健康な髪の毛は、健康な頭皮から生まれます。
そのため、頭皮がベタついたり乾燥したり頭皮トラブルが起こると、抜け毛や薄毛にならないか不安な方もいらっしゃるでしょう。
しかし、どのような状態が良い頭皮環境なのかを知らないと、改善するのも難しいです。
そこで当記事では理想の頭皮の状態について解説するとともに、頭皮環境を改善するための5つの方法を紹介します。
記事を最後まで読むと頭皮環境を良好に保ち、抜け毛などの頭皮トラブルを予防する効果が期待できます。
頭皮のベタつきや乾燥が気になる方は参考にしてください。
改善して目指したい理想の頭皮環境とは？
頭皮のベタつきや乾燥などのトラブルを防ぐためには、理想の頭皮環境について知っておく必要があります。
理想の頭皮環境には以下2つの特徴が見られます。
- 頭皮が柔らかく血行が良い
- 保湿・保護効果が見込める適度な皮脂膜がある
頭皮が柔らかく血行が良い
頭皮が柔らかくて血行が良い場合、理想的な頭皮環境にあると考えられます。
血行が良いと頭皮は柔らかい状態を保ちますが、血行不良に陥ると頭皮が硬くなる傾向にあります。
加齢による頭皮の硬化は老化現象の一種ですが、若年での頭皮の硬化は抜け毛や薄毛のリスクを高めるため注意が必要です。
頭皮が硬くなると血管が圧迫されて血行不良を招くため、髪の毛に送られる血液量が不足して抜け毛のリスクを高めます。
保湿・保護効果が見込める適度な皮脂膜がある
皮脂はべたつきの元として敬遠される傾向にありますが、実は頭皮環境を良好に保つためには欠かせない要素の1つです。
皮脂と汗から構成される皮脂膜は、外部の異物侵入や乾燥から頭皮を守る重要なはたらきがあります。
そのため、皮脂膜が失われると頭皮の乾燥や細菌の侵入により、炎症を起こすなど頭皮トラブルのリスクが増加します。
反対に皮脂の量が増えすぎると常在菌が異常に繁殖し、脂漏性脱毛症による抜け毛を引き起こす可能性があります。
改善した方がいい頭皮の色とは？毛髪の状態も解説
頭皮環境が良好に保たれているかどうかは、頭皮の色からある程度は判断できます。
以下の表で頭皮の色と、頭皮環境の状態について紹介します。
| 頭皮の色 | 頭皮環境の状態 |
| 青色 | 良好 |
| 白色 | 乾燥 |
| 黄色 | 皮脂の過剰な分泌 |
| 赤色 | 炎症 |
健康な頭皮は青白く、透明感がある点が特徴です。頭皮が青白く見えるのは、毛細血管が透けて見えるためです。
一方で頭皮が白く見える場合、乾燥を引き起こしている可能性が疑われます。
また頭皮が黄色っぽく見える場合、過剰に分泌された皮脂が酸化している可能性があります。
さらに赤い頭皮は炎症によってかゆみ・かぶれが出ている可能性があるため、早めの対処が必要です。
よくない頭皮環境を放置するとどうなるか解説
良くない頭皮環境を放置した場合、以下のような頭皮トラブルを引き起こしやすくなります。
- 多量のフケが出る
- 湿疹・赤み・かゆみ・かぶれなど炎症が生じる
- 頭皮がくさくなる
- 薄毛・脱毛症を引き起こす
多量のフケが出る
フケは頭皮の表面にある古い角質細胞が剥がれ落ちたもので、誰にでも見られる生理現象の一種です。
通常は目に見えない程度の大きさですが、良くない頭皮環境を放置した場合、目立つほどの大きさや量のフケを生じる点が特徴です。
例えば皮脂の分泌量が多い場合、剥がれ落ちた角質細胞が皮脂を吸って黄色くなり、ベタベタとした脂性フケが増加します。
反対に頭皮が乾燥すると、粒が小さくて白っぽい、カサカサとした乾性フケが出やすくなります。
フケが大量に出るとえりあしや肩口に積もったり、髪の毛や頭皮に付着したりして不潔な印象を与える点もデメリットの一つです。
湿疹・赤み・かゆみ・かぶれなど炎症が生じる
皮脂は肌のバリア機能を保つために欠かせない存在です。
しかし、過剰に分泌されるとフケや汚れと混じり合って毛穴を塞ぎ、かゆみや赤みなどの頭皮トラブルを引き起こしやすくなります。
毛穴につまった皮脂などは雑菌のエサとなるため、ニキビや吹き出物ができるリスクも増加します。
頭皮の炎症によりかゆみが出ると、無意識にかきむしって頭皮を傷つけ、さらに頭皮環境が悪化するといった悪循環に陥りかねません。
また、頭皮の乾燥による血行不良も、かゆみや赤みなど炎症を生じる原因の一つです。
頭皮がくさくなる
頭皮は皮脂や汗で構成される皮脂膜によって守られています。
