮脂成分（トリグリセリド）が多いことを発見｜大正製薬

サウナははげるリスクよりも薄毛改善のメリットの方が大きい

実際には、サウナははげるよりも以下の薄毛改善のメリットがあります。

• 血行が促進されて老廃物が体内から排出される
• 自律神経のバランスを整えてストレスが緩和される
• サウナによる適度な負荷で睡眠の質が上がる

血行が促進されて老廃物が体内から排出される

サウナが薄毛改善につながる理由の一つに、サウナによって血行が促進される効果が挙げられます。

サウナに入ると全身の血行が良くなり、特に血流が滞りやすい頭部の血流も改善されます。血流が良くなることで髪の毛や頭皮へ酸素や栄養が効率的に運ばれ、髪の毛の成長を促す効果が期待できるのです。

また、サウナによる発汗作用は、体内に溜まった老廃物を排出するデトックス効果をもたらします。老廃物が排出されると頭皮が清潔な状態に保たれ、毛穴の詰まりも防げるでしょう。

このようにサウナで汗をかくことは、血行を促進し健康な髪の毛を育む環境を整える効果があるのです。

自律神経のバランスが整いストレスが緩和される

サウナによって自律神経のバランスが整うと、薄毛改善に良い影響を与えることがあります。

サウナでのいわゆる「ととのう」経験は、自律神経のバランスを整える効果があります。現代人はさまざまなストレスを抱えがちですが、ストレスは自律神経のバランスを乱し、頭皮環境を悪化させる要因の一つです。

サウナでリラックスすることで、ストレスや疲労が軽減され、自律神経のバランスが整いやすくなります。ストレスや慢性的な疲れは薄毛の原因となるため、これらの解消は薄毛のリスクの軽減につながるでしょう。

サウナによる適度な負荷で睡眠の質が上がる

適度な負荷で睡眠の質が向上して、薄毛改善の効果が得られることもサウナのメリットです。

サウナに入ると身体に心地良い負荷がかかり、深部体温が上昇します。その後、体温が低下する際に深いリラックス状態になり、質の高い睡眠を得やすくなります。良質な睡眠は、髪の毛の成長ホルモン分泌の促進には欠かせません。

さらに、サウナによる熱刺激はヒートショックプロテイン（HSP）と呼ばれるタンパク質の生成を促します。HSPは睡眠リズムが整う効果や自律神経のバランスの調整など、多くの効果があるとされている物質です。

HSPには細胞の修復や再生を促すはたらきがあり、髪の毛の細胞の活性化にもつながると考えられています。

参考 A hot topic for health: Results of the Global Sauna Survey

サウナではげる可能性を下げるために正しい入り方を知ろう

サウナに入ることよる頭皮へのダメージを抑えるためには、正しい入り方を心掛けることが重要です。以下の入り方をマスターして、薄毛対策につなげましょう。

1. 準備：サウナに入る前に、シャワーで汗や汚れを洗い流し、清潔な状態でサウナ室へ入りましょう。
2. 温度調整：サウナ室は高温のため、最初は低い位置で様子を見ながら徐々に高い位置へ移動しましょう。
3. 時間：8～12分程度の入浴時間を目安に、徐々に時間を調整しましょう。
4. クールダウン：サウナ後は、シャワーや水風呂で体を冷やし、汗をしっかりと洗い流しましょう。
5. 水分補給：サウナで失われた水分を補給するため、必ず水分を摂取しましょう。
6. 休息：サウナ後は安静に30分ほど休み、体を休ませましょう。

これらの点に注意しながらサウナを安全に楽しむことで、はげる可能性を抑えられるでしょう。

参考 サウナの上手な入り方ルール｜日本サウナ・スパ協会

サウナではげる原因を作らないための対策

はげる原因を作らないためには、サウナに入る前後でしっかり以下の対策を実践しましょう。

• サウナ前｜サウナハット・タオル・ヘアオイルなどで頭髪を保護する
• サウナ前｜髪の毛への負担が少ないミストサウナを選ぶ
• サウナ中｜水分をしっかりと摂る
• サウナ後｜シャンプーで汗や皮脂をよく洗い流す
• サウナ後｜髪の毛をトリートメント・保湿する

