「夏の暑さや湿気で抜け毛が増えた気がする」と悩む方もいるでしょう。夏は身体にとって過酷な季節であり、頭皮や髪もダメージを受けやすい時期です。

夏の薄毛の原因は暑さや湿気のほか、紫外線、エアコンの乾燥、海水浴などがあります。

本記事では、夏の薄毛の原因と、秋に向けて今からできる薄毛対策を詳しく解説します。

抜け毛が気になる方、夏の間に薄毛の進行を感じた方はぜひ参考にしてください。

【要注意】夏は薄毛になりやすい季節である

夏は1年の中でも薄毛のリスクが高まりやすい季節です。

高温多湿になる日本の夏は頭皮環境が悪化しやすいですが、紫外線やエアコンによる乾燥など薄毛の原因となる要素が身の回りに溢れています。

夏に受けたダメージは、秋以降の抜け毛に大きく影響します。

秋口に抜け毛が増えて後悔しないためにも、夏のうちに適切な対策を取ることが重要です。

夏に潜む薄毛の原因とは？

夏に潜む薄毛の原因には、以下のものがあります。

• 暑さで皮脂・汗の分泌量が多くなる
• 紫外線で頭皮へのダメージが増える
• エアコンの多用によって頭皮が乾燥する
• 海・プールの塩素が髪の毛に刺激を与える
• 食欲不振によって栄養が不足する

暑さで皮脂・汗の分泌量が多くなる

夏の暑さは皮脂や汗の分泌量を増やし、薄毛を加速させる原因の一つです。強い日差しや高温多湿の環境下では、皮脂腺や汗腺が活発に動き、頭皮は過剰な油分や汚れで覆われます。

毛穴が皮脂や汚れで詰まると、頭皮環境が悪化して髪の毛の成長を妨げます。皮脂を栄養とする雑菌が増殖し、かゆみ・かぶれを引き起こしかねません。

さらに、頭皮が蒸れることで炎症が悪化して抜け毛が増えるケースも多いです。

紫外線で頭皮へのダメージが増える

夏の強い紫外線は頭皮へ抜け毛につながるダメージを与えます。紫外線は頭皮の深層部まで到達して炎症を起こし、毛根へ刺激を与えるのです。

紫外線を浴びると頭皮内で活性酸素が出て、細胞や組織にダメージを与える酸化ストレスを発生させます。酸化ストレスで悪化した頭皮環境では、毛根が弱くなり髪の成長が妨げられます。

結果として抜け毛が増加し、薄毛の可能性が高まるのです。

参考 活性酸素と酸化ストレス｜厚生労働省

エアコンの多用によって頭皮が乾燥する

夏の暑さをしのぐためのエアコンは、頭皮が乾燥する原因となります。エアコンの使用で室内の湿度が下がると頭皮や髪の毛から水分が奪われ、乾燥を引き起こすのです。

乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、抜け毛やフケ、かゆみが発生しやすくなります。

さらに、頭皮の角質層が乾燥すると皮脂が過剰に分泌されるため、頭皮環境が悪化して薄毛になりやすいです。

また、髪の毛が傷んで枝毛・切れ毛が増え、パサついてまとまらなくなる場合もあります。

海・プールの塩素が髪の毛に刺激を与える

海水やプールの塩素は髪の毛を乾燥させ、傷つける原因となります。夏のレジャーとして人気の海やプールも、髪の毛や頭皮にとっては刺激の強い環境です。

髪の毛の健康なpH指数は4.5～5程度ですが、プールの塩素はpH5.8以上8.6以下に設定されています。pHが8以上のアルカリ性環境では、髪の主成分であるケラチンが溶け出し、キューティクルが剥がれやすくなるのです。