実は、皮脂や汗は分泌された段階では無臭です。
しかし、汗や皮脂に含まれるアミノ酸やたんぱく質、脂質などが常在菌により分解されると独特の臭気を発するようになります。
また、大量に分泌された皮脂が酸化することも、頭皮が臭くなる原因の一つです。
皮脂が過剰に分泌される原因は誤ったヘアケアの習慣やストレス、偏った栄養バランスの食事などさまざまです。
そのため、頭皮の臭いが気になる際にはヘアケアの習慣だけでなく、日常の生活習慣も見直す必要があります。
薄毛・脱毛症を引き起こす
頭皮環境の悪化を放置し続けると、薄毛・脱毛症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
例えば白くて細かいフケが毛穴につまると、炎症を起こすなどして粃糠性（ひこうせい）脱毛症を発症する可能性があります。
反対に、黄色っぽくてベタベタしたフケが多く見られる方は、脂漏性脱毛症を発症する可能性があるため注意が必要です。
薄毛・脱毛症を起こしているか確認するためには、抜け落ちた髪の毛の状態をチェックすることがおすすめです。
抜け毛が短くて毛根がいびつな形をしている場合、髪の毛が成長しきらないうちに抜け落ちていると考えられます。
抜け毛の原因がAGA（男性型脱毛症）やFAGA（女性男性型脱毛症）の場合、一度かかると自然治癒は難しいので、早めに専門のクリニックを受診する必要があります。
参考 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
頭皮環境を改善する方法
頭皮環境を改善する方法としては以下5つの例が挙げられます。
- シャンプーの選び方・やり方を見直す
- 刺激が強いヘアケア・アレンジを避ける
- 高カロリー・脂っこい食事を避ける
- 育毛剤を1日1～2回使用する
- 頭皮マッサージを行う
シャンプーの選び方・やり方を見直す
頭皮環境を改善する方法の一つが、シャンプーの選び方・やり方の見直しです。
市販のアルコール系シャンプーには、頭皮や髪の毛にとって刺激が強い界面活性剤が含まれているケースが多いです。
界面活性剤は頭皮にとって必要な皮脂まで洗い流すため、頭皮環境を悪化させるリスクが増加します。
アミノ酸系はアルコール系のシャンプーに比べて界面活性剤の割合が少ないため、頭皮のかゆみや赤みなどが気になる方におすすめです。
アミノ酸系のシャンプーを使いたい方は、薬用シャンプーや育毛シャンプーなどを選ぶと良いでしょう。
シャンプーをする際には指の腹で優しく頭皮を洗い、38度前後のぬるま湯でしっかりと洗い流すのが基本です。
1日に何回もシャンプーをしたり、ゴシゴシと強い力で洗ったりすると頭皮への刺激が大きくなるため避けましょう。
刺激が強いヘアケア・アレンジを避ける
頭皮環境を改善するためには、刺激が強いヘアケア・アレンジを避けなければなりません。
例えば入浴後に髪を自然乾燥させていると、雑菌が繁殖して頭皮環境を引き起こしやすくなります。
いつも同じ場所で髪の毛を結んだり分けたりしていると、牽引性脱毛症を発症するリスクが増加します。
通常であれば髪型を変えると抜け毛のリスクは低下しますが、毛包にまでダメージが及ぶと髪の毛が生えてこなくなる可能性もあるため注意が必要です。
また、過度なヘアカラーやパーマも頭皮にダメージを与えるため、2ヶ月以上の間隔を空けるのがおすすめです。
外出の際には紫外線対策も怠らないようにしましょう。
高カロリー・脂っこい食事を避ける
東京医科歯科大学とミシガン大学、東京理科大学などの共同研究により、高カロリー・脂っこい食事が薄毛・脱毛を促進すると判明しています。
マウスを対象に行われた実験では、3ヶ月以上の高脂肪食を摂取した個体の毛包幹細胞において、幹細胞の枯渇が進むことが分かりました。
人間の毛包幹細胞においても同じことが起こる可能性は十分に考えられます。
なぜなら、高カロリー・脂っこい食事により頭皮に皮脂が余分に溜まり、毛穴が詰まって頭皮環境が悪くなることで、毛髪の成長が阻害されやすくなるためです。
また、脂質の多い食事による動脈硬化の進行も、頭皮に送られる血液の流れを妨げる一因となります。
参考 ：高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明―幹細胞における炎症・再生シグナルの異常が毛包の萎縮を引き起こす―
育毛剤を1日1～2回使用する