サウナ前｜サウナハット・タオル・ヘアオイルなどで頭髪を保護する

サウナに入る前には、高温多湿なサウナ室から髪の毛を守るための準備をしましょう。髪の毛を保護するアイテムとしてサウナハットやタオル、ヘアオイルなどが挙げられます。

サウナハットは、髪の毛を直接高温から守るためのアイテムとして非常に効果的です。しかし、サウナハットを持っていない場合は、タオルを頭に巻くことも一つの方法です。タオルは、髪の毛に熱が伝わるのを防ぎ、乾燥から守る効果があります。

また、ヘアオイルを髪に塗ることもおすすめです。ヘアオイルは髪の毛にうるおいを与え、熱から保護する効果があります。ただし、サウナ室内にヘアオイルが垂れないように、少量を髪全体になじませるようにしましょう。

サウナハットのタイプ別にメリット・デメリットを紹介

サウナハットにはさまざまな種類があり、それぞれの素材によって特徴や使用感が異なります。

サウナハットの種類と特徴は以下の通りです。

タイプ	メリット	デメリット
ウールフェルト	・断熱性が高く保護効果が高い・吸湿性に優れ、汗をかいてもべたつきにくい	・手入れがややむずかしい・他の素材に比べて価格が高め
タオル	・軽量で扱いやすい・価格が安く手軽に購入できる	・断熱性が低い・頻繁な洗濯で耐久性が落ちる
リネン	・通気性が良く、軽くて蒸れにくい・肌触りが良い	・断熱性が低い・シワになりやすい

選ぶポイントは、サウナの頻度や高温サウナ・低温サウナなどのサウナハットを使用する環境によって異なります。それぞれの素材のメリットとデメリットを比較し、自身のサウナスタイルにあった素材を選びましょう

サウナ前｜髪の毛への負担が少ないミストサウナを選ぶ

サウナの種類を選べる場合は、髪の毛への負担が少ないミストサウナを選択しましょう。

サウナの種類は大きく分けて、高温低湿度のドライサウナと、低温高湿度のミストサウナがあります。ミストサウナはドライサウナに比べて温度が低く、湿度が高いのが特徴です。そのため、髪の毛への負担が少なく、乾燥によるダメージを軽減できます。

ミストサウナは細かい霧状の水を浴びることで、まるで自然の温泉に入っている感覚を味わえます。高温が苦手な方や、髪の毛が乾燥しやすい方でも快適に過ごせるでしょう。

サウナ中｜水分をしっかりと摂る

サウナ中は、髪の毛へのダメージを防ぐためにも水分をしっかり摂りましょう。

サウナでは大量の汗をかき、体内の水分が失われます。水分が不足すると、血液がドロドロになり、頭皮への栄養供給が滞る可能性があります。

頭皮への栄養不足は、髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えたりする原因の一つです。また、体全体の水分バランスが崩れることで、めまいや頭痛、倦怠感などの症状が現れることもあります。

サウナ中のこまめな水分補給により、これらのリスクを軽減できます。水分補給にはミネラルウォーターやスポーツドリンクがおすすめです。

サウナ後｜シャンプーで汗や皮脂をよく洗い流す

サウナ後には、シャンプーでしっかりと頭皮と髪を洗い流し、清潔な状態に戻しましょう。

汗や皮脂が頭皮に残っていると毛穴が詰まり、雑菌が繁殖しやすくなります。その結果、頭皮トラブルや抜け毛の原因となる可能性があります。

シャンプーをする際は、ぬるま湯で頭皮を十分に濡らし、シャンプーを泡立てて頭皮をマッサージするように洗うと効果的です。頭皮だけでなく、髪の毛全体も丁寧に洗いましょう。