さらに、塩素は頭皮の適度な油分も取り除くので、乾燥からかゆみ・フケなどの頭皮トラブルを引き起こします。

食欲不振によって栄養が不足する

夏の暑さは、薄毛のリスクを高める要因にもなります。

高温多湿な環境では、身体は体温調節のために多くのエネルギーを消費し代謝が上昇します。これにより、普段以上に栄養素が消費され、栄養不足に陥りやすいです。

また夏バテによる食欲不振は、鉄分やビタミンD、ビタミンB群など、髪の健康に欠かせない栄養素の不足を招きやすくなります。

さらに、冷房の当たりすぎ・冷たい食べ物の過剰摂取など、身体を冷やす行動も消化機能を低下させ、髪の成長に必要な栄養を吸収しにくくします。

夏の薄毛対策の効果がわかり始めるのは秋への変わり目

秋口は、夏の間に取り組んだ薄毛対策の効果が明らかになる時期ともいえます。頭皮ケアを怠っていた場合、秋の抜け毛増加につながりやすいです。

季節の変わり目は抜け毛が増えやすい時期ですが、特に夏から秋にかけては抜け毛の量が増加する傾向にあります。

夏に受けたダメージが蓄積され、秋に抜け毛として現れます。秋は、夏の間に行った薄毛対策の「答え合わせ」の時期です。

しかし、夏のうちに適切な対策をとれば、健やかな髪の成長を実感できるでしょう。抜け毛の量や髪の状態をチェックし、今からしっかりと対策しましょう。

夏の薄毛対策｜頭皮・毛髪のダメージを減らす

頭皮・毛髪のダメージを減らすための夏の薄毛対策として、以下を実践しましょう。

• 常に紫外線の対策グッズを携帯する
• エアコンを使う際は加湿器をセットで使う
• 地肌に合ったシャンプーを選び頭皮環境を整える

常に紫外線の対策グッズを携帯する

夏の強い日差しから頭皮と髪を守るためには、日傘や帽子を活用しましょう。特につばの広い帽子は、顔だけでなく頭皮や首までしっかりとカバーしてくれるのでおすすめです。

また、最近では頭皮専用の日焼け止めも販売されています。通常の日焼け止めとは異なり、皮脂や汗に強い仕様で、効果的に紫外線をカットできます。

帽子と頭皮専用の日焼け止めを併用すれば、紫外線によるダメージを大幅に減らせるでしょう。

エアコンを使う際は加湿器をセットで使う

エアコンを使用する際は、加湿器と併用することが大切です。室内の湿度を適切に保ち、頭皮や髪の乾燥が防げます。

湿度計を活用し、50%以上の湿度を維持しましょう。ただし、60%を超える湿度はカビやダニが繁殖しやすくなるので要注意です。

エアコンと加湿器をうまく組み合わせることで快適な室内を保ちつつ、頭皮と髪の毛の健康を守れます。

地肌に合ったシャンプーを選び頭皮環境を整える

地肌に合ったシャンプーを使用し頭皮環境を整えることも、夏の薄毛対策として有効です。

夏の頭皮は、汗や皮脂で汚れやすい状態ですが、洗浄力の強いシャンプーでゴシゴシ洗うのは逆効果となります。

頭皮に必要な皮脂まで洗い流し、乾燥を招きやすいです。

まずは自分の頭皮に合ったシャンプーを選び、やさしく洗い上げましょう。洗髪を複数回行ってもよいですが、シャンプーの使用は1回にとどめ、丁寧にすすいでください。

夏の薄毛対策｜髪の毛の健康に保ちやすくする

夏の髪の毛の健康を保つためには、以下の対策も取り入れましょう。

• 水分と不足しがちな栄養を意識的に摂る
• 十分に睡眠時間を確保して身体を休める
• 育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

水分と不足しがちな栄養を意識的に摂る

頭皮が乾燥しやすくなる脱水状態を防ぐため、こまめな水分補給を心がけましょう。

また夏は、夏バテにより食事の量が減ったり、冷たい料理ばかり食べる回数が増えたりして栄養のバランスが偏りやすいです。

偏った食生活は、髪の成長に必要な栄養素を不足させ、抜け毛や薄毛の悪化につながります。

夏は特にバランスの取れた食事を意識し、不足しがちな栄養素はサプリメントなどで補うことも検討しましょう。内側から健康な髪を育むことで、夏の薄毛対策が万全になります。

十分に睡眠時間を確保して身体を休める

夏の暑さや強い日差しは想像以上に身体へ負担をかけるため、髪の健康には質の高い睡眠を確保することも必須です。

睡眠不足が続くと血行不良になり、頭皮や髪の毛に十分な栄養が届きにくくなります。

また、睡眠不足や慢性的な疲れが自律神経のバランスを乱し、ホルモンの分泌量にも影響を与えます。

髪の成長を促す成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されるため、睡眠不足が続くと毛周期が乱れ、薄毛のリスクを高めるのです。

質の高い睡眠を十分に確保することで身体の疲れを癒し、頭皮や髪の毛に栄養を十分に届け、健やかな状態を保てます。

参考 健康づくりのための睡眠ガイド2023｜厚生労働省

育毛剤を使って頭皮マッサージを行う

育毛剤と頭皮マッサージの組み合わせは、育毛の相乗効果が期待できる対策方法の1つです。

育毛剤を使えば頭皮の血行が促進され、髪の成長をサポートする効果が期待できます。

育毛剤を塗布した後、指の腹を使った頭皮マッサージを行うと、血行がより促進され、育毛剤の有効成分が毛根まで浸透します。

マッサージは頭皮全体をやさしく包み込むように、気持ち良いと感じる強さで行いましょう。力を入れすぎると頭皮を傷つける可能性があります。

毎日の習慣として育毛剤と頭皮マッサージを取り入れると、ダメージを受けた頭皮をケアし、健やかな髪の成長促進が見込めます。

参考

「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響

夏や季節の変わり目以降も薄毛が改善しないなら脱毛症の可能性あり

抜け毛が増えやすい夏や季節の変わり目を過ぎ、いくつか対策を試しても症状が改善しない場合は、脱毛症の可能性があります。

夏に多い一時的な抜け毛と、男性型脱毛症（AGA）による抜け毛には、以下のような違いがあります。

夏の抜け毛の特徴	脱毛症の抜け毛の特徴
季節の変わり目に抜け毛が増える抜け毛の本数は1日100本程度頭皮全体からまんべんなく抜ける生活習慣の改善で抜け毛が減る	年間を通して抜け毛が多い抜け毛の本数が1日100本を超える生え際や頭頂部から集中的に抜ける生活習慣の改善だけでは抜け毛が減らない

男性型脱毛症（AGA）は進行型の疾患です。自然治癒が難しいため、専門医への相談をおすすめします。

少しでも心配がある方は一度カウンセリングを受けてみましょう。

夏は抜け毛の原因が多い季節なので薄毛対策を万全にしましょう

夏は、薄毛を進行させる要因がいくつも潜む季節です。強い紫外線や汗や皮脂の分泌、栄養不足など、髪の健康を脅かす要素が重なりやすい時期といえます。

頭皮や髪の毛のダメージを放置すると、秋口に抜け毛が増えて薄毛が進行する可能性があります。

本記事で紹介した対策を実践すれば、夏のダメージから頭皮と髪の毛を守り、健やかな状態を保てるでしょう。

秋以降も健康な髪の毛を維持するために、紫外線対策やバランスの取れた食事、十分な睡眠など今からできる薄毛対策をぜひ実践してみてください。