頭皮環境を改善する方法の1つが、1日に1〜2回育毛剤を使用することです。
育毛剤には髪の毛の成長をサポートするだけでなく、頭皮環境を改善するためのさまざまな成分が含まれています。
夜はシャンプーを終えてドライヤーを掛け、髪の毛や頭皮が8割程度乾いたタイミングで育毛剤を塗布するのが効果的です。
朝はスタイリング剤などを使用する前に育毛剤を塗布しましょう。
大量に塗布しても効果が増すことはないため、用法・用量を守って正しく使用してください。
参考 ：医薬部外品の効能効果の範囲
頭皮マッサージを行う
頭皮環境を整えるためには、血行を促進してターンオーバーの周期を正常に保つことが重要です。
頭皮への血行を促進するのであれば、頭皮マッサージを行うのが効果的です。
頭皮マッサージにより血行が良くなれば、髪の毛の成長をサポートする効果が期待できます。
また、マッサージによるリラクゼーション作用により副交感神経が優位に傾くと、睡眠の質を向上させる結果にもつながります。
頭皮マッサージは習慣化がおすすめ！やり方を詳しく紹介
頭皮環境を整えるためには、頭皮マッサージが簡単で効果的です。
以下の手順を参考に、頭皮マッサージを習慣化するのがおすすめです。
- こめかみをほぐして頭全体の血行を改善
- 首筋を押しあげてコリをほぐす
- 頭皮をリラックスさせるツボを押す
1.こめかみをほぐして頭全体の血行を改善
頭皮マッサージを行う際には、はじめにこめかみをほぐして頭全体の血行を促進するのが効果的です。
両方のこめかみに親指の第1関節を押し当て、左右の目を吊り上げるようなイメージで手を押しあげます。
そのままの状態で親指の第1関節をグルグルと円を描くように回し、気持ちいい強さでマッサージしましょう。
こめかみの皮下にある側頭筋が刺激されて血行を促進し、髪の毛が成長しやすい環境を作る効果が期待できます。
2.首筋を押し上げてコリをほぐす
首の筋肉が硬いと筋緊張によって血管が圧迫され、頭皮に送られる血液循環が悪くなります。
そのため、こめかみのマッサージを済ませたら、首筋をマッサージしてコリをほぐしていきます。
頭の後で両手を組み、両方の親指の腹を首の付け根に押し付け、ゆっくりと上に移動しながらマッサージしていきましょう。
首のマッサージを済ませたら組んでいた手をほどき、両手の指先で後頭部を包むようにして、少しずつずらしながら押しあげていきます。
後頭部をマッサージする際には、爪で頭皮を傷つけないよう気を付けてください。
頭皮をリラックスさせるツボを押す
こめかみや首、後頭部のマッサージを済ませたら、頭皮にあるリラックス作用が期待できるツボを押圧して仕上げましょう。
頭皮のてっぺんには百会（ひゃくえ）と呼ばれるツボがあり、自律神経を整えてリラックス作用をもたらす効果が期待されています。
百会は両耳を結んだラインと、鼻から上に通る線が交わる場所にあります。
親指の第一関節を百会に押し当て、気持ちよく押圧するのがポイントです。
マッサージやツボ押しはあくまでも気持ち良く感じる程度の力で行い、痛いほどの刺激を与えないよう気を付けましょう。
頭皮環境を改善するためにはグッズの活用もおすすめ
頭皮環境を改善するためには、以下3つのグッズを活用するのもおすすめです。
- 頭皮マッサージ器
- ヘアブラシ
- ヘアオイル
頭皮専用のマッサージ器を使うと、自宅でヘッドスパのような気持ちよさを体感できる点がメリットです。
専用のヘアブラシを使うと、手では落としきれない毛穴内部の皮脂や汚れを取り除くことが期待できます。
また、シャンプーの前にヘアオイルを使うと、毛穴内部の皮脂汚れを浮かび上がらせ、頭皮を清潔に洗えます。
しかし、頭皮専用のグッズは正しく使わないと頭皮に過度な刺激を与え、逆効果となる可能性もあるため注意が必要です。
自身の頭皮の状態をチェックして改善を図ろう
健康な髪の毛は良好な頭皮環境のもとで成長します。
そのため、普段から自分の頭皮の状態をチェックし、悪化している場合には改善を図ることが重要です。
健康な頭皮は透き通った青白い色をしていますが、それ以外の色の場合は頭皮環境が悪化している可能性があります。
頭皮環境の悪化を放置するとフケの量が増えたり不快な臭いを発したりする上、抜け毛や脱毛症のリスクも増加するので注意が必要です。
今回紹介した方法を参考に頭皮環境の改善・維持に努め、抜け毛や薄毛のリスクを未然に防ぎましょう。