また、シャンプー選びも重要です。アミノ酸系シャンプーや育毛成分配合のシャンプーを選ぶと頭皮の健康を保ちながら、髪の毛の成長を促進する効果が期待できます。

サウナ後｜髪の毛をトリートメント・保湿する

サウナで乾燥した髪の毛は、キューティクルが剥がれ、パサつきやすくなっています。ダメージを修復しうるおいを与えるためには、トリートメントや保湿ケアが欠かせません。

シャンプー後、タオルドライした髪にトリートメントを塗布し、数分置いてから洗い流しましょう。特に毛先やダメージが気になる部分には、たっぷり塗布すると効果的です。

トリートメントを選ぶ際は髪のダメージレベルや髪質にあわせて、保湿力や修復力が高いものを選ぶと良いでしょう。

また、洗い流さないトリートメントやヘアオイルもおすすめです。これらの製品は、髪の表面をコーティングし、外部の刺激から髪を守ってくれます。

対策してもはげるならサウナとは別の問題が考えられる

これまで紹介した対策をしっかり実践しても髪の毛が抜け続けている場合は、サウナとは別の原因が考えられます。

考えられる原因として、男性型脱毛症（AGA）や女性男性型脱毛症（FAGA）など、遺伝的な要因やホルモンバランスの乱れなどが原因となる脱毛症が挙げられます。

もし、対策しても抜け毛が改善されない場合は、早めに皮膚科や専門家へ相談しましょう。専門家による診断を受けることで、抜け毛の原因を特定し適切な治療が受けられます。

男性型脱毛症（AGA）や女性男性型脱毛症（FAGA）は進行性の病気のため、放置すると症状が悪化し治療がむずかしくなる可能性があります。自然治癒は困難な疾患のため、早期の治療が重要です。

サウナに入るとはげるのか気になる方に多い質問

「サウナに入るとはげる」との噂が気になる方に多い、以下の質問を解説します。

• サウナに入ると毛が濃くなる、または薄くなることはありますか？
• 髪の毛が濡れたままで入ってもいいですか？
• ウィッグをつけたままで入っても大丈夫ですか？

サウナに入ると毛が濃くなる、または薄くなることはありますか？

サウナに入ることで、髪の毛が濃くなったり薄くなったりすることはありません。

サウナは高温多湿な環境ですが、髪の毛の成長に直接影響を与えるほどではありません。髪の毛の成長は遺伝やホルモンバランス、栄養状態など、さまざまな要因が複雑に絡みあって決まります。

サウナでの一時的な高温多湿は、これらの要因に直接的な影響を与えるものではありません。

髪の毛が濡れたままで入ってもいいですか？

サウナに髪の毛が濡れたまま入るのは、おすすめできません。

髪の毛が濡れている状態はキューティクルが開きやすく、サウナの熱によってダメージを受けやすくなります。高温多湿なサウナ室で濡れた髪の毛が長時間熱にさらされると、髪の内部の水分が蒸発し、パサつきや切れ毛の原因となる可能性があります。

さらに髪の毛が乾く過程で熱による乾燥やダメージが進行しやすくなるため、サウナ前に髪を乾かしておくことが重要です。

ウィッグをつけたままで入っても大丈夫ですか？

ウィッグをつけたままサウナに入るのは控えましょう。

高温多湿なサウナ室の中でウィッグを着用するとウィッグの素材が変形したり、頭皮や自分の髪が熱でダメージを受けてしまったりする可能性があります。

また、汗によってウィッグがずれてしまったり、接着剤が溶けたりするなどの思わぬトラブルにつながることも考えられます。

せっかくのサウナタイムを快適に過ごすためには、ウィッグは外しサウナハットを着用するのがおすすめです。

入り方を工夫すればサウナは育毛効果が見込める

サウナは入り方によっては髪の毛に悪影響を与える可能性がありますが、正しく利用すれば、むしろ健康な髪の毛を育む上で有効な手段となります。

サウナに入ると血行が促進され、頭皮に十分な栄養が行き渡るため、髪の毛の成長を促す効果が期待できます。また、サウナで得られるリラックス効果は、ストレスによる抜け毛を防ぐことにもつながるでしょう。

サウナで髪の毛の健康を維持するためには、高温によるダメージから髪を守る、頭皮を清潔に保つ、水分補給をしっかりと行うなど対策が重要です。

これらの対策を心掛けることで、サウナを安心して楽しみながら髪の毛の健康も保てるでしょう